ばば・ゆうき 1992年10月生まれ。慶應大法学部卒。2021年から衆議院議員(比例東北)を2期務め、2025年11月の福島市長選で現職を破り初当選。
立場を超えて「共に前へ」
――昨年11月の福島市長選で現職を破り初当選しました。率直な受け止めをお聞きします。
「昨年12月に118年の歴史を持つ福島市の市長に就任した瞬間、継承する重みをひしひしと感じました。来年は市制120年という節目を迎えます。今年は東日本大震災から15年です。私は当時高校生でした。危機に対応する大人たちに助けられた思いがあります。自分のようにかつては守られてきた世代が、今度はまちづくりの重要な担い手に加わり、頑張らねばとの気概を強く持っています。その世代の1人として市の発展に絶えず尽くしていきます」
――福島駅東口の再開発をめぐっては優先工区の設定など再整理を公約に掲げていました。再整理はどのような形になるのが現実的ですか。
「現時点でお話しできる内容としては、12月議会でもお示しした見直しの3つの柱です。1つ目は、日常使いを念頭に置いた、市民にとっての利用のしやすさです。2つ目は、費用の持続可能性です。市況を顧みますと、物価上昇により建築工事費も跳ね上がっていることから、取得費などのコストが市の財政を逼迫させないよう、様々な補助金を最大限に活用することを検討しております。3つ目は、福島市ならではの特色ある施設として、将来にわたって利用してもらえるものとしていくことです。
令和7年7月に既に基本設計が概成しておりますので、これから建物の設計を大きく変更すると、さらに遅れてしまうという現実を受け止めざるを得ません。そのため、事業主体である再開発組合などの関係者と十分に協議を進めつつも、必要以上に遅れることのないようにしなければなりません。これらを踏まえ、最小限の変化を加え、前述の3つの柱に基づき見直しを進めていきます」
――福島駅周辺では東北本線を高架化して東西を平坦にし、市街地の一体化を進める案を福島商工会議所が検討しています。どこまで現実的だと考えていますか。
「まず大切なのは開発の主体者の意思が最大限尊重されなければいけないことです。駅の高架化などのアイデアは素晴らしいと私は受け止めます。ただ、高架化の案はまずJRの意思が、西口であればイトーヨーカドー跡地の所有者の意思が最優先です。
駅東西のまちづくりは極めて重要な案件です。市としては主体者の考えをしっかりと汲み取りながら議論を進めていきたいです」
――人口推移から経済統計まで市内のあらゆるデータをグラフなどで可視化する「データブック」を作成し、就任後100日以内の公表を目指しています。進捗はいかがですか。
「3月中には公表できる見込みです。作成の狙いは、新しい市民目線のまちづくりのスタートにすることです。私は『次世代文教都市』という未来像を掲げています。その土台となるのが、市民の誰もが我がまちの特徴をデータで簡単に把握できる機会です。
百を超えるデータをグラフにしたり地図に落とし込んだりして一覧にします。30年後に向けて福島市は何を目指すべきか、私たちは何を目指したいのかという時間軸で見た時に、データから見える福島市の良い点や課題などを市民一人一人が知る環境を提供したいと考えています。掲載データは現在市で持っている統計に限られますが、今後の状況に応じて新たなデータを収集し、追加していく必要も出てくると思います」
――4月に稼働開始する給食センターの概要と期待について。
「老朽化していた西部と北部の給食センターを統廃合してできるのが新センターです。新しい形の学校給食提供体制のスタートに期待するとともに、既存のセンターからではありますが、桜の聖母学院小学校・中学校にも新たに提供を始めます。学校給食は将来世代を支える大事な案件で、4月からは国の方針により全国一律で小学校の無償化が始まります。福島市ではこれまで、小中学校などに独自の負担軽減策を取ってきました。今後は公立中学校の無償化にも市独自で取り組んでいきます。あわせて、全国でも中学校の無償化を一律にできるよう国に強く訴えていきます。義務教育における給食は、本来は国の負担で対応すべきとの考えは一貫して持っています」
――先達山のメガソーラーをはじめ、再生可能エネルギーの大規模施設の建設や計画が進んでいます。原発事故による被害を踏まえれば再エネの普及は必然ですが、自然を破壊しながら進めるのは矛盾があります。バランスをどのように考えますか。
「ご指摘のとおりバランスが大事です。再生可能エネルギーの普及と開発を『矛盾』にさせてはいけません。再エネは必要な一方で、自然破壊を伴う、あるいは先達山の景観破壊のように地域住民の誇りを奪う事態は防がなければなりません。自然を破壊する例があったから再エネをすべてストップするということではなく、自然破壊を伴う、あるいは景観を壊すような市民文化を喪失させる開発は抑制するという方針をはっきりと述べさせていただきます。
市長に就任してから2週間後にメガソーラーや再エネに関係する国交省、農水省、環境省、経産省の4省庁に要望を直接申し上げてきました。福島県の関係各所と擦り合わせたうえで要望しました。メガソーラーに関しては事業者、地域住民、行政とそれぞれ見え方が違います。立場の違いを踏まえた上で、現場の声を伝え、教訓を法整備に生かすことが事態を動かすには重要と考えます。要望した時は国がメガソーラーに関する対策パッケージを協議していた絶好のタイミングでした。市としてもできうる対策を実践し、時にはそれに基づいて毅然と事業者に対応していくのが必要と考えます」
――新年度の重点施策について。
「公約で掲げた8つの基本方針に沿って施策を組み立てています。
①安心できる医療と福祉、②子育て支援と働く環境支援、③夢を広げる教育と挑戦の環境、④福島の恵みを地域の力に、⑤古きを訪ねて新しきを生み出す、⑥教訓を未来と国力につなぐ防災、⑦市民目線の課題抽出から解決、⑧誇れる豊かな自然環境の再起です。シニア世代、現役世代、子ども世代のそれぞれに特化して効果が波及するように意識しました。
施策を遂行する上で常に意識しているのは『共に前へ』の精神です。立場が変われば見方や考え方が違うのは当たり前です。だからこそ、どのような立場であったとしても垣根を越えて一緒に前に進もうと思ってもらえるようなまちを共につくりあげていきたいと思っています。安心な社会を整えること、挑戦を後押しする社会をこの福島市でつくることが、未来像に掲げる次世代文教都市につながっていきます」

























