石川町で高校の部活動指導者が教え子に不同意性交【ふくしまの事件簿#7】

 昨年8月、当時15歳の女性に16歳未満と知りながら性交したとして、不同意性交等罪などに問われた石川町の元部活動指導者の男の裁判が地裁郡山支部で行われた。判決は7月29日に言い渡される予定(原稿執筆は同26日)。男は罪を認めており、量刑が争点になる。裁判は同2日に結審し、検察側は懲役4年を、弁護側は執行猶予付き判決を求めた。

【部活動指導者が15歳に不同意性交】 「被害者探し」が横行する学校現場

 被告の男は石川町の元会社社長、矢内寛美。40代。事件時は町内の高校の部活動で指導者をしていた。矢内被告によると、昨年6月ごろから教え子だった女性に部活内で相談を受けるようになったのをきっかけに、矢内被告の方からSNSの連絡先を交換してほしいと申し出た。

 連絡を重ねるうちに、自社オフィスで犯行に至った。矢内被告には婚姻歴があるが、事件当時は独身だった。矢内被告は「恋愛関係にあり真剣に交際していた」「被害者も同意していた」と主張していたが、被害者が周囲に相談し発覚。今年2月に逮捕された。

 検察側の証拠や被害者の家族の証言によると、矢内被告は「真剣交際と認識していた」と述べるが、逮捕前の学校の聴取には「被害者とは交際していない。一方的に連絡が来た」と説明していたという。

 心身が未熟なため性交への同意を自己で判断できないとする年齢を「性交同意年齢」と言い、従来は13歳が下限だった。2023年7月に強制性交等罪が改正されて厳罰化し、16歳に引き上げられた。「子ども」として保護する範囲が広がったと言える。ただし、相手が13歳以上16歳未満だと、行為者が5歳以上年が上の場合に罪が成立する。中高生同士の性交は罰しないことを意味する。

 大人と子どもでは対等な関係が結べないとの考えから、法律は行為者が大人の場合には性的な「同意」は成り立ちえないという建て付けになっている。矢内被告はちょうど法改正直後に犯行に及んだことになる。

虚偽投稿で二次被害

 7月2日の公判に、矢内被告はスーツ姿で来た。警察官や刑務官が傍に付いていないので保釈中なのだろう。被告側の証人として、矢内被告の母や社長退任後に仕事を継いだ矢内被告の兄が刑罰を受ける家族を支えていく意思を表明した。被害者やその家族は意見を書面にしたため、代理人が法廷で読み上げた。以下は被害者の母親の意見の抜粋。

 「自分の子どもが部活動の指導者から性被害を受けたらどのような気持ちになるでしょうか。矢内被告は娘に対し、『俺から離れたら町にいられなくしてやる』というメッセージを送っています。部活動指導者の立場を利用して娘を精神的に追い詰め、犯行に及んだのだと思います」

 さらに「娘に対して口止めをしたり、学校からの聞き取りに対して犯行を否定したりして、反省の態度が全く見られません」。

 直接の被害後も、二次被害が及んだ。

 「事件後にネット上で掲示板に取り上げられたり、SNSやブログで取り上げる人物が現れました。学校名や部活名を特定するだけでなく、『被害者が妊娠したため事件が発覚した』など虚偽まで書き込んでいます。娘や家族に対する誹謗中傷もたくさん受けました。さらに他の生徒がネット投稿を拡散し、生徒と保護者の間では、犯人探しをしているかのように『被害者探し』が始まっています」

 そして、「被害者側は苦しんでいるのに矢内被告が自由に町内を歩き回るのは考えられない。せめて娘が進学などで転居するまでは刑務所に入っていてほしい」と実刑を求めた。

 下山洋司裁判長は矢内被告を諭すように質問した。

 下山裁判長「性行為の相手が年の離れた未成年だと何が問題なのか」

 矢内被告「本当に好き合っていて結婚したとしても、20歳以上離れていると、一方が先に高齢になった時に困るかもしれない」

 下山裁判長「あなたは被害者と『性的同意があった』という認識かもしれないが、それは本当に同意だったのかは疑問に感じないか」

 矢内被告「……」

 下山裁判長「想像する必要があったのではないのでしょうか」

 教員免許を取る課程には青少年の発達心理を学ぶ課程があり、「子ども」は徐々に体つきが「大人」に近づいても、判断力は未熟なことを学ぶ。教育者は教え子と信頼関係を築きつつ、プロとして越えてはいけないラインを守るべきだ。今後、教員の働き方改革の観点から部活動の指導を地域の大人に外部委託する機会がますます増えてくる。教員による教え子へのわいせつ行為が後を絶たないのに、さらに部活動指導者によるわいせつ行為も加わる事態は避けなければならない。

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