楢葉町のJR竜田駅東側への民間ホテル進出計画が頓挫し、予定地の〝後始末〟が必要になったとして、町の2026年度当初予算に2億1200万円が盛り込まれた。この件について、町議会6月定例会の一般質問で町執行部への質問が行われた。
町は2014年に策定した「土地利用計画アクションプラン」で竜田駅東口に宿泊施設を誘致する方針を決定。神奈川県箱根町の老舗旅館「一の湯」のグループ会社・ファーストスプリングが進出することになり、町との間で協定を締結した。
鉄骨造4階建て、客室数207室。温泉施設やレストラン、コンビニ店が入るビジネスホテルで、建設費は約30億円。町はホテルに無償で町有地を貸与。国の補助金で建設費の4分の3が補助対象となる予定だった。
ところが、開業予定だった翌年には工事資金の枯渇などを理由に建築工事が中断。2022年にはファースト社の破産手続きが完了し、この間、ホテル進出予定地には工事の残置物(基礎工事跡)が残されたままになっている。
計画頓挫の背景は毎日新聞(ウェブ版2021年3月31日配信)が詳報している。融資金約11億7000万円が工事を請け負うJVを経て建設会社に送金されたが、このJVが千葉県の建設会社に約9億7000万円で工事を丸投げ。さらにその建設会社が、仕事をあっせんしてくれた「復興事業連合会」という団体の会長・会長補佐に約8億6000万円を預けた。そこから東京都内の建築士にも金が流れたとされる。同紙は各関係者の居場所を突き止めたが、それぞれの主張は食い違っており、真相はいまなお不明のままだ。
町は建設予定地への新たなホテルの誘致を続けてきたが、事業者は見つからず、やむなく残置物の撤去工事を行うことになった。その費用が2億円超に上るというわけ。
6月10日に開かれた同町議会6月定例会の一般質問では、松本明平町議が「ホテル事業者の選択などに問題はなかったのか。事業は失敗だったのではないか」とただした。
それに対し、松本幸英町長は次のように答弁した。
「一の湯は、箱根において7店舗ものホテルを運営するノウハウを有しており、当該法人の長年にわたるホテル経営の実績と被災者支援、被災地支援に積極的に取り組まれていた姿勢から、信頼に足る事業者というふうに判断しました。残念ながら進出には至らない結果となりましたが、順調に進出していた場合は、町が期待した産業振興に大きく寄与したものと考えているところです。当該法人を選定したことに問題はなかったと認識しています」
一般質問でのやり取りによると、残置物撤去にかかる約2億円の費用については、公共施設等総合管理基金から繰り入れる形で財源を確保し撤去するという。
松本明平町議は「結局、8年経ってもホテルは建設されておらず、新たに約2億円の負担が生じている。住民の財産に損害を与えたという意味では町長失格。辞職すべきではないか」と厳しく追及した。
松本幸英町長は「造成事業を完工し、ホテル誘致、建築工事着工まで進んだので、事業としてはできる限りの成果は果たしたと認識している。事業者同士の問題に楢葉町が介入できなかった。今後誘致を進める際にはしっかり対応していきます。町がしっかりと入って、ホテルの進出が実現しなかったということではないので、辞職する考えはありません」と述べた。
あまり注目されていないが、復興事業の検証という観点から、見過ごせないニュースと言えよう。

























