施設整備見直しで揺れる矢吹町のスポーツまちづくり

施設整備見直しで揺れる矢吹町のスポーツまちづくり
施設整備見直しで揺れる矢吹町のスポーツまちづくり

 矢吹町が取り組んでいる「スポーツ×デジタル振興プロジェクト」が岐路に立たされている。

 同プロジェクトはスポーツやヘルスケア関連のイベント開催、デジタル技術による体のデータ分析を通じて、スポーツ振興や健康維持、交流人口拡大につなげるというもの。

 デジタル田園都市国家構想交付金(地方創生推進タイプ)の交付対象(期間=3年間)で、初年度の2023年度にはスポーツ庁の「スポまち!長官表彰2023」を受賞した。最終年度の今年度は、拠点施設「(仮称)スマートパーク」の整備を計画していた。予定地は、JR矢吹駅近くの複合施設「KOKOTTO(ココット)」の駐車場の一角。

 トレーニングスペースを備えた延べ床面積約200平方㍍のクラブハウスと、運動・イベントに使える約380平方㍍のマルチフィールド(広場)を整備する計画で、総事業費約2億3000万円。うち約9000万円が交付金で、残りは一般財源や起債で賄う予定だった。

 しかし、今年5月に基本計画を公表したところ、パブリックコメントで「住民が望んだ整備なのか」、「駐車場が大幅に減る」、「効果が見えない」などの意見が寄せられたため、町は計画を修正。マルチフィールドを駐車場としても利用できる形にし、道路側(複合施設側)に配置した。

 同6月に設計・施工一体型のプロポーザル方式で発注したが、不調に終わった。そこで事業繰り越しを検討していたところ、前述した修正内容が「国に承認された計画の無断変更」とみなされ、交付金対象外の見込みとなることが分かったのだ。やむなく町は整備計画を一旦見直し、今年度はセミパーソナルトレーニング、企業向けヘルスケア指導などのソフト事業を進めることになった。

 町議会9月定例会の一般質問では町執行部のお粗末な対応を問題視する意見が続出。「住民の意見聴取・議論を経ず、一部の関係者だけで整備を決めたのが問題だったのではないか」、「少子高齢化が進む中で本当に必要な投資と言えるのか」と再検討を求める声が上がった。

 背景には町の財政状況がある。町広報11月号によると、2024年度の実質公債費比率は10・4%で、早期健全化基準
を大幅に下回っているが、財政調整基金は災害対応などで、前年度の半分以下(約4億円)に減少。行政運営の効率化が徹底された結果、側溝清掃や道路の草木処理の遅れなどが目立つようになり、住民の不満も高まっている。こうした状況で「ただでさえ町内に民間のスポーツジムがあるのに、いま町営のスポーツジム(拠点施設)を整備する必要があるのか。予算に見合った効果が得られるのか」と疑問視されているわけ。

「(仮称)スマートパーク」の完成イメージ(基本計画より=修正前)
「(仮称)スマートパーク」の完成イメージ(基本計画より=修正前)

 気になるのは、事業の中心を担ってきた広島県のコンサル会社に対し、参加者10~20人規模の2、3回のイベントで、300万円前後の業務委託料が支払われていた――という指摘だ。同社社員は地域活性化起業人制度を用いて町企画・デジタル推進課で勤務していたことも判明している。

 地方自治体とコンサルをめぐる問題は、国見町の高規格救急車リース事業をめぐる問題が注目されたが(本誌では2023年6月号以降複数回報道)、今回の件でコンサルはどのように関わっているのか。同町議会12月定例会での議論を踏まえて、あらためてリポートしたい。

関連記事

  1. 地震被害とコロナで破産【矢吹町】「ホテルニュー日活」

    地震被害とコロナで破産【矢吹町】「ホテルニュー日活」

  2. 箕輪スキー場が町を介してDMCaizu傘下に!?

    箕輪スキー場が町を介してDMCaizu傘下に!?

  3. メガソーラー計画に揺れる棚倉田舎倶楽部

    メガソーラー計画に揺れる棚倉田舎倶楽部

  4. いわき市民が熱望する【ラウンドワン】誘致の実現度

  5. 電子書籍と少子化にのみ込まれるまちの本屋さん

    電子書籍と少子化にのみ込まれるまちの本屋さん

  6. 【ソーラーポスト】太陽光発電普及を後押し【カテエネソーラー】

    【ソーラーポスト】太陽光発電普及を後押し【カテエネソーラー】

  7. 幸楽苑「業績好転」これだけの理由①~原点回帰と社員重視

    幸楽苑「業績好転」これだけの理由①~原点回帰と社員重視

  8. 東双不動産「大熊帰還」に広野町民から不安の声

    東双不動産「大熊帰還」に広野町民から不安の声

政経東北 最新号
人気記事
  1. 月刊「政経東北」2026年9月号
  2. 【和久田麻由子】NHK女子アナの結婚相手は会津出身・箱根ランナー【猪俣英希】
  3. 【天栄村】犬同伴コテージ「死亡火災」の一部始終
  4. いわき信組「反社資金提供問題」報じられないもう一つの真実
  5. クマの隠れ家になる中間貯蔵施設
  6. 「MEGAドン・キホーテ」出店に沸く福島市
  7. 【猪苗代町】飛び地メガソーラーが「認定取り消し」
  8. 政経東北【2026年1月号】
最近の記事
  1. 月刊「政経東北」2026年9月号 政経東北【2026年9月号】
  2. 【ひぐまあきのり】地方就活格差・跳躍術 【ひぐまあきのり】地方就活格差・跳躍術
  3. 水産物卸売【福島丸公】を買収した企業の正体
  4. 「福島丸公」新経営陣が明かすM&Aの経緯と業績回復戦略 「福島丸公」新経営陣が明かすM&Aの経緯と業績回復戦略
  5. 〝籠城熊〟逃走を許した福島市 〝籠城熊〟逃走を許した福島市
PAGE TOP