すずき・かずお 1949年生まれ。早稲田大法学部卒。県相双地方振興局長、県企業局長などを経て、2007年の白河市長選で初当選。現在5期目。
――市が今年度進めている重点施策について。
「1つ目は少子化対策です。白河っ子応援センター『ぽっかぽか』による妊娠期から子育て期までの切れ目のない相談支援や保護者への経済的助成など、これまでの事業を継続するとともに、小学校の給食費無償化や、出生祝いとして名前を入れた白河だるまの贈呈、子育て世帯向けの医療相談アプリの導入、さらには、若者世帯に対する住宅購入費用の支援などに取り組んでいます。
2つ目は未来への投資です。雇用の確保や地元定着への施策を引き続き実施するとともに、10月には小中学生が地域の企業や地場産品の魅力を深く知り、仕事を体験できる機会を提供する産業祭を開催します。また、高齢者や障がい者などの交通弱者の移動手段を確保し、身体的・経済的負担を減らすため、4月からタクシー運賃の半額を助成しています。
3つ目は居場所づくりです。労働力不足を補うために外国人を雇用する企業が増えていることから、外国人も地域の一員として暮らしていけるよう『暮らしのガイドブック』を作成するなど、多文化共生に向けた取り組みを進めています」
新施設に県南初のスタバ
――複合施設「しらふる」の施設概要と整備進捗状況について。
「市民会館跡地に整備を進めている複合施設『しらふる』は、昨年10月に立体駐車場が完成、11月には施設本体工事に着手し、現在、鉄骨の組立作業を行っております。『しらふる』という愛称には、市民や訪れる方々の心と体が満たされ、笑顔やつながりが自然に広がっていく、そんな場所であってほしいとの願いが込められています。
全国各地の先進的な施設運営において豊富な実績とノウハウを有するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社を指定管理者に指定し、7月に基本協定書の調印式を行いました。今後は『しらふる』の価値を高める良きパートナーと協力しながら開館準備を進めていきます。
施設は、工作や料理、音楽など、多様な学びの場となる生涯学習機能、屋内遊び場や妊娠期から子育て期のサービスをワンストップで受けられる子育て支援機能、健診や健康講座を通して市民の健康づくりを後押しする健康増進機能のほか、女性の仕事と家庭の両立を支援する機能を備えています。県南地方初となるスターバックスの出店をはじめ、吹き抜けのあるラウンジや芝生広場に面したテラスなど、気軽に立ち寄れる場所を設ける予定です」
――今年度「白河市過疎地域持続的発展計画」が更新されました。
「2005年に白河市、表郷村、東村、大信村の1市3村で合併して以降、地域の均衡ある発展を重視し、生活に密着した道路、上下水道などのインフラや集会所、図書館、コミネス、表郷公民館、ひじりん館、きつねうち温泉などを整備・改修してきたほか、各地域のイベントや商工会への支援などを行ってまいりました。しかし、急速に進む人口減少を抑制することは難しく、22年に表郷と大信地域が過疎地域に指定されました。強い危機感を持って振興策を講じる必要があることから、同年9月に『第1期過疎地域持続的発展計画』及び同計画と連動した地域ごとの振興計画を策定しました。
策定後は、空き家を利活用するための改修補助、移動販売車を活用した高齢者への見守りや買い物支援、親子の交流や子育ての相談ができるサロンの設置、子ども食堂の運営助成、公立として初めてとなる認定こども園の整備など、地域が抱える課題の解決を図るとともに、心豊かに快適に暮らすことのできる環境づくりに努めているところです。
今年度更新した第2期計画では、これまでの施策を継続するとともに、農業人材の確保、消防車両の更新などに取り組みます。さらには、北半球で表郷金山地区に唯一自生する水生植物『ビャッコイ』が、今秋に県内としては52年ぶり、本市としては初めて国の天然記念物に指定されますので、これを契機とした地域振興などを進めてまいります」
――歴史遺産である南湖公園を未来に引き継ぎ、更なる活用を図るために進めている取り組みについて。
「南湖公園は享和元年(1801年)に白河藩主・松平定信公により築造され、定信公の『士民共楽』『太平無事』という理念を今に伝える歴史遺産であり、国の史跡および名勝に指定されています。市ではこれまでも保存管理計画や整備基本計画を策定し、その価値を守り高めてきました。2022年には国道294号白河バイパスの開通に伴う来訪者の増加を想定し、南湖の理念を受け継ぎ市民とともに守り次世代へ継承していくための白河市南湖条例も制定しています。
一方、歳月の経過とともにマツやサクラの老木化、水質や生態系への影響など新たな課題も生じています。こうした背景を踏まえ、昨年度より、南湖公園をまちづくりの核とし、豊かな自然環境や景観を保全しながら歴史遺産として活用していく指針となる『史跡及び名勝南湖公園保存活用計画』の策定を進めています」
――首都圏での移住・地域おこし関連のイベントへの出展など積極的に移住・定住促進事業のプロモーションに取り組まれていますが、反響はいかがでしょうか。
「本市の強みである首都圏との近接性や都市的空間と農村のバランスの良さに加え、市が注力している子育て支援策などを周知した結果、具体的な移住相談が年々増加しております。こうした動きを実際の移住へと結びつけるため、本市での暮らしを体験し、移住後のミスマッチを防ぐお試し住宅を市内4カ所に設置しているほか、引越しや住宅取得、さらには首都圏等への新幹線通勤に係る費用の一部補助など、定住を促す経済的支援も実施しており、移住者は着実に増えています。また、移住者や移住検討者と地域住民が緩やかにつながりながら地域のことを学ぶワークショップや茶話会等を開催し、移住後のコミュニティー形成をサポートしています」
――5期目の任期も残り約1年となりましたが、今後の抱負について。
「来年、本市は丹羽長重公を初代藩主とする白河藩が成立してから400年という大きな節目を迎えます。この長い歴史の中で、先人たちは幾多の困難を乗り越え、この地に豊かな文化と伝統を育んできました。先人たちがそうであったように、いかなる困難な状況にあっても、決して悲観することなく『ピンチをチャンスに変える』気概で、果敢に立ち向かいます。これまで培ってきた市民の皆様との絆を大切にしながら、脈々と受け継がれてきた貴重な地域資源にさらに磨きをかけ、地域振興の要となる産業振興をはじめ、教育・子育て・医療の充実や文化芸術・スポーツ振興などに一層力を注いでまいります」

























