【原町商工会議所】高橋隆助会頭インタビュー(2023.12)

【原町商工会議所】高橋隆助会頭インタビュー(2023.12)

 たかはし・りゅうすけ 1951年生まれ。原町高、拓殖大卒。㈱高良代表取締役。原町商工会議所副会頭を経て2010年11月から現職。現在5期目。

 原町商工会議所の高橋隆助会頭は昨年から5期目の任期に入り、この間、震災・原発事故や新型コロナウイルス感染症の拡大など、厳しい環境下で、舵取り役を担ってきた。高橋会頭にコロナ5類以降の管内の経済状況や、地域の課題、今年度の重点事業、今後の抱負などについてインタビューを行った。

事業者が安心して事業できる環境を整備する

 ――新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行しました。

 「5類移行により、状況は変わりつつあります。移動制限がなく、会議やセミナーなどはリアル開催になりました。親睦会などもこれまで通りの開催となり、飲食店も賑わいを取り戻しています。これからはビヨンドコロナをどのように行動していくかがカギになってくると思います。例えば、コロナ禍で営業自粛を余儀なくされた事業所に勤務していた方々が離職し、現在も前職復帰が進まない事例があります。また、オンライン会議をはじめ、加速度的に発展したIT、IOT、AIなどは今後さらなる発展が予測されます。大きく様変わりをした環境に対応していくことも急務だと思います」

 ――円安や物価高が深刻になっています。

 「8月に会員に実施した管内景気調査によると、約半数の事業者が『業績が悪化している』と回答しており、その理由に『仕入れ価格の動向』が最も多く挙げられています。経営上の問題としては全業種で『売り上げの停滞・減少』が挙げられ、製造業・サービス業では『価格転嫁できていない』、商業・建設業では『人材不足』の割合が高くなっています。物価高が経営を圧迫する中、『適正な価格転嫁』と『人材の確保』が今後の経営上の取り組みとして大変重要だと捉えています」

 ――10月に「第4回ロボテス縁日 ロボット・ドローン大集合」が行われました。

 「国家プロジェクトである『福島イノベーション・コースト構想』の認知度向上を軸に、南相馬市や県内外でロボット・ドローンの開発に取り組む企業・団体・大学等が研究と開発の成果を広く発表し、県民の皆様に親しんでいただける機会として開催されています。4回目の開催となった今年は、浪江町に設立された『福島国際研究教育機構(F―REI)』と『福島水素エネルギー研究フィールド』を紹介するコーナーを新たに設け、浜通り広域に渡って『復興』を感じ取ることができる内容としました。日本のロボット・ドローン産業の拠点として『福島ロボットテストフィールド』の知名度を向上させ、それがまた新たな産業を生み出す『種』となり復興の好循環へとつながることを祈念しています」

 ――「相馬野馬追」が5月に変更する素案が決まりましたが、どう捉えていますか。

 「かつてこの地域では『暮・正月』『お盆』『相馬野馬追』の3つの行事が生活や仕事の大きな節目となっていました。経済界も同様でこの3つの行事前に『納品』『集金』『支払い』などの商慣習を区切りとして行っていたこともありました。時代の変化と共にその慣習も見られなくなってきましたが、『相馬野馬追』はこの地域にとって生活慣習などにも影響する大切な行事です。その開催時期が変更されることは、近年の猛暑の影響もあり多くの人が賛成するところですが、地域行事・イベントをはじめ多くの生活や仕事のスケジュールが変わっていくことになろうと思います。例えば出場する騎馬武者は準備が2カ月前倒しになり、自分の準備や馬の調教もずれ込んできます。相馬野馬追に付随する行事もずれ込みますが、その半面6月、7月には仕事や事業に集中できるようになります。このように多くの物事が変わっていきます。今後は市役所を筆頭に全市で検討を重ねていく必要があると思います。商工会議所もしっかりと協力していきたいと考えています」

 ――今年度の重点事業についてお聞かせください。

 「今年度は次の3点を基本方針に取り組んでいます。1つ目が東日本大震災及び原発事故からの復旧・復興です。国の『第2期・復興創生期間』が残り3年度となる本年は、商工業者同士がつながりを持てる地域経済環境の整備を図りたいと思います。

 2つ目は相談業務及び事業所支援の充実です。地域の商工業者に対して、伴走型支援を実施すると同時に個々では解決が困難な問題に対し、会員の意見を集約して建議活動を行っていきます。

 3つ目は関係機関との連携強化です。複雑かつ多様化する問題に対して、日本商工会議所をはじめとした関係機関と連携して対処していきたいと考えています。

 特に地域経済環境の整備は重要であると捉えており、福島イノベーション・コースト構想を活用して産業交流を促進するため、進出企業と当会議所役員・議員との交流会を実験的に開催しました。引き続き地域資源を活用した産業交流を促進し、新たな取引増加につながる事業を検討していきたいと思います」

 ――国・県に望むことは。

 「10月から開始したインボイス制度について、十分な理解が進んでいるとは言い難い背景から、中小企業者等への負担軽減措置が必要だと考えています。当会議所においても昨年からセミナーの開催、小冊子の配布、窓口での重点的な相談等を実施していますが、特に小規模事業者への支援を継続していきたいと思います。本制度は単に新たな制度の導入という概念に留まらず、事業者の取引そのものに影響を与えるもので、すでに一部の軽減措置は取られていますが、理解が完全に醸成されるまでは引き続き負担軽減措置をお願いしたいと思います。

 また、ロシアのウクライナ侵攻や中東問題等、事業所を取り巻く地政学的環境はこの数年で急激に悪化しました。事業者にとって地政学リスクを踏まえた視点は不可欠となっていますが、自助できることには限りがありますので、国の積極的な関与や支援策の実施により、安定的な経営ができる環境整備を期待します。

 加えて、ALPS処理水放出に伴う風評被害への対策や障害が生じた場合の適正な賠償、中間貯蔵施設の除去土壌の最終処分、1日も早い廃炉の実現など、原発事故に関する問題への対応もしっかり行っていただきたいと思います」

 ――今後の抱負。

 「地政学リスクへの対応、地域資源としてのイノベ構想の利活用、労働力不足、廃炉など、地域の商工業者が抱える問題は山積しています。また、人口減少社会の中での販路拡大や事業承継問題にも継続して取り組む必要があります。会議所としては、事業者が安心して事業を継続できる環境を整備するため、役職員全員で事業に取り組んでいきたいと思います」

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