【亀岡元衆院議員】瀬戸際の法廷闘争

【亀岡元衆院議員】瀬戸際の法廷闘争

2024年10月の衆院選直前に選挙区内の祭り参加団体に現金を寄付したとして、元衆院議員の亀岡偉民氏(70)=自民党を離党=が公選法違反(寄付行為)の罪に問われている。2月12日には福島地裁(島田環裁判長)で第5回公判が開かれ、弁護側の証人として元秘書が出廷した。亀岡氏は「政治活動・選挙活動と寄付した団体は無関係」「手伝っただけ」と無罪を主張。寄付の主体が争点となっており、亀岡氏の関与をうかがわせる物証や複数人の証言が集まる中で、瀬戸際の攻防が続く。

出揃う〝公選法違反疑惑〟の物証と寄付先の証言

2024年10月の衆院選直前に選挙区内の祭り参加団体に現金を寄付したとして、元衆院議員の亀岡偉民氏(70)=自民党を離党=が公選法違反(寄付行為)の罪に問われている。2月12日には福島地裁(島田環裁判長)で第5回公判が開かれ、弁護側の証人として元秘書が出廷した。亀岡氏は「政治活動・選挙活動と寄付した団体は無関係」「手伝っただけ」と無罪を主張。寄付の主体が争点となっており、亀岡氏の関与をうかがわせる物証や複数人の証言が集まる中で、瀬戸際の攻防が続く。

裁判は昨年10月に始まり、亀岡氏が被告人として法廷に来るのは今回で5度目。毎回5人の弁護士に囲まれ、開廷30分前には到着する。初公判では潔白を証言台で訴えたが、それ以降の裁判では自席で証人の発言に目をつむって耳を傾けることが多い。マスクをしており表情は読み取りにくい。真意が明らかになるのは被告人質問まで待つしかない。

公選法違反の罪に問われているのは、2024年10月15日に公示された衆院選直前の同3~13日の間に、立候補した福島1区内で行われた六つの祭りに参加した27団体に計25万円を寄付した案件だ。この選挙では、自民党の旧安倍派などで見られた政治資金収支報告書の不記載問題、いわゆる裏金問題をめぐって逆風が吹き、県内四つの小選挙区で亀岡氏を含む同党候補2人と、党公認を取り消された無所属1人が落選した。亀岡氏自身は2018年からの5年間で計348万円の不記載があった。

今年に入って高市早苗首相が電撃的に仕掛けた衆院解散・総選挙では、高市人気に支えられた自民党が空前の316議席を獲得する大勝利を収めた。県内小選挙区でも自民党候補が全勝。2024年にテレビのインタビューにあけすけに、ある意味では真正直に応じたため「裏金議員」の印象が拭えず出馬を断念した菅家一郎氏までが、比例単独候補で下位の名簿順位にもかかわらず議席を得るという出来事まで起きた。

この時の敗北した自民党候補たちが高市旋風をバックに議席を取り戻す中、ただ1人法廷に立たされている亀岡氏を見ると取り残された感が漂う。

公選法は直近に選挙があるかどうかにかかわらず、自分が関係する選挙区内での寄付をいかなる名義でも禁止している。だが、違法な寄付をしたとしても政治家が実際に立件されるかどうかは警察・検察の胸三寸だ。捜査機関が亀岡氏の摘発に動いたのは、逆風が吹いた2024年の衆院選で落選し議員バッジを失ったからだと言われている。亀岡氏は自民党が政権奪還した2012年以降は、小選挙区で負けても比例復活を遂げバッジを失うことはなかった。

検察側の証拠によると、亀岡氏は2024年10月3日と5日、福島市と二本松市の祭りに参加する4団体に「衆議院議員亀岡偉民」と書かれたのし袋に現金を入れて渡した。衆院解散後の同月11~13日には23団体に現金を入れたのし袋を渡した、衆院解散後に配ったのし袋には、亀岡氏の名前ではなく「福島メセナ協議会」と書いてあった。

亀岡氏が現金を直接渡した祭り参加団体は次の通り。日付は訪問日。

①3日 飯坂けんか祭り(福島市飯坂町)の2団体

②5日 二本松の提灯祭りの2団体

③11日 針道のあばれ山車(二本松市東和地区)の6団体

④12日 湯野稲荷神社例大祭(福島市飯坂町)の6団体

⑤13日 松川提灯祭り(福島市松川町)の祭り本部

⑥13日 福島稲荷神社例大祭(福島市)の10団体

1団体に付き1万円が相場で、福島稲荷神社の場合は5000円の時もあった。

亀岡氏の弁護人は「亀岡氏は福島メセナ協議会の文化活動を手伝ったに過ぎない」と、寄付行為と亀岡氏の政治活動・選挙活動は関係していないと主張。寄付活動は毎年行っていたのに問題視されてこなかった点を挙げ、「狙い撃ちされた」と被害者であることを強調した。実際は9月から80団体近くに寄付していたのに、公示日直前の前記27団体への寄付のみが「つまみ食い的」に立件され、「当選目的の寄付と印象操作された」と警察・検察を批判した。

福島メセナ協議会が寄付する際の資金は亀岡事務所で保管し、亀岡氏や事務所職員らが寄付活動を担っていたことをもって検察は同協議会と亀岡氏が一体であると証明しようとしている。だが、亀岡氏としては同協議会の結成当初の担い手が死没する中で「活動を手伝ったに過ぎない」との認識だ。では、実際に寄付を受けた側は、亀岡氏直々の寄付をどのように感じたのか。

二本松の石井県議が同行

12月5日の第3回公判には②二本松の提灯祭りの祭典委員会で事務を担当した男性が出廷した。亀岡氏が祭典事務所を1人で訪ね、「本町若連御中 亀岡偉民」と書かれた封筒を手渡してきたという。「本人が渡し、名前も書かれていたので亀岡氏からの贈り物と思った」と証言した。

もしここで、亀岡氏が多くの政治家が抜け道に使うように、渡した金額相当の飲食や祈祷などを対価として受け取っていれば、「会費」という名目も立つ。だが、この男性は「お返しはあげていない。『お祝い』と認識して中身を確認せずに若連に渡した」と証言した。男性によると、寄付を受けた場では亀岡氏から福島メセナ協議会についての言及はなく、「警察の取り調べで初めて団体名を聞いた」という。

続く同24日の第4回公判では、⑥福島稲荷神社例大祭に参加した天神町会の男性、③二本松市針道のあばれ山車に参加した男性が証言台に立った。

福島稲荷神社の氏子である高齢男性は、例年、亀岡氏が「祝い金」として寄付していたと言い、亀岡氏のことは「偉民君」と日頃呼んでいたという。自民党に逆風が吹いていた衆院選が間近だったこともあり、世間話のつもりで「今回は大変な選挙だね」と言うと、亀岡氏は「大変だよね」と応じたという。

男性は警察の取り調べ段階では、「亀岡氏から『選挙があるからよろしくね』と言われた」と供述したことになっているが、法廷では「記憶違いだった」「早く帰りたかったので供述調書を確認せずサインした」と寄付と同時に選挙支援の依頼があったことを否定した。

あばれ山車で寄付を受け取ったのは若い男性。男性によると、亀岡氏は二本松市東和地区が地元の石井信夫県議ら2人を引き連れ、現金を渡してきたという。男性は「選挙期間中(※実際は公示日直前)なので亀岡氏からの寄付と解釈した」という。ただし、亀岡氏からの寄付と明確に聞いたかどうかについては「覚えていない」。男性は現金を渡してきた人物を亀岡氏と視認したわけではなく、石井県議が「亀岡さんです」と紹介したのでそう思っただけだと付け加えた。

2月12日の第5回公判では、元秘書の男性が「メセナと亀岡氏の活動は別物」と亀岡氏の主張に沿った証言をした。今後、証人は亀岡氏に近しい人になっていく。次回3月16日午後1時半から始まる公判では、別の秘書が証言台に立つ。

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