燻り続ける楢葉町議会「万博視察」問題

燻り続ける楢葉町議会「万博視察」問題

本誌昨年11月号に「楢葉町議会『万博視察』に町民から疑問の声」という記事を掲載した。

楢葉町議会では昨年10月8日から10日にかけて、総務環境常任委員会と経済福祉常任委員会の合同視察として、関西方面に行った。その旅程に大阪・関西万博会場も含まれていたことから「観光目的の色が濃い視察だったのではないか」と町民の間で疑問の声が出ていたことをリポートしたもの。

昨年9月定例会で議案が発議され、松本明平町議(2期)が「住民の理解を得られるのか」と疑義を呈したが、賛成8、反対1の賛成多数で可決された。議論が十分に尽くされたとは言い難いまま決議され、松本町議は合同視察を欠席した。

合同視察では、同町でサツマイモファームを運営する白ハト食品工業(大阪府守口市、永尾俊一社長)の本社・工場を見学し、万博会場内に出展している「らぽっぽファーム」のイベント「さつまいも収穫祭」に出席した。同ファームでは楢葉町産の苗を、可動式コンテナを活用して栽培しており、未来型農業として紹介していた。その展示・発信状況を確認するため、サツマイモを収穫するイベントを訪問したのだ。

町は復興に向けて甘藷(サツマイモ)の一大産地化を目指しており、2017年には同町、白ハト食品工業、東電、JA福島さくらの4者で甘藷実証栽培に関する連携協力の協定を結んでいる。昨年は避難指示解除から10年の節目だったこともあり、議員全員で訪れて復興をアピールする狙いもあったと思われる。

収穫祭は朝9時からスタートし、松本幸英町長も出席した。議会事務局に確認したところ、1時間ほどで会場を後にし、万博を満喫した感じではないという説明だった。

ただ、その後町民らが情報開示請求で入手した資料には以下のように記されていた。

10時 アメリカパビリオン見学

11時 大阪のれんめぐり昼食

12時 閉会

日程表によると、滞在は13時45分まで。つまり、議会事務局の説明に反して、結構時間的余裕があったうえ、人気のアメリカパビリオンまで見学していたことになる。

※万博会場での記念撮影(情報開示請求で示された資料より=町民提供)
※万博会場での記念撮影(情報開示請求で示された資料より=町民提供)

合同視察終了後、松本町議が青木基議長にあらためて合同視察について疑問をただした。

そこでの説明によると、アメリカパビリオン視察は、昼食までの時間を活用したもので、白ハト食品工業の配慮で準備してもらったという。ちなみに万博会場への入場料に関しても、白ハト食品工業の関係者枠として入場したため、議員の個人負担はなかったようだ。

昼食は各自で取る流れとなっていたが、あまりの混雑ぶりで時間が長引き、早めに退出してきたということで、「一般観光の時間を確保していたわけではない。あくまで視察として足を運んだものだ」としている。

すなわち、公費での視察にもかかわらず、町内進出企業に手配してもらい、混雑する中で人気のパビリオンを視察し、結果的に入場料も発生しなかったことになる。これに対し、一部町民の間では「ズブズブの関係だ」、「利益供与に当たらないのか」という声が上がっているという。

復興のために町内に進出してきた企業との連携強化を否定するつもりはない。問題視されているのは、その過程がどれだけ透明で、住民に説明しうるものだったのか、という点。町民によってその受け止め方は分かれそうだが、合同視察を欠席した松本町議は今後も一連の対応について、検証を続けていく考えを示している。

万博は終わったが、この問題はなおも燻り続けている。

関連記事

  1. 国見町議会には荷が重い救急車事業検証

    国見町議会には荷が重い救急車事業検証

  2. 桑折・福島蚕糸跡地「廃棄物出土」のその後

    桑折・福島蚕糸跡地「廃棄物出土」のその後

  3. 南相馬市長選漫遊

    南相馬市長選漫遊

  4. 白河市議会最大会派〝分裂〟の影響

    白河市議会最大会派〝分裂〟の影響

  5. 悪評絶えない山本幸一郎【浪江町】副議長

    悪評絶えない山本幸一郎【浪江町】副議長

  6. 〝不祥事連続〟楢葉町で行われていた「職員カンパ」

    楢葉町で3年連続職員不祥事

  7. 追悼・渡部恒三元衆議院副議長11月6日にお別れの会開催

    追悼・渡部恒三元衆議院副議長 2022年11月6日にお別れの会開催

  8. 【郡山市】選挙漫遊(県議選)

    【郡山市】選挙漫遊(県議選)

政経東北 最新号
月刊「政経東北」2026年5月号
人気記事
  1. 【和久田麻由子】NHK女子アナの結婚相手は会津出身・箱根ランナー【猪俣英希】
  2. 政経東北【2026年4月号】
  3. 【猪苗代町・飛び地メガソーラー】認定取り消された事業者が元設置者とバトル
  4. 赤い家
  5. 政経東北 女性4人 スペシャルエッセー
  6. 【猪苗代町】「飛び地メガソーラー」に渦巻く疑惑
  7. 「MEGAドン・キホーテ」出店に沸く福島市
  8. いわき信組「反社資金提供問題」報じられないもう一つの真実
  9. 政経東北【2026年2月号】
  10. 政経東北【2026年1月号】
最近の記事
  1. 【スペシャルエッセー】4人、二度目です。 【スペシャルエッセー】4人、二度目です。
  2. 政経東北【2026年5月号】 政経東北【2026年5月号】
  3. 東邦銀行を憂鬱にさせる「二つのトラブル」
  4. 【会津若松五中】生徒暴行動画の波紋 【会津若松五中】生徒暴行動画の波紋
  5. 「高市人気」で総取りの県内衆院選挙区 「高市人気」で総取りの福島県内【衆院選挙区】
PAGE TOP