【川俣町】藤原一二町長インタビュー【2025.4月】

【川俣町】藤原一二町長インタビュー【2025.4月】

経歴

ふじわら・いちじ 1946年生まれ。法政大学法学部法律学科卒業(通信課程)。1964年に川俣町役場入庁。1999〜2003年まで収入役。その後、済生会川俣病院事務長、済生会川俣光風園施設長。2021年の町長選で初当選。2期目。

 ――任期満了に伴う町長選挙で再選を果たされました。あらためて出馬を決めた経緯と、結果の受け止めについてお聞かせください。

 「1期4年間、様々な事業や施策に取り組んできましたが、特にコロナ禍という未曽有の事態の中、町民の皆様の命と暮らしを守るために全力で取り組んでまいりました。その中で、まだまだやり残したことがある、もっと川俣町を良くしたいという強い思いがあり、今回再選を目指した次第です。

 結果として町民の皆様から再び信任をいただき、大変光栄に思っています。身の引き締まる思いで、これからの4年間、全力で職務を全うしてまいります」

 ――1期目の総括について。

 「先ほども触れましたが、1期目は本当にコロナ禍との闘いでした。最優先に取り組んだのは、コロナの感染対策と影響を受けた事業者への支援です。具体的にはワクチン接種の推進、医療体制の確保、事業者への給付金支給などを行いました。  ワクチン接種に関しては、済生会川俣病院を中心に、個別接種と集団接種を組み合わせ、町民の皆様がスム
ーズに接種できるよう体制を整えました。その結果、本町は他市町村と比較して高い接種率を維持することができました。

 事業者の皆様においては、本当に苦しい思いをされた方が多かったと思います。そこで、延べ1100社に対し総額2億5000万円の事業者給付金支援を行いました。また、町民の皆様には町内商店で利用できる商品券を支給し、消費喚起にも努めました。

 経済的な取り組みだけでなく、子育て支援にも注力しました。幼稚園と保育所を統合した認定こども園を整備し、0歳から5歳までの切れ目のない保育を提供できる体制を整えました。また、学校給食費の無償化や3歳未満児の保育料の軽減など、保護者の皆様の経済的負担を軽減する施策も実施しました。

 子育ては未来への投資です。小中学校の統合やICT教育の推進などハード整備に加えて、子育て世代の負担軽減といったソフト整備にも努めることで、人づくりの根幹となる教育の充実を図りました。

 本町の基幹産業である農林業、商工業の振興は町の活性化に不可欠です。農林業においては農地の地域計画の策定や新たな特産品の開発支援などを行いました。商工業においては企業誘致や商店街の活性化支援などに取り組みました。震災復興で整備した産業団地に積極的に企業を誘致した結果、新たな雇用が生まれ、地域経済の活性化につながっています。

 震災からの復興はまだ道半ばです。これまでの復興事業をしっかりと検証し、今後のまちづくりに生かしていくことが重要だと考えています」

 ――2期目の公約についてお聞かせください。

 「2期目はこれまでの取り組みをさらに発展させ、持続可能な川俣町を築いていきたいと考えています。具体的には五つの施策を柱にまちづくりを進めていきたいと思います。

 一つ目は安心・安全なまちづくりです。災害から町民の皆様の命と健康を守るため、防災・減災対策に取り組んでいきます。

 二つ目は子育て支援と教育の充実です。子育て支援を充実させるとともに、安心して子どもを育てられる環境づくりや、特色ある質の高い教育を提供していきます。先述したICT教育の推進もこうした取り組みの一環ですし、今後はこども園から高校まで、競技人口増加を目的にフェンシングによるまちおこしにも注力していく考えです。

 三つ目は移住・定住です。地方への移住については国が整備している助成や補助金がありますが、それだけでなく川俣町が暮らしやすいまちであることをもっとPRするため、地域おこし協力隊の募集や定住者向けの住宅地整備、事業承継相談窓口の開設など、町独自の支援を実施していきます。

 四つ目は活力ある産業づくりです。本町に魅力を感じて暮らし続けられるよう地場産業の活力を高め、雇用機会の創出を図っていきます。具体的には町内商工業を活性化させるため、既存産業の経営基盤の強化やふるさと納税返礼品の開発、農林業を振興させるため、新規就農者支援や就農希望者への遊休地活用、森林環境整備を推進していきます。さらには本町の自然・歴史・文化など地域資源を生かした観光振興、閉校した校舎を活用した体験型観光施設の整備、観光交流専門員の配置といった形で観光交流にも注力していきます。

 そして五つ目は、みんなの生きがいづくりです。運動する機会に恵まれ健康寿命を延ばせるまち、医療・介護が充実し安心して年を重ねられるまちをつくります。本町においても高齢化は大きな課題であり、高齢者の方々が安心して暮らせるまちをつくるためにも、一人暮らしの高齢者の方への支援やデマンドタクシーの利便性向上といった環境整備に加え、高齢者の方々の知恵・知識・技術を活用した事業の推進を図り、住み良さだけでなく生きがいを持てるような施策を実施していきたいと考えています」

 ――産業振興について、1月にはカーボンナノチューブの研究・製造を行うナミックと立地協定を締結されました。今後どのような産業振興を進めていくお考えでしょうか。

 「ナミックとの立地協定は本町の産業振興にとって大きな一歩です。カーボンナノチューブは様々な分野での応用が期待される先端素材であり、ナミックの進出は本町に新たな産業クラスターが形成される可能性を秘めています。今後はナミックとの連携を強化し、研究開発や人材育成など様々な面で協力していきたいと考えています」

 ――地域を担う人材育成や地元活性化の取り組みとして、今年度から全国に向けて川俣高校の生徒募集を行うとともに教育内容を充実させる方針が打ち出されました。この間の経緯と、今後の展望や期待することをお聞かせください。

 「川俣高校は本町の未来を担う人材を育成する重要な拠点です。少子化が進む中、川俣高校の存続と発展は今後の本町の活性化のために必要不可欠です。そうした考えのもと、今年度より全国募集を実施し、県内外から優秀な生徒を呼び込むことで、川俣高校の魅力を高め、地域を担う人材を育成していきたいと思っています」

 ――最後に、今後の抱負をお聞かせください。

 「町民の皆様が安心して暮らせる活力にあふれた川俣町を実現するため、全力で取り組んでまいります。特に産業振興、人材育成、防災対策に重点的に取り組んでいきます。持続可能な川俣町を築いていきたいと考えています」

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