全面開通してから1週間以内に事故が相次いだ田村市の国道288号船引バイパスの交差点に今夏、信号機が設置される方針が決まった。住民をはじめ、田村市、県議、国会議員からの要望を受け、要望から約1カ月半という異例の早さで設置が決定。開通前から寄せられていた地元住民や工事関係者の願いがここにきて反映された。
国道288号船引バイパス(総延長6・8㌔)は、災害に強い道路ネットワークの構築や田村市船引町の中心市街地の混雑緩和などを目的に県が「ふくしま復興再生道路」として整備に乗り出した。2015年度以降、西側から順に供用を開始し、今年3月28日に全面開通。郡山市から双葉町に至る延長約85㌔の国道288号の利便性が格段に高まった。年内には沿線に「たむら市民病院」が新築移転する予定で、バイパスは救急医療のアクセス向上にも資する。
しかし、開通後1週間以内に事故が複数件相次いだことでミソが付いた。事故が頻発したのは、砂子田地区内を通る県道船引大越小野線(県道19号)との交差点。特に開通2日後の3月30日には、73歳女性が運転する軽四輪乗用車が県道をJR船引駅方面に向かって北から南に走行中、バイパスを西(郡山方面)から東(双葉方面)に走る74歳男性が運転する普通貨物車と出合い頭に衝突し、女性が首の骨を折る重傷を、男性が胸部打撲の軽傷を負った。
事故の要因は、県道側に新たに設けられた「一時停止」の分かりにくさにあった。バイパスが全面開通する以前の感覚でスピードを緩めずに直進すると、前方のバイパスを通過する車と衝突してしまう。一時停止が見落とされがちな問題は、事故後に一時停止の存在を周知したり減速を促したりする看板を設置することで改善が図られた。
そもそも見通しの悪い交差点でもあった。本誌5月号「予見されていた船引バイパス・県道交差点事故」では開通直後に走行した郡山市在住の熟練ライダー佐藤守さんの話として、「県道から直進するにしても右左折するにしても、一時停止位置からかなり車を交差点へせり出さないとよく見えない。県道を通る車両から見ると、この交差点の見通しは悪い」との声を紹介した。
現に田村市には、バイパス全面開通前から信号機設置を求める市民の声が寄せられていた。ある地元住民によると、工事関係者の間ですら「設計書には信号機がないが設置しなくていいのか」との指摘があったという。
懸念の声を行政が放置していたわけではない。田村市・田村郡選出の県議、先崎温容氏(自民・4期)が、バイパス開通前の対応を振り返る。
「開通前から地元住民からは『危ないので信号機が必要だ』から『バイパスなので信号機をやたらと設置はできないだろう』まで様々な意見が寄せられていました。地元の県議として、県中建設事務所や三春土木事務所に掛け合い、減速を促す『ドット線』を設置しました」
開通後は他の県議会議員と一緒に県公安委員会(県警)に信号機設置を要望した。地元選出の根本拓衆院議員も要望を後押しした。その甲斐あってか、5月12日の県公安委員会で問題の交差点への信号機設置が決まったという。県が補正予算案に盛り込み、県議会の議決、入札を経る必要があるため、設置は早くとも8月の盆明けとなる見込み。
県公安委員会は、信号機設置の判断は警察庁が示した基準に準ずるとし、「条件を全て満たしたからと言って必ず設置されるものではない」と厳格な運用を打ち出している。事故発生から約1カ月半での設置決定は異例のスピードだ。


























