身売り話が燻る【郡山ゴルフ倶楽部】

身売り話が燻る【郡山ゴルフ倶楽部】

 本誌5月号に「閉鎖相次ぐ県内ゴルフ場」という記事を掲載した。

 県内のゴルフ場は全盛期から大きく減少し、現在は35カ所にとどまる。ゴルフ人口減少、震災・原発事故の影響で24カ所が閉鎖され、その多くはメガソーラーに転用されている。ゴルフと言えばかつてはレジャースポーツの代名詞で、ゴルフショップなどもにぎわったが、いまや会員権は資産価値を失い、経営維持も難しい。記事では業界全体が縮小している現状を関係者の話を交えて報じた。

 記事掲載後、郡山市の企業経営者が「ゴルフ場の苦境を象徴する事例」としてこんな話を教えてくれた。

 「郡山ゴルフ倶楽部は郡山駅からも近く、手軽に利用できるゴルフ場として知られていますが、以前から身売り話が浮上しており、かなり具体的なところまで話が進んでいるようです」

 郡山ゴルフ倶楽部は1974年10月に開場。プロゴルファー・杉本英世氏が設計した18ホールコースのゴルフ場だ。日本ゴルフ協会(JGA)、東北ゴルフ連盟(TGA)に加盟している。

 もともとの運営会社は㈱山田。同社社長は福島ヤクルト販売を設立し、ヤクルトとの繋がりが深かったことから、同ゴルフ場はいまも地元で「ヤクルト」と呼ばれている。ところが、㈱山田は2010年10月に民事再生法の適用を申請し、同ゴルフ場はスポンサーとして名乗りを上げた業務用食材卸大手の髙瀬物産㈱(東京都、髙瀬知康社長)の子会社、郡山観光㈱に事業譲渡された。その後、新たに設立された㈱郡山ゴルフ倶楽部(郡山市、髙瀬孝三社長=髙瀬物産会長)が運営を引き継いでいる。

 複数の会員によると、髙瀬物産グループでは、郡山ゴルフ倶楽部だけでなく、グループ企業が運営する同市のシティホテル・ホテルハマツをセットで身売りしたい意向を示したという。同グループは2004年、ホテルハマツの運営会社が民事再生法の適用を申請した際に、事業を引き継いでいる。

 「売却価格はゴルフ場単体で数億円程度ということもあり、具体的に話が進んだが、『ホテルハマツもセットで』という条件が加わったことで、まとまらなかったそうです。同ホテルは震災・原発事故やコロナ禍の影響に加え、福島県沖地震で建物が激しく損傷して一時休業や大規模改修を余儀なくされた。収益化に苦戦している状況なので、買い手がつかなかったのでしょう」(ある会員)

 身売り話は事実なのか。郡山ゴルフ倶楽部に直接問い合わせたところ、大柿文克副支配人が「事実ではございません」と明確に否定した。

 「コロナ禍前に別媒体の某情報誌の記事(※編集部注・月刊タクティクスが連続で掲載していたホテルハマツ関連の記事と思われる)や噂話が出始め、会員様から当倶楽部へ問い合わせもありました。当倶楽部でもどこから話があったのか会員様からお伺いしましたが、明確なことは分かりませんでした。(身売りの)計画があった事実もありません」

 複数の理事・会員から詳細な話も聞いたが、これだけ明確に否定するのだから、少なくとも現時点で実現の可能性は低いとみてよさそうだ。

 大柿副支配人によると、現在の会員数は500人で、年間2万5000人が利用している。ただ、今後、プレイヤーの高齢化によるゴルフ離れが加速していくと考えられるため、平日優待やオープンコンペの充実、若年層や女性・ファミリー層向けプランの売り出し、法人・団体への福利厚生プラン提案などに力を入れているという。もっとも、ゴルフ人口減少が続く中での顧客確保は容易でなく、経営的に楽観視できない状況を踏まえると、身売り話に関するウワサは今後も燻り続けそうだ。

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