6月10日に開かれた楢葉町議会定例会で、松本明平町議(45、2期)に対する議員辞職勧告決議が全会一致(本人を除く)で可決された。

発端は4月6日、早川良一教育長との会話の中で、町立あおぞらこども園の職員について「あんな職員辞めさせろ」と発言したことだ。松本幸英町長が「町政の監視機関に属し、町職員に強い影響力がある町議が、職員の解職を迫る行為は不当な人事介入に当たる」とする申入書を4月22日付で議長に提出。
議会は「町議のハラスメントの防止等に関する要綱」に基づく審査会を開いて事案を審議し、「発言はパワーハラスメント行為に当たる」と認定した。だが、6月10日の定例会で松本町議は「私の方が被害者なので謝罪はいたしません」と謝罪勧告に応じなかった。そのため、「議会の品位を損ね、町民の信頼を著しく失墜させる」とする辞職勧告決議案が提出され、可決に至った。
松本町議はどういう考えで「自分の方が被害者」と主張しているのか。松本町議によると、4月4日、町立あおぞらこども園の入園式に来賓として訪れた際、職員と次のようなやり取りがあったという。
「『こども園の園児が震災以降増えていいですね。倍ぐらいになればうれしいですね』と声をかけたところ、『まずは自分からでしょ』と返されたのです」(松本町議)
松本町議は、独身で子どもがいないことを揶揄されたと受け止めた。その場では笑って流したが、入園式終了後、こども園の園長に電話で「特に親しくもない来賓に対し、職員が嫌みな言葉を投げかけるのはいかがなものか」と疑問を呈した。
2日後、楢葉小学校の入学式に来賓として訪れた松本町議に、早川教育長が「この間はすみませんでした」と声をかけた。不特定多数の人がいる中、特定の職員に関わる話をするのはふさわしくないと考えた松本町議は話を切り上げようとしたが、早川教育長は付いて回り、「どういうニュアンスだったんです?」などと尋ねた。話を続ける教育長に不快感を覚えた松本町議は話を打ち切るため、より強い言葉を投げかけようと考え、「報告を受けたんでしょ?」、「あんな職員います?」、「あんな職員やめさせろ」と伝えた。その言葉に対し、早川教育長は「俺にそんな権限はねえんだ!」、「その口の利き方は何だ!」と声を荒げたという。
松本町議はこうした一連の経緯を踏まえ、「自分こそがハラスメントを受けた被害者である」と主張しているわけ。このほか、松本町議は審査会メンバーの人選や審査過程についても疑問を呈している。
本誌ではこの間、議員ハラスメントの事例を取り上げてきた。議員が個別職員の退職を求めるような発言をしたことは、職員側に心理的圧力を与えたと受け止められてもやむを得ない。一方で、その発端には、独身議員に対する揶揄とも受け取れる発言があったと松本町議は主張している。果たして議員と職員の間で適切なコミュニケーションが図られているのか、審査手続きは十分な説明責任を果たす形で進められたのか、今後も議論と検証を続ける必要がありそうだ。
ちなみに松本町議は一般質問などで執行部を厳しく批判し、町議全員で大阪・関西万博会場を含む関西視察を実施する際はただ1人反対し、視察も欠席した。独自のスタンスで町政を監視している以上、失言にはより注意を払う必要があろう。
今回可決された決議に法的拘束力はない。松本町議は「辞職は考えていない。今後も議員活動に励む」と話しており、6月10日の一般質問にも予定通り壇上に立った。

























