たかはし・ひろし 1954年生まれ。日大工学部卒。西郷村建設課長などを歴任。2015年の村議選で初当選。村議1期を経て、2018年の村長選で初当選し、今年3月に3選を果たす。
――3月1日投開票の村長選で無投票で3選を果たしました。
「今回の結果は、私が2期8年進めてきた取り組みを村民の皆様に評価していただけたものと受け止めています。私が掲げる『村民一人ひとりが輝き、そして誰からも愛される村』という村づくりへの期待の大きさを感じ、その責任の重さに身が引き締まる思いです。選挙期間中、村内を歩く中で多くの皆様や事業者から貴重なご意見・ご要望を直接うかがいました。それらを誠実に村政へ反映させていく決意です」
――具体的な公約について。
「選挙戦では『未来へつなぐ、未来を守る、未来に挑戦』を政策ビジョンとして掲げました。
『未来へつなぐ』という面では、若い世代に対する結婚支援や、子育て世代に対する小中学校の入学祝い金支給、学校給食無料化といった支援を行いたいと考えています。また、物価高対策として村民1人当たり1万円分の商品券を配布しました。今後も村民の生活を支援していきます。さらには芸術や文化活動の推進と人と地域の絆づくりの推進も図っていきたいと思っています。
『未来を守る』の面では、村民の安心・安全を守るための防災・防犯設備の整備を進めていきます。加えて、『にしGOココカラ元気プロジェクト』として、村民の健康意識向上と健康寿命延伸のための事業を進めていきたいと考えています。併せてワクチン接種助成なども行っていきたいと思います。さらには老朽化した教育施設の建て替えや歩道整備などを進め、通学路の安全確保を図りながら、子どもたちの教育環境の充実と安心・安全も守っていきたいと考えています。
『未来に挑戦』の面では、新幹線通学補助や情報発信による定住・流入人口の拡大に取り組んでいきたいと思っています。また、村内の財産を生かしたまちづくりも進めていきます。温泉を活用した健康づくりや国立公園などの観光資源のさらなる活用を進めていきたいと思います。
これまでの8年間で築いてきた基盤を礎に、施策を着実に継続・発展させるとともに、社会ニーズの変化に対応した新たな施策にも果敢に挑戦していきます。子どもには笑顔があり、若い人には未来への希望があり、高齢者には不安のない生きがいがある、全世代が『住んでよかった』と思える村にしたいと思います。特に令和8年度は『第4次総合振興計画』の最終年度に当たります。これまでの9年間の総括を行い、今後の10年のための次期計画へと確実につなげていく重要な時期だと認識しています」
――現在、新庁舎の建設が進められています(※インタビューは3月6日に実施した)。
「新庁舎は3月28日に完成式を行い4月20日から業務を開始します。旧庁舎は耐震不足や部署の分散という課題がありましたが、新庁舎はそれらを解消し『ワンストップ行政』を実現します。これまで分散していた保健福祉センターや教育委員会、上下水道課などの行政機能を集約すると同時に『部制』を導入することで組織をフラット化し、課同士の連携を強化します。
加えて、『交流・にぎわい・防災』の拠点にもしていきたいと考えています。誰もが利用しやすいユニバーサルデザインを採用し、1階には郵便局を移転させるなど、行政手続きと併せて利用できる利便性を追求しました。また、3つの金融機関のATMを集約することで、住民サービスの利便性が飛躍的に向上します。以前の郵便局は駐車場の確保などに苦労していた経緯があり、議会の後押しもあって実現した全国でも珍しい取り組みです」
――新庁舎は住民が気軽に利用できる工夫もされているそうですね。
「交流スペース『NiCoまる広場』や会議室を住民に開放し、手続きだけでなく、人々の交流が生まれる空間を目指しています。『NiCoまる広場』の名称は村民の応募で決定しました。庁舎、保健センター、そして『NiCoまる広場』という交流スペースで構成される新しい西郷村の拠点となります。議会についても、独立性を保ちつつ動線に配慮して、より身近で『開かれた議会』となるよう設営しました。さらには防災拠点としての機能と、省エネ性能『ニアリーZEB』を両立させており、安心と環境に配慮した持続可能な庁舎となっています」
――そのほかの重点施策は。
「最優先事項は『少子化対策』です。現在、村の人口は微増しているものの、出生率は落ちており、人口減少は避けられません。人口流出対策として実施した新幹線通学補助については、昨年4月の開始以来、非常に多くの利用者がいます。最近は都内の家賃高騰が激しくなっており、新幹線代を補助することで『自宅から通学する』という選択肢が現実味を帯びてきました。親元を離れたくないという若い世代のニーズにも合致しており、村の魅力づくりとして大きな手応えを感じています。また、先ほども話したように結婚支援など、若い世代に村内に住み続けたいと思っていただけるような政策を進めていきたいと思います。
一方、農業については全国的に高齢化や担い手不足といった問題がありますが、当村も例外ではありません。そこで、村が主催者となり、現役農家が講師となって栽培計画の作成方法や畑の管理方法などの実践的な農業プログラムを学ぶ『西郷村農業塾』を2年前から実施しています。今年5月からは新たな期間の農業塾がはじまります。今後も担い手の育成や新規就農者の支援をしていきたいと思っています」
――国や県に対して望むことはなんでしょうか。
「東京一極集中の是正や、若者の流出対策を強く望みます。具体的には、地方の高等教育機関の強化や進学支援、若者世帯への住宅支援、Uターン支援、出会いの場の創出といった多角的なサポートに重点的に取り組んでほしいと思います」
――今後の抱負。
「西郷村は地方交付税の不交付団体ですが、不交付団体であるということは、基本的には国に頼らず『自前でやる』のが大前提です。予算が厳しいからといって後回しにするのではなく、健全財政を維持しながら、将来を見据えた攻めの姿勢で前進させることが重要だと考えています。目先の利益にとらわれて後世にツケを回すようなことがあってはなりません。奇しくも、私の3期目の任期スタートと新庁舎の完成式が重なりました。これまでの経験を糧にしながら、新たな時代を切り拓くという重責に身が引き締まる思いです。西郷村の新たなスタートを、村民一丸となって盛り上げていきたいと思っています」

























