
樋熊晃規(ひぐま・あきのり)
1988年2月生まれ。東京都出身。実家は蕎麦屋。都立新宿高校、中央大学後、2010年に新卒で三井住友銀行に入行。愛知県豊橋市の豊橋法人営業部や日比谷法人営業部を経て採用担当。○年に退職後に独立し、SNSで就職活動・転職支援や金融関連の情報を発信する傍ら、企業の人事コンサルティングや就活生向けのセミナーを行う。
【前回のおさらい】
元三井住友銀行員で人事採用も担当したひぐまあきのり氏は、就職活動で地方学生の苦戦が決定付けられている現実を提示した。都心部と比べて「良きライバル」に恵まれないため、横並びの環境に甘んじて貪欲さに欠けるのが要因。AI時代には、エントリーシートに盛り込んだ真偽不明の「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」では差は付きにくい。むしろ面接練習の場数を踏み復習することで身に付く、的確な応答や元気の良さといった「当たり前のこと」が成否を分ける。多くの学生が後回しにするアウトプットにこそ勝機があり、面接練習に力を注ぐべきだ。
前回に続き「地方大学生の就活」について書かせていただきます。今回は「長期的なキャリア成功を見据えた就活」というお話をさせていただきます。
主にお伝えしたい内容は3点。
①「選択肢(カード)を持てる側の人間になろう」
②「その就活軸でいいの?」
③「意思決定するのは自分」
です。
選択肢を持てる側になれ
私は三井住友銀行で約5年働いた後、人材業界、特に転職支援の仕事に約10年携わってきました。その経験を踏まえてお伝えしたいのは「選択肢を持てる側の人間は強い」ということです。転職の相談には様々な理由の方が来ます。年収、結婚、介護、激務、人間関係…それこそ都内で働いた後に地元に帰りたいという方もいます。そんな千差万別、人それぞれの悩みや人生があるなかで転職支援に携わると、時には非常に辛い場面に遭遇します。それは「転職をしたくても出来ない」という人がいる現実です。具体的には「行きたい企業、やりたい仕事があるのに面接に受からない」というものです。何社も応募し、面接に臨むも受かることが出来ずに、結果的には「今の仕事を続けざるを得ない」という状況です。これが本当にしんどい。
多くの人がそれぞれの価値観や就活軸のようなものを持って就活に臨みますが、実際に働いて年齢を重ねると必ず変わっていきます。例えば、就活生の時は「地元のホワイト企業でゆるく働きたい」という方がいたとしましょう。実際に働いてみると、「仕事が物足りない。給料も安く、結婚や子供ができた時のことを考えると生活できない。改めて給料の高い会社にチャレンジしたい」といったものです。こういった相談は非常に多くあります。ただそんな中で転職活動がうまくいかず、希望の給料が得られず、結婚や出産することに対して後ろ向きになってしまうとしたらどうでしょう。非常に勿体無く、そして悲しく思います。
キャリアを選べる=幸福度
一方で転職をしたいと考えた時に、何の苦労もなく希望の条件や勤務地、働き方の企業に受かる方もいます。
私の例になってしまいますが、私は銀行員5年目で退職した後、結果的に独立をしました。独立するまでには複数の企業に興味を持っていただき、いくつかの企業からは好条件でオファーをいただくことができました。現在38歳となり、今年の5月にまた仕事を変えるとなった際にも多くの企業からお声掛けいただき、非常に魅力的な条件や働き方を提示していただきました。
つまり、自分の人生において常に複数の「選択肢」があり、自分が「選ぶ側」にいると実感できています。
この「選ぶ側」にいるということは、人生の幸福度を非常に高くしてくれます。何故なら、その時の自分の価値観の優先順位(年収、働き方、働く環境、場所…など)に基づいて、自分で人生をコントロールすることが出来るからです。
今回お伝えしたいお話の中で最も大切なのは、この「選択肢を持てる側の人間になろう=自分の人生は自分でコントロールしよう」ということです。
では次の話でそのためにやるべきことを書かせていただきます。
その就活軸でいいの?
皆さんにも就活軸というものがあると思います。「自己成長」「年収」「勤務地」「ホワイト」「大企業」「営業以外なら何でも」…就活軸は人それぞれですし、何でも良いと思うのですが、「せっかくならチャレンジしてみない?」と就活生にはいつも伝えています。大学を卒業すると40年以上働きます。その第一歩を新卒カードという人生一度きりの武器を使って皆さんは就活をします。
私の経験を踏まえて振り返ると「20代の経験が30代、40代の人生を作る」と感じます。私は就活生の時に「なるべく難しい仕事、年収が高い仕事をしたい」と考えながら就活をしていました。理由は、最初大変な仕事をしておけばきつくなった時にゆるい仕事に転職するのは簡単そう。でもその逆は難しいだろうな。と本気で思っていたからです。
その結果、社会人の第一歩を銀行員として踏み出しましたが、これも「銀行員ならきつくて辞めたくなってもすぐ転職出来るっしょ」という考えからでした。今思えば、この選択は正解でした。社会人の最初を大変で、キツい仕事したことで、20代後半から30代になっても大抵の仕事はそこまでキツく感じませんでした。買って出た苦労はキャリアとして評価してもらえ、自分の市場価値のようなものも同年代でゆるく働いていた人たちと比べ高かったように感じます。
自分の市場価値を上げる
つまり、最初キツい仕事をしたからこそ、市場価値が上がり、20代後半、30代になっても頑張れる土台が出来た、そのおかげで先ほどのテーマで書かせていただいた「選択肢を持てる側の人間」になれたように感じます。
皆さんの就活軸はなんでしょうか。もし「とにかくラクしたい」「給料とか関係なくゆるく働きたい」といったものであれば一度立ち止まって「最初くらいちょっと頑張ってみようかな」「少し大変でも市場価値が上がるような仕事にチャレンジしてみようかな」「そうした方が将来選択肢多そうだな」になってもらえたら非常に嬉しく感じます。仕事は40年以上。最初頑張った方が長い人生メリットが沢山あるよ。そういったお話です。
決めるのは親ではなく自分
最後にお伝えしたいことは意思決定の話であり、地方就活生あるあるの問題です。今まで多くの就活生と面談する中で、地方就活生の悪い特徴として「親の意見を聞きすぎる」というものがあります。「本当はこんな仕事に興味あるけど、親に勧められて地元に就職しました」みたいな話です。
結論、こういった「人生の大切な意思決定」を親と言えど、他人に決めさせる人はほとんどの場合、数年後に後悔している人が多いです。
社会人になればどうしても仕事が上手くいかない時、しんどい時が誰にでもあります。そんな時に就活の意思決定を親の言う通りにした人は、その後も「親のせい」。つまり他責思考のような考え方を持ってしまいがちです。
就活は自分で決めるから「働く覚悟」が決まると思います。もちろん大切なご両親の意見を参考にするのも悪くはありませんが、私としては「意思決定するのは自分」という考え方は曲げることなく就活に臨んでほしいと思います。
以上、2回に渡り地方の学生が直面する就活格差とその格差を飛び越える方法についてお話させていただきました。皆さんには後悔のない、後から振り返った時に「やりきった」と言える就活をしてほしいと思います。読んでいただき誠にありがとうございました。皆さんの就活成功を心からお祈りしております。

























