相馬玉野メガソーラー事業者が「渦中の所有者」の関与を否定

相馬玉野メガソーラー事業者が「渦中の所有者」の関与を否定(2021年11月号)

(2021年11月号)

 本誌8月号10月号で相馬市玉野地区に計画されている県内最大級のメガソーラーについて報じた。

相馬玉野メガソーラー地図



 事業者は「GSSGソーラージャパンホールディングス2」(東京都港区)で、アメリカ・コロラド州に拠点を置く太陽光発電事業者「GSSG Solar」の日本法人。

 同計画の問題点は大きく2つ。

 1つは、計画地は主に山林のため、大規模な林地開発を伴うこと。近隣や下流域の住民からは、「大規模開発により、山の保水力が失われてしまう。近年は、各地で洪水・土砂災害などが頻発しており、周辺・下流域でそうした災害が起きるのではないか」といった不安が出ている。

 もう1つは、計画立案者で最大地権者は、7月に発生した静岡県熱海市の「伊豆山土砂災害」現場の所有者と同一人物であること。

 関連報道によると、土石流が起きた原因は、河川上流の盛り土で、急な斜面に産廃を含む土砂が遺棄され、今回の豪雨で一気に崩落した、とされている。盛り土を行ったのは旧所有者だが、2011年に現所有者が取得。土石流の起点付近で不適切に土砂を投棄したほか、危険性を認識しながら適切な措置・対策を取っていなかったという。

 遺族・被災者らは現旧所有者を相手取り損害賠償請求訴訟を起こすと同時に刑事告訴した。

 その現所有者である麦島善光氏が玉野メガソーラー用地の約7割を所有しているのだ。登記簿謄本によると、東京都在住の個人が所有していたが、2002年に東京財務局が差押をした後、2011年8月、公売によって麦島氏が取得した。麦島氏が取得後、同所に抵当権などは設定されていない。

 麦島氏はこの土地でメガソーラー事業を行う計画を立て、地元住民によると、「当初、麦島氏は自分でメガソーラーを開発、運営する考えだった。麦島氏とその部下がよくこちら(玉野地区)に来て、挨拶回りや説明を行っていた」という。

 麦島氏は2016年9月、合同会社・相馬伊達太陽光発電所(東京都千代田区)を設立し、代表社員に就いた。しかし、自社での開発・運営を諦め、GSSGソーラージャパンホールディングス2が事業主体となった。麦島氏は同社に事業権を譲渡するとともに地代を受け取ることになる。

 ただ、住民からすると「そういう問題人物が関わっていて、本当に大丈夫なのか」との不安は大きい。

 10月11日、「相馬市民の会」主催で説明会が開かれた。当然、麦島氏のことが質問に出たのだが、事業者は「ただの地権者で事業そのものには関わらない」と、麦島氏の関与を否定した。

 一方、「麦島氏は現在80歳を超えており、事業終了後(20〜40年後)はいない。開発で保水力を失った山林は事業終了後も管理が必要だが、その費用を麦島氏の後継者に請求できるか」との質問も出たが、これに対しては明確な回答はなかった。

 麦島氏は直接的に事業に関与しないようだが、そういった点での不安は残されたままだ。

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