――福島国際研究教育機構(エフレイ)が発足して1年が経過します。周辺環境整備の状況と今後期待することは。
「復興庁を中心にエフレイの関係者におけるアドバイザリー会議が開かれており、『一体感を持った将来を創造しよう』という提言がなされています。町が進めているJR浪江駅周辺地区の一団地事業と駅西側のエフレイとで連携して、今後の新しい町を形成していきたいと思っています」
――昨年、特定復興再生拠点の避難指示が解除され、特定復興再生拠点区域から外れた地域の避難指示解除を可能にする「特定帰還居住区域」が町内に設定されました。
「町民説明会での反応をみると、期待感を持つ町民が非常に多い印象です。引き続き国には農地を含めた全域の除染を強く求めていきます。また、町の帰還困難区域の8割を山林が占めていますが、今の考え方だと、居住を希望する人がいない山林の避難指示は解除されません。『帰還困難区域』という名称が適切なのかも含め、林業・森林再生の新しい仕組みが必要ではないかと考えています」
――宝島社の月刊誌『田舎暮らしの本』で実施している「住みたい田舎ベストランキング2024」において、人口1万人未満の町の部で総合1位に選ばれました。この結果の受け止めと今後のまちづくりの方針について。
「総合1位に選ばれたのは非常に喜ばしいことです。そして大事なのは『1位になった理由』を分析し次の政策に生かすこと。当町は復興という大きな動きの中で、地元に入って一緒に町づくりに参加できる『若い人が挑戦しやすい・したいまち』ということが魅力です。移住に向けた住環境の整備は大前提ですが、浪江町の魅力を発信して〝水が湧くように〟自然と人が集まる町を作り、新たに移住される方々を含めた多くの町民と復興のストーリーを共に歩んでいきたいと思います」
――重点事業について。
「農業に力を入れていきます。見方を変えれば、農地除染を経て、化学肥料が一切使われていない表土を有しているのは、日本全国探してもここにしかないかもしれません。整備を進めている復興牧場(仮称)の堆肥を活用し耕畜連携型の有機農業にチャレンジしていきます」
――今後の抱負。
「着実に復興を進めていきます。まだまだ復興には長い時間を要しますので、引き続き国民の皆さんに復興を支援していただきたいというのが私の願いです。そのためにも浪江町が復興していく姿を発信し続けていきたいと思います」