【本誌記者流】競馬場の達人

 JRA(日本中央競馬会)の競馬場は全国に10カ所ある。それを多いと捉えるか、少ないと捉えるかは人それぞれだが、そのうちの1つが福島市にある。福島市を拠点にする本誌にとってはすぐに行ける場所だが、全国的に見たら、JRAの競馬場が身近にあるという環境は稀な部類に入る。せっかく、身近に競馬場があるのだから楽しもう、ということで秋の福島競馬に赴いた。(末永)

秋の福島競馬に参戦

 「競馬場の達人」という番組をご存知だろうか。グリーンチャンネルで放送されている競馬バラエティー番組である。競馬を愛する著名人やタレントがゲストとして登場し、実際に競馬場で馬券を予想・購入しながら、その楽しみ方や独自の哲学を語るという内容。

 筆者が「達人」というのはおこがましいが、自分なりのこだわり・楽しみ方は持っている。なので、この稿は「競馬場の達人」のオマージュ企画。

 競馬を楽しむうえで、いくつかこだわりがあるが、その中でも小さいこだわりと譲れないこだわりがある。その点で言うと、筆者が絶対に譲れないこだわりは「少ない金額でより多くのレースを楽しむ」だ。

 秋の福島競馬が開催されたのは11月8日から24日までの延べ6日間。このうち、11月15日土曜日に現地参戦した。その日は福島のほか、東京、京都で開催され、各場12レース、計36レースが組まれていた。

 そんな中で「少ない金額でより多くのレースを楽しむ」というこだわりが何を意味するか。そう、36レースすべての馬券を買うのだ。あまりよく分からない障害レースだろうが、出走頭数が少なく馬券妙味がさほどないレースだろうがお構いなし。とにかく、全レースを楽しむというのがオレ流。そうなると、必然的に、朝9時ごろから夕方5時ごろまで競馬場にいることになる。

 ちなみに、今回の福島競馬の最終週は、変則開催だった。通常は土日開催だが、最終週は土日と振替休日(月曜日)の3連休。それを利用して、土曜日は福島と京都、日曜日は東京と京都、月曜日は福島と東京という3日間の開催となった。年に数回、こういった変則開催の日があるが、筆者はこれを好まない。開催されているのが2場しかないと24レースしか楽しめないからだ。だから、2場開催の日は、最初から参戦候補日に入らない。

 1レース当たりに使う金額は500円から1000円。平均すると700円前後で、それを36レースやると約2万5000円分馬券を買うことになる。

 36レースで馬券を買うと、1つの負けに落ち込んでいる暇はない。即断即決で馬券購入、レース観戦の繰り返しだ。それがいい。そうでないと、あまりいいことが起きない。例えば2場開催(24レース)だと、3場開催(36レース)に比べて時間にゆとりがある。それが何をもたらすか。馬券を購入→締め切りまでまだ時間がある→再度新聞を見て、この馬もいいかもしれない、こっちの馬も押さえておいた方がよかったかもという衝動に駆られる→馬券を買い足す、といったサイクルになり、むしろレース数が少ない方がお金を使ってしまう。だから、自分には即断即決で馬券購入、レース観戦の繰り返しになる3場開催が性に合っている。

 馬券の買い方はというと、1レース当たりの購入金額が少なくなると、どうしても穴狙いをしたくなる。過去には36レースすべてで馬券を買い、1勝35敗でトータル収支がプラスになったこともある。ほかにも朝イチで万馬券を的中させ、これで少し余裕ができたと思ったら、そこから終盤まで30連敗ほどを記録したこともあった。

 それでも、的中による払い戻しがゼロだったことはいままで一度もない(と記憶している)。きちんと収支を取っているわけではないので、イメージの話になるが、調子が悪くても、おおむね5〜6割くらいは回収できる印象。約2万5000円使って、5〜6割の回収だと1万円から1万3000円くらいのマイナス。そこに昼食代や駐車場代、新聞代を入れても1万5000円くらい。もちろん、勝つときもある。たまにだけど。

テーマパークに行った

 これはこだわりではなく、思考の問題だが、競馬場に行くときは「テーマパークに行った」と思うようにしている。テーマパークに遊びに行き、1万円を使ったとして、「1万円負けた」と思う人はいない。それと同じように考えている。それどころか「テーマパーク(競馬場)で1日遊んだのに、財布の中身が増えた(減らなかった)」ということさえある。他者から見たら「謎思考」だろうけど、そんな感じで楽しんでいる。

 もっとも、競馬場に行くのは年に1回あるかどうか。ちなみに今回は昨年春の福島競馬以来、約1年半ぶりだった。年1回行くかどうかで、前述したくらいの予算なら、許容範囲だと自分では思っている。繰り返しになるけど、たまには勝つし……。

 もう1つ、絶対に譲れないこだわりがある。それが「屋外スタンドでレースを見る」だ。

 以前は指定席(屋内スタンド)に陣取っていたこともあったが、せっかく生で競馬が見られるのに、屋内スタンドからガラス越しに見るのもどうなのかと思うようになった。やっぱり、屋外スタンドで見ると迫力があり、自然と声が出てしまう。もっとも、声が出るのは自分の狙い目の馬がいい勝負をしているときだけ。そうでないときは、「あー、全然ダメだ」という感じで呆然と見送るだけになってしまう。いずれにしても、券売機が近い屋内に陣取り、レースになったら、屋外スタンドで見るというのがこだわりポイントになっている。

 そのほか、小さなこだわりポイントで言うと、「競馬新聞は前日に買う」ということがある。そう聞くと、前日から競馬新聞に掲載されたデータなどを細かくチェックしているように思われるかもしれないが、そこまでではない。軽く眺める程度だが、多少は目を通しておく。それで勝率が上がるわけではない。どちらかと言うと、締め切り直前の直感派で、その方が勝率がいいように思う。

 さて、今回の参戦だが、結論から言うとボロボロだった。穴狙いの筆者には厳しいレースが多かった。手堅いところを狙う人にとっては勝ちやすい1日だったと思う。もちろん、荒れたレースもあったが、仕留めきれなかった。トータルで2万4000円分ほど馬券を買い、回収は約8000円。約1万6000円のマイナスとなった。的中は福島で1本、東京で1本、京都は全滅だった。

 他者から見たら絵に描いたような惨敗だが、筆者自身は「テーマパークでちょっとはしゃいで、想定以上にお金を使った」に過ぎない。

末永 武史

すえなが・たけし

1980(昭和55)年生まれ。南相馬市出身。
新卒で東邦出版に入社。

【最近担当した主な記事】
合併しなかった県内自治体(6回シリーズ)
原発事故追加賠償の全容(2023年3月号)

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