従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践している企業を県が認定する「ふくしま健康経営優良事業所」制度。2025年度は過去最多の320事業所が認定され、3期以上連続認定の117事業所が長期優良事業所と認められた。特に優れた取り組みとして表彰された3事業所と一部事業所を紹介する。
矢吹タクシー(矢吹町)【県知事賞 2025年度認定】

徒歩習慣と健康面談徹底で勤続支援
タクシー事業と観光バス事業を手掛け、乗客の命を預かるドライバーが従業員の半数以上を占める。健康の重要性を実感していた矢先にコロナ禍となったため、本格的に健康経営に挑戦した。血圧測定の習慣を導入したところ、従業員同士で体調を気遣う会話が増えた。長時間運転による運動不足解消のため、ウオーキングも取り入れ、「ふくしま健民アプリ」で測定した歩数を競い合うなど、コミュニケーションを取りつつ健康意識向上につなげている。
さらに管理職による「健康面談」を徹底し、健康診断で異常の所見が認められたら再受診を促すようにしている。場合によっては乗務から外し、医師による診断書が出るまで復帰させない。睡眠時無呼吸症候群(SAS)のチェックや脳ドック・心疾患の検診徹底など高齢ドライバーに多いリスクの事前把握に努めている。
ここまで従業員の健康管理を徹底する背景には、業界全体でドライバーが高齢化していることも影響している。同社の最高齢ドライバーは75歳。若い世代の採用がなかなか進まない中、ベテランドライバーにいかに長く、元気に働いてもらうかがかぎとなる。そのためにも、会社が費用を補助してでも高度な検診を実施し、病気を未然に防ぐ環境づくりを進めている。
舘秀幸代表取締役社長(写真左、右は舘諒太取締役)は「代表自ら健康に悪い喫煙を続けていては社員に示しがつかない」と禁煙に挑み、現在も継続中。「今後は社内の完全禁煙を目指す。引き続き従業員に長く働いてもらえる環境づくりと体調管理を徹底していきたい」と述べる。
会津土建(会津若松市)【2024年度認定】

社内環境充実で健康意識と幸福度向上
コロナ禍以降、スポーツジムとの提携やボウリング部の創設、社屋リフォームによるリラックス空間整備などを実施し、社員の健康意識向上と社内コミュニケーションの活性化を図ってきた。社員有志でマラソン大会にも出場。男性の育児休業(パパ育休)取得率は100%を達成中。今年の創業100周年を機に、子の小学校入学時にランドセルを贈呈する取り組みも開始。こうした取り組みにより福島県の優良事業所や経済産業省「ネクストブライト1000」に認定された。生産性向上と「格好いい」建設業を目指す「新4K」の旗振り役として注目される。
同社の菅家忠洋社長は「健康経営とは会社を好きになってもらうための取り組み。今後も働きやすさと幸福度向上を追求したい」と語る。
ANAエアサービス福島(玉川村)【福島民報社賞 2025年度認定】

アイスやカイロの無料配布で体調維持
福島空港での航空機の地上支援や手荷物搬送を担っている。空港運営の安全強化と採用力の向上を目的に、ふくしま健康経営優良事業所制度の認定取得にチャレンジした。事故未然防止の取り組みとして、健康管理の徹底を重視している。
ワークライフバランスを重視する求職者へのアプローチも狙いの一つだ。具体的な施策として、スマホアプリを活用したグループ対抗のウオーキングイベントや健康イベントを実施している。体調管理の一環で、猛暑期には水やアイス、冬季には温茶や複数種のカイロを配布。また、女性従業員が約6割を占める実情に合わせ、婦人科検診費用を全額負担している。これらの取り組みにより、健診時期以外でも健康を意識する社員が増加し、部署を越えたコミュニケーションの活性化という成果も生まれているという。
にしあいづ福祉会(西会津町)【福島民友新聞社賞 2024年度認定】

健康ポイント手帳を組織全体で活用
「職員が健康でなければ利用者へ質の高いサービスは提供できない」という理念のもと、2019年より健康経営に着手。2021年度には健康事業所宣言を行い、専門のプロジェクトチームを発足させている。具体的な活動としては、40歳以上の職員への5年に1度の人間ドック費用助成や、全事業所への血圧計設置による高血圧対策を実施している。
また、地元・西会津町が推し進めている「健康ポイント手帳」を組織全体で活用し、血圧・体重測定や運動などの項目を記録。3カ月で一定のポイントに達した職員には理事長賞を授与し、モチベーション維持を図っている。
ラジオ体操の推進や法人内ウオーキング大会の開催など、運動機会の創出にも注力した。これらの継続的な取り組みの結果、2022年度には初のふくしま健康経営優良事業所認定を受けた。現在では職員の参加率が99.4%に達するなど、組織全体に健康意識が深く浸透している。
日和田ショッピングモール(郡山市)【2025年度認定】

日常動作にひと工夫で健康改善実現
2023年8月の既存施設閉店に伴う事務作業増加を機に「健康経営」を加速。日常の何気ない動作に「工夫」を加えた「1分間チョイトレ体操」を1日3回実施するほか、ゴミ箱を1カ所に集約し歩くことを意識づけた。併せて食生活改善運動や協会けんぽの出前講座にも取り組む。こうした活動の結果、昨年3月の健康診断では、平均血管年齢が実年齢より75%も若いという記録を達成。メタボリックシンドローム該当率は18.2%から9.1%へ半減し、特定保健指導該当率0%を実現した。
血圧や脂質のリスク保有率も大幅に低下するなど、従業員の健康数値は劇的に改善した。新施設「イオンモール郡山」の開業に向け、従業員全員が健やかに活躍できる組織作りを力強く推進している。

























