今夏の東日大昌平の活躍を、コアなファンはどう見るのか。高校野球通として知られ、毎年、甲子園大会のほぼ全試合を現地観戦するお笑い芸人のかみじょうたけしさん、いけだてつやさんに語ってもらった。


――東日大昌平の戦いぶりをどう見ましたか。
かみじょうたけし(以下、かみじょう) 福島県の強豪・聖光学院を倒して出てきて、甲子園でも初出場で2勝と、本当に福島県の高校野球の歴史に名を刻んだと思います。
いけだてつや(以下、いけだ) 福島県って、昨年までの20年間で(夏は)3校しか出てないんですよね(※1)。福島県は、聖光学院以外の高校がないんじゃないかというくらい出てきませんでしたし、聖光学院以外は勝てないみたいなイメージだったと思います。そのイメージを変えたのは大きいですよね。
※1 福島県は昨年までの過去20年間で、2006年に光南、2021年に日大東北が甲子園に出場した以外はすべて聖光学院が夏の代表になっている。
――東日大昌平の江井康胤監督は、聖光学院に勝てるだけの力があれば、全国でもやれる手応えはあった、とおっしゃっていました。
いけだ 特に今年の聖光学院は、甲子園でも上位候補に挙がるんじゃないかという下馬評でしたしね。
かみじょう 聖光学院は夏までの大会で結構強豪校を倒して、それも強い戦い方でした。だから、今年も福島県は聖光学院で固いかなと思っていました。
いけだ 東日大昌平は聖光学院だけでなく、学法石川にも勝って出てきましたから。文句のつけようのない勝ち上がりですよね。
――照沼佑崇投手の印象、そのほか印象に残った選手やプレーなどはありましたか。
かみじょう 照沼投手、よかったですね。マスクもさわやかイケメンって感じでね。でも、ほかにもいい選手がいっぱいいましたし、照沼投手がいろんなところでも取り上げられて有名になったことで、ここでやりたいという子どもたちが増えるんじゃないですか。
いけだ やっぱり勝ち上がるチームは、ミラクルとか、何か華やかなことが起こったりすると思うんです。2回戦の青森山田戦で、サードの渡辺(頼都)選手がカメラマン席に飛び込んでキャッチしたりとか、ああいうビッグプレーが生まれたのは偶然じゃなくて、ここまで勝ち上がるだけの必然の強さがあったような気がしました。そういったところで、東日大昌平のこの夏の勝ち上がりは、われわれファンにとってもすごく印象に残っています。
かみじょう 1つ思ったのが、甲子園のスコアボードに「昌平」って出てて、一瞬、(埼玉県の強豪の)あの「昌平」かと錯覚しました。
――甲子園のスコアボードは基本4文字までですもんね。だから、「昌平」という表記になったんでしょうけど、そもそも「東日大昌平って、どう読めばいいの?」と思っていた人は結構いると思います。例えば、埼玉県の花咲徳栄も最初に出てきたときは「何て読むの?」と思いましたが、いまは高校野球ファンで読み方を知らない人はいません。これは初出場の宿命とも言えますが、こうした新興校が常連校になれるかどうかの分かれ道はどこにあると思いますか。例えば、私は東北地方の高校野球を見ることが多いんですが、山形県の羽黒高校(※2)は甲子園で強烈なインパクトを残し、常連校になっていくのかなと思いましたが、その後はほとんど出ていません。
※2 羽黒高校は春夏通算3回の甲子園出場がある。2003年夏に初出場し初戦敗退。2005年春はベスト4に進出し、強烈なインパクトを残したが、その後は2018年夏に一度出場したきり。
かみじょう 羽黒高校ね。片山マウリシオ投手とか、印象に残っていますね。
いけだ 確かに。でもまあ、学校のバックアップが一番なんじゃないですか。例えば、千葉、埼玉、神奈川、愛知、大阪、福岡とか、8回くらい勝たないと甲子園に行けないところだと、何回ミラクルを起こさないといけないんだ、みたいなところがあるじゃないですか。でも、4、5勝で甲子園に行けるところだと、組み合わせ次第で、上手いこと勝ち上がって出場するということはあり得ると思います。そこから学校が力入れるかどうかによって変わってきますよね。
かみじょう 私学の女子校を共学化したときに野球部を強化して、数年で甲子園に出て、そこから選手を集めて、強豪校になっていくというパターンは結構ありますね。あとは、系列の大学があるところはめちゃくちゃ大きいと思います。系列でなくても、どこかの大学にルートがあるとか。やっぱり、親御さんは、同じ強豪校でも、その先(大学)があると送り出しやすいんでしょう。まあでも、ある年だけたまたまいい選手が集まって、それで甲子園に出たというパターンはその年だけで終わることが多い。でも、いい監督・コーチを呼んで、少しずつ強化して、ベスト8、ベスト4、あと一歩という感じで来て、悲願を果たしたというパターンだと、結構続いていくイメージですね。
いけだ そういう時って、「ほらな。俺は○年前くらいから、そろそろこの高校が甲子園に行くって言っていただろ」っていう、その地区に詳しい人がSNS上に現れますよね(笑)。俺だけは数年前から予見していた、みたいな。
かみじょう 確かにな(笑)。
いけだ でも、東日大昌平は、甲子園で結果を出して、話題にもなって、そうなると、ここに入りたいという人は増えてくるんじゃないですかね。
かみじょう 実際に結果を出したからね。勧誘するにしても「これからは東日大昌平の時代ですよ」って言えるしね。いままでだったら、その県で一番の強豪校に行っていた選手が、ここでも本気で甲子園を目指せるってなったら、そっちに選手が流れ出して、いち時代ができるかもしれない。「あの時の甲子園を見て、僕はここに決めたんだ」っていう球児がまた甲子園に出てくることを楽しみにしたいですね。
いけだ 東日大昌平には、入口(侑大)君とか、2年生でもいい選手がいました。そういうのを見ていると、東日大昌平の活躍は、この世代だけじゃなくて、次の世代にも続いていくんじゃないかなと思います。
かみじょう 常連校への「入口」になったと(笑)。
いけだ ですね(笑)。今後も期待したいです。
――ありがとうございました。
取材を終えて
最後は芸人さんらしく、最高の大喜利(?)で締めくくってもらったが、「常連校への道」という部分で、いけださんの「学校のバックアップが一番」、かみじょうさんの「系列大学やルートがあると強い」といったコメントが印象的だった。というのは、第二部で紹介した「いわき甲子園プロジェクト」や、東日大昌平が東日本国際大学系列という環境と見事に合致していたからだ。長年、高校野球を見続け、深く入り込んでいる二人ならでは視点と言えそうだ。(担当・末永)





















に向けて掲げられたプラカード。過激な言葉が並んだ=2025年10月19日、仙台市青葉区河北新報提供-002_eyecatch-520x305.jpg)



