馬場野にある「イオン相馬店」は、2022年3月の福島県沖地震で大きな被害を受け、営業休止となった。現在は店舗再建に向けて準備が進められているが、3月27日時点で正式な再開時期などは発表されていない。そんな中、地元住民の間では「イオンスタイルになるらしい」といった話が出ている。なぜそういったウワサが出ているのかを探ると、ある専門紙にたどり着いた。
建設業界専門紙が昨年秋に報道

2022年3月16日23時36分ごろ、福島県沖を震源とする地震が発生した。相馬市はこの地震の最大震度である6強を観測。死者1人に加え、家屋や道路など大規模かつ広範囲で被害が確認された。
同市馬場野にある「イオン相馬店」も大きな被害を受けた1つ。地元住民には「ショッピングタウンベガ」の方が通りがいいかもしれない同店は、地震後しばらくは「臨時休業」となり、その後、同年7月に正式に「休業」が発表された。
地震直後に訪ねると、「イオン」の看板が落下していたり、フードコードのガラスが割れ、中のブラインドが風で外に吹き出している様子などがうかがえた。ちなみに、同ショッピングセンター(SC)は1989年11月にオープンし、地震発生時点で33年近くが経っていた。
同店の「休業のお知らせ」には《同地での再開店を目指し、関係者各位と協議を重ね、準備を進めてまいります》、《当店が同地での再開店を目指す理由は、生活インフラとしての役目を果たし、地域の皆さまに安心してお買物を楽しんでいただくとともに、地域のコミュニティーの場として再出発したいとの思いからです》と記されていた。
現在は建物が解体され、更地になっている。店舗建設エリアと思われるところは柵で囲われ、外から見た限りでは、いまにも工事が始まりそうな雰囲気だった。
2024年3月11日、相馬市東日本大震災追悼式に、イオン株式会社の渡邉廣之執行役副社長が参列した。その際、立谷秀清市長(当時)と意見交換を行った。
立谷市長は「イオン相馬店は、これまでも地元小売店と共存共栄の関係にあり、今後も雇用創出や地域活性化などによって市民生活を支えるなど、お力添えをいただきたい」と市民の声を代弁。
渡邉執行役副社長は「地元住民からの再建を望む声が寄せられていることはありがたく、今年夏ごろに今後の方針を公表できるように進めていきたい」と述べていた。
この時点では、「2024年夏ごろには方針を公表できるように進めていきたい」との見解で、再建されること自体は決まっているものの、どんな業態で、いつごろオープンになるかなどの情報はない。
一方で、昨年8月、双葉町のJR双葉駅東側にスーパーマーケットのイオン双葉店がオープンした際、イオン東北(本社秋田市)の辻雅信社長に話を聞くと、次のように話した。
「双葉店には浪江店で製造したさまざまな商品を提供しています。原発被災地での明確な出店戦略があるわけではないが、現在休業中のイオン相馬店から小名浜のイオンモールいわき小名浜が1本のラインで結ばれることで、双葉郡内の店舗にさまざまな商品が提供できるようになるのではないかと考えています」
現在、浜通りでは、いわき市のイオンモールいわき小名浜、イオンいわき店、広野町のイオン広野店、双葉町のイオン双葉店、浪江町のイオン浪江店、南相馬市のイオンスーパーセンター南相馬店と、イオングループの店舗が6店ある。そこに再建を目指す相馬市の店舗を加えて、「1本のラインで結ばれることに意味がある」との見解を示したのだ。
いずれにしても、相馬市の店舗は「最も身近なSC」として認知され、早期再開を望む声は少なくない。
ある地元住民は、休業当初の本誌取材に次のように話した。
「学校が長期休みの時期、孫たちが遊びに来ていたのですが、土日はどこかに連れて行くとして、平日にちょっと出かけよう思ったときに、イオン(ショッピングタウンベガ)がないのは不便に感じました。あそこは、ゲームコーナがあったり、孫たちを少し遊ばせておくにはちょうど良かったですから」
一方、別の住民はこんな見解を示していた。
「建て替えるとして、他所に対抗できるような規模にするのか、それとも地元住民を対象とした『より身近なSC』にするのか、というところが注目でしょう」
このコメントの背景には、こんな事情がある。相馬市をはじめとした近隣商圏の住民は、休日などに大型SCに行きたいと思った場合は、宮城県名取市のイオンモールを利用することが多いという。高速を使えば40分ほどで行くことができ、一般道でも1時間程度。
加えて、伊達市では「イオンモール伊達」が今年下期オープン予定となっている。相馬市から伊達市までは、東北中央道(相馬福島道路)が無料で通行できるため、イオンモール伊達ができたら、そちらに買い物に行く人が増えると予想される。所要時間は約40分で、イオンモール名取より気軽に行くことができる。
こうした事情から、他所に対抗できるような大型SCとして再建するのか、それとも地元住民を対象とした規模にするのか、ということが注目されていたのだ。
ウワサの出どころ
そんな中、最近になり、一部の地元住民の間では、「相馬市はイオンスタイルになるらしい」といったウワサが出ているという。
「イオンスタイル(AEON STYLE」は、2014年から展開されているイオングループの新しい店舗形態で、ファミリー層などを主なターゲットとしている。商品やサービスを通じて生活の「スタイル」を提案する総合スーパーという位置付け。従来の「イオン」に、地域性を考慮した店舗形態ということができる。
そこから読み解くと、もしそれが事実なら、名取市や伊達市のイオンモールとは一線を画す、相馬市やその近隣商圏のファミリー層をターゲットとした「地域対応型店舗」になるということか。
もっとも、イオン東北に問い合わせたところ、広報担当者は「現時点で、起工式やオープン時期、屋号・業態など、公表できることはありません。決まり次第、ホームページなどでお知らせします」とのことだった。
「店舗業態は決まっていない」、あるいは「正式発表できる状況にない」ということだが、そんな中で、なぜ「イオンスタイルになるらしい」といったウワサが出たのか。
そこを探ると、仙台市を本拠に東北6県の建設業界の情報を掲載している専門紙「建設新聞」の報道にたどり着いた。
以下は同紙昨年9月29日付の一面より。
イオン東北 施工者を選定中 福島県相馬市 イオンスタイルの新築
イオン東北(秋田市土崎港北1の6の25、辻雅信代表取締役社長)は、福島県相馬市に物販店舗「イオンスタイル相馬」の新築を計画し、施工者の選定を進めている。施工地は、相馬市馬場野雨田51の1ほか地内の敷地1万8689・05平方㍍。ここは2022年の福島県沖地震で被災し、23~24年に公費解体した商業施設「ショッピングタウンベガ」の跡地。施設内にはイオン相馬店が入居していた(22年7月31日付で一時休業)。イオン相馬店の後継となる新店舗は、敷地北側にS造平屋建て、延べ6672・3平方メートル規模で建設。
設計は中設計事務所(秋田市)が作成。早期の着工・完成を目指す。
同紙で明確に「『イオンスタイル相馬』の新築を計画」と報じられたのだ。
ただ、同紙を読んでいる人は極々限られた人(業界人)だと思われる。少なくとも、相馬市やその近隣、県内で最も多くの新聞があるであろう福島県立図書館でも、同紙は置いていなかった。
そのため、「どこからそういう話が出てきたのか、詳しいことは分からないけど、イオンスタイルになるって聞いたよ」といった程度の話として、地元住民の一部でウワサになったのだろう。
とはいえ、「真の答え」はイオングループからの正式な発表を待つしかない。

























