双葉・大熊両町に設置された中間貯蔵施設での保管期間は2045年3月までとされており、あと20年を切った。環境省は除染土再利用を推進しているが、思うように進んでいない。そもそも、除染土再利用にどれほど意味があるのかが示されていないのが問題だ。
意図が感じられない復興再利用

東京電力福島第一原発事故を受け、放射性物質を取り除く除染作業が県内広範囲で実施された。これによって発生した除染土は、双葉・大熊両町に設置された中間貯蔵施設に運び込み、30年間(2045年3月まで)、適正管理した後、県外で最終処分することが法律で決まっている。
一方で、国は管理しなければならない除染土の容量を減らすことで、県外最終処分を受け入れてもらいやすくしようと、放射性セシウム濃度が1㌔当たり8000ベクレル以下の除染土を公共事業などで使用する「除染土再利用計画」を進めている。この計画ついて、環境省は「除染土の復興再生利用」というフレーズを使うようになった。
同計画に関しては、これまでに南相馬市や飯舘村で実証事業を行ってきた。ほかにも実証事業の計画はあったが、近隣住民の反対を受け、計画を断念した経緯がある。二本松市原セ地区の市道整備で路床材として用いる実証事業(詳細は本誌2018年7月号でリポート)、南相馬市小高区の羽倉地区周辺で、常磐道拡幅工事の盛り土に使う実証事業(同2019年2月号)などがそれに当たる。
県外でも、埼玉県所沢市と東京都新宿区で実証事業計画があったが、同様の理由で進んでいない。県外での実証事業は施工予定業者との契約が破棄になり、事実上の白紙状態になっている。
そんな中、昨年7月に首相官邸の前庭で、9月には霞が関の中央省庁の花壇や盛り土の計9カ所で再利用が実施された。いずれも工事は完了済み。モニタリング結果は首相官邸が施工前0・07~0・10マイクロシーベルト毎時、施工後(2月6日)0・11マイクロシーベルト毎時、中央省庁が施工前0・04〜0・09マイクロシーベルト毎時、施工後(2月6日)0・05〜0・13マイクロシーベルト毎時となっている。横ばいのところもあるが、おおむね各所で0・03マイクロシーベルト前後上昇している。
一方で、首相官邸に運び込まれた除染土は約2立方㍍、中央省庁は約66立方㍍という。一方、今年1月末までに中間貯蔵施設に運び込まれた除染土壌は約1424万立方㍍で、このうち4分の3は再利用が可能とされているから1000万立方㍍超ということになり、今回首相官邸と中央省庁で使用されたのは10万分の1以下に過ぎない。
そのため、国はさらなる再利用に躍起になっており、2月10日に行われた会見で、石原宏高環境大臣は新たな再利用先を今秋までに決定する方針を示した。
石原大臣は「秋までには再利用する場所を必ず見つけられるよう、全力を尽くしたい」と述べた。
国が昨年8月にまとめた「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた復興再生利用等の推進に関するロードマップ」によると、2030年ごろに最終処分場の候補地の選定を開始し、2035年をめどに処分場の仕様を具体化させ、候補地を選定するという。
本音の議論をする時期
それまでにどれだけ容量を減らせるか、すなわち除染土再利用を進められるかということになりそうだが、そもそも、本誌で再三指摘しているように、除染土再利用によって管理しなければならない除染土の容量を減らすことで、最終処分場を受け入れてもいい、というところが出てくるのだろうか。
除染土の総量は東京ドーム11個分とされる。前述したようにこのうち4分の3は再利用が可能とされているから、それがすべて叶えば東京ドーム約3個分まで減らすことができる。
そのうえで、例えば、「東京ドーム11個分は受け入れられないけど、3個分なら受け入れてもいい」とか、「1個分なら」というところが複数あるのであれば、除染土再利用は意味のあるものと言えなくもない。ただ、実際は東京ドーム数個分と比べたら圧倒的に少量の実証実験ですら、反対の声が上がり、進められなかった。そんな状況で、東京ドーム1〜3個分を受け入れてもいいというところがどこにあるのか。
本来は「東京ドーム1〜3個分まで減らせば、〇〇県××市で最終処分を受け入れてもらえるから、その容量まで減らすために、安全性が確認できた土壌については、公共事業などで使用させてください」ということになって初めて成立する話だ。その前提条件がない中で、「除染土再利用を推進する」といっても、理解は得られまい。実証事業の候補地で「(除染土の)単なるバラ撒きでしかない」といった批判が出たのはそういうことだ。
8000ベクレル以下というクリアランスレベルについても、問題視する声は少なくない。何より、本当に「安全」なものだとしても、前述したような前提条件が整っていない中では、「信頼」には値しない。信頼に値しない人がいくら「安全だから受け入れて」と言ったところで、それが事実だったとしても拒絶反応を示されるのは当然のこと。
原発事故の旧避難指示区域の住民の中には「『最終処分先を探したけど見つかりませんでした』といって、なし崩し的に福島県内に留め置かれることも十分に考えられる。それが帰還を諦めた1つの要因でもある」と話す人もいた。
それも十分考えられることだが、法令で「2045年3月までに県外搬出」と定められている以上、国には責任を持って対応してもらわなければならない。
「30年以内」という期限まで、残された時間はあと20年を切った。再利用という「目先のごまかし」に終始するのではなく、正直に困難な現状を認め、国民全体でこの「負の遺産」をどう分かち合うべきか、真正面から議論する時期に差し掛かっていると言える。

























