「知る権利」の制限撤廃に前向きないわき市長選候補者

「知る権利」の制限撤廃に前向きないわき市長選候補者

  今号がいわき市民に届くころは、いわき市長選の真っ只中か、9月7日の投開票を過ぎているだろう。本誌は8月26日時点で立候補を表明していた3氏=写真=に「市政情報を知る権利」を市内在住者などにのみ制限した条例を改正して、市内在住者以外にも拡充するかどうかを問うアンケートを実施した。

 知る権利を定めた条例とは、いわき市情報公開条例のこと。市が保有する公文書を開示請求して閲覧する権利を指す。公文書(行政情報)には、行政機関が公務としてやり取りしたメールや図画なども含む。アンケートに、3氏はいずれも「条例改正に賛成」と回答した。

 なぜ公文書の開示が重要かというと、行政の透明性に関わるからだ。住民など主権者からチェックの目が届かない権力機構は腐敗を迎える。そのため、検証を可能とするように行政の意思決定過程は記録に残すこと(文書主義)になっている。いわき市は現況、この開示請求権を市内在住者などに限定しているが、市内在住者に限らず誰でも閲覧できるようにしなければ不十分だ。

 現代社会は一つの自治体内だけで物事が完結することはあり得ず、境界を越えた活動が当たり前。環境問題は自治体の境を越え、研究者や環境保護団体は全国の自治体からデータを集めている。汚職を研究対象にする学者の中には、開札された後の入札情報を全国の自治体に開示請求して統計を取り、どの自治体で入札不正が行われているかを定量的に発見する人もいる。本誌のような報道機関も、開示請求は取材手法の一つになっているが、いわき市外に事務所を置いているため請求権がなく、同市の公文書にアクセスできない。
 いわき市は大きな権限が付与され、市内外に影響力を持つ中核市だ。にもかかわらず、県内中核市3市の中で最も情報公開が遅れている(表参照)。

福島県内3中核市の公文書開示請求権者制限の有無

福島市制限なし
郡山市制限(請求権者以外にも行政の裁量で開示)
いわき市制限

 3人は、情報公開条例を改正し、誰にでも開示請求権を認めることに賛成した。

 回答理由などを問う自由回答欄で、現職の内田広之氏(53)は「現在、よりオープンな情報開示の観点から、市情報公開・個人情報保護審議会の委員の意見をお伺いしながら、検討を進めております」と答えた。

 元職の清水敏男氏(62)は「情報公開は積極的にすべきと考えます」と回答。

 新人の宇佐美登氏(58)は「情報を広く公開することは民主主義の大前提であり、制限をかけることは国民の知る権利、国民主権を否定することとなる。研究や調査は、市境を越えて行われるべき。中核市で、現代にこの様な制限を設けていること自体が考えられない」とした。

 回答した内容が本当なら、いずれの候補者が市長になっても、いわき市の情報公開は進むことになる。

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