【福島県商工会連合会】渡邊武会長インタビュー(2026年2月)

【福島県商工会連合会】渡邊武会長インタビュー(2026年2月)

経歴

わたなべ・たけし 1958年生まれ。東北工業大学卒。㈱渡辺工務店代表取締役。2009年5月に伊達市商工会会長就任。県商工会連合会副会長を経て、2024年5月から現職。

伴走型経営支援と組織の強化に邁進

――1期目の任期も折り返しを過ぎました。

「就任後、まず県内の88商工会をすべて巡回訪問し、現状把握と地域によって異なる課題の明確化に努めました。商工会はかつて自治体ごとにありましたが、市町村合併によって1つの自治体に複数存在しているケースも増えています。人口減少に伴い商工業者も減少しており、商工会組織が小規模化している現実を見てきました。

現在、商工会を取り巻く経済環境は、インフレ、円安、物価高騰など、極めて激しい変化の中にあります。特に深刻なのが、労働人口の減少と大都市圏への流出による人手不足です。これに賃上げの要請も重なり、内需に依存する地方の中小企業・小規模事業所にとっては、かつてないほど厳しい状況が続いています。社会や経営環境の激変に対応すべく、新たな時代の商工会が求められていると言えます」

――なみえ焼そばの商標権をめぐる騒動がありましたが、地域のブランドを守るための取り組みについて。

「なみえ焼そばは、青年部などが事業を興して全国的なブランドに育て上げた成功事例であり、その努力には敬意を表しています。一方で、商工会がどう携わるか、進め方の難しさも浮き彫りになりました。ブランドは事業者に帰属されながら成長発展し、商工会は、事業者がそのブランドを有効に活用できるよう、支援する団体として地域からも期待されています。

当連合会としては、震災・原発事故直後から『ふくしまの食ブランドの再生事業』として物産展を開催してきました。当時は単に安全を訴えるのではなく、放射性物質の検査状況を可視化し、消費者や流通業者が自ら“安全”を判断できる材料を提供することに注力しました。先ずは県内での消費回復を図りながら、風評被害の払拭に努めることが目的でした。

現在は、新型コロナウイルスによる生活様式の変化に対応し、通販サイトを立ち上げています。100人を超える生産者の人柄や想いを伝えるなど、オリジナルブランドの構築と販路開拓を支援しています。商工会は事業者に寄り添い、きめ細かな伴走支援を通じて、事業者の事業の持続的発展に貢献するのが本来の役割です」

行政とともに産業振興

――2026年度の重点事業と活動方針についてお聞かせください。

「スローガンとして『新たな時代の商工会へ』を掲げ、『会員事業者に頼られ、地域の発展をけん引する商工会』を目指します。

最優先で取り組むのは、事業者に徹底して寄り添う伴走型経営支援の強化です。物価高対策や適正な価格転嫁への支援はもちろん、DXやAI社会への対応を急がなければなりません。起業・創業支援、事業承継からM&Aへの展開も加速させます。

商工会の組織基盤の充実強化も急務です。県内の商工会は、会員数が200人を割る小規模な組織が半分以上を占めています。組織の在り方検討に組織改編等を含めた、大きな枠組みで将来を見据えた議論を進め、商工会が専門性を発揮できる体制づくりを検討します。

併せて、収益性のある事業への取り組みも検討しなければなりません。行政と一体となって地域の地場産業を振興し、新たな産業を創出する。地域の総合経済団体として、行政の施策に主体的に参画していくことが、これからの地方創生の鍵になると考えています」

――今後の抱負について。

「社会の激変に対応するため、まずは役職員のスキルアップを徹底します。特にITやAIを使いこなし、経営支援体制を機敏に改善し得る機能強化を図ります。

また、個人的に強い危機感を持っているのがクマの出没数増加です。商工会があるエリアは中山間地が多く、地域イベントの中止が相次ぐなど、交流人口対策に深刻な影響が出ています。ある地域では熱センサー搭載ドローンを導入したとの報道もあります。地域が安心して経済活動を行えるような対策を講じることも重要です。

次世代の育成にも取り組みます。労働力の県外流出に歯止めをかけるため、子どもたちに地元の事業者の魅力を伝え、地域の職業人の生の声を聞いたり、職業体験を通じた教育に注力したいです。これは地域の魅力を伝えることにもつながります。私も県商工会連合会会長としての責務を果たすべく、取り巻く事業環境の変化を乗り越え邁進していきます」

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