――4月に相双建設事務所長に就任しました。率直なご感想を。
「令和3~4年に富岡土木事務所長を務めていました。親しみのある相双地域で働けることに感謝するとともに、身が引き締まる思いです」
――震災・原発事故から13年経過しましたが、管内の整備状況は。
「災害復旧事業を314カ所で実施し、現在は中間貯蔵施設内の細谷地区海岸(双葉町)を残すのみで、令和7年度の完了を目指しています。
復興関連事業としては、避難解除区域等と周辺の主要都市等を結ぶ幹線道路を『ふくしま復興再生道路』と位置づけ、住民帰還や移住促進、地域の持続可能な発展の支援に取り組んでいます。当管内では国道114号、国道288号、県道原町川俣線、県道小野富岡線の4路線13工区で整備を進めており、2路線9工区ですでに供用を開始しています。昨年度は、小野富岡線西ノ内工区(川内村)で12月及び1月に一部区間を供用しました。また、10月には同路線の五枚沢2工区(川内村・富岡町)でトンネル工事の起工式を行いました。残る2路線4工区も引き続き整備を進めていきます。
福島県復興祈念公園(双葉町・浪江町)は、令和7年度完成を目指し、国や市町村、関係機関と十分に連携し、着実に整備を進めていきます」
――防災・減災対策、国土強靱化対策の現状と進捗状況について。
「昨年度は、9月の台風13号により、南相馬市の小高川、前川の堤防が決壊するなど、自然災害の脅威をあらためて実感した年でした。被災した道路、河川などの公共土木施設については、早期の復旧完了を目指し工事を進めていきます。
近年、激甚化・頻発化する自然災害に備え、河川の治水安全度を高めるため、宇多川及び小泉川の改良復旧事業などの河川整備を進めるとともに、河川堤防の強化を目的とした堤防天端の舗装や、河川の流下能力向上を目的とした河道掘削や伐木等を引き続き実施していきます。
また、流域治水の考えに基づき、流域全体のあらゆる関係者が協働し、ソフト・ハードが一体となった防災・減災対策に取り組んでいきます。さらに、災害時の避難や物流を確保する道路ネットワークの強化や各種公共土木施設の長寿命化対策を計画的に実施していきます」
――今年度の重点事業について。
「復興拠点施設等へのアクセス道路である県道浪江三春線小出谷工区のトンネル工事に着手する予定です。葛尾村から、福島ロボットテストフィールドがある南相馬市や常磐自動車道浪江インターチェンジへのアクセス道路として、葛尾村をはじめとした相双地域の復興支援のため、2本のトンネルを含む全長5・5㌔のバイパス整備を実施するものです。昨年12月に中心杭設置式を執り行っており、工程及び安全管理を十分に行い、早期供用を目指していきます」
――今後の抱負を。
「相双地域には、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う帰還困難区域の設定などの影響が大きく残り、地域内でも復旧・復興状況が異なっています。各地の実情を踏まえながら着実に社会資本の整備を進めるなど、復興と地方創生に熱意をもって全力で取り組んでいきます」