【原発事故14年目の現実】大熊町行政委員の人選に疑問の声

【原発事故14年目の現実】大熊町行政委員の人選に疑問の声

 大熊町固定資産評価審査委員会の委員に、浪江町在住の北正勝氏が任命され、町議会だよりに掲載された。地方税法では「当該市町村の住民」と定められているうえ、北氏は町長と親戚関係にあるため、「町長が身内に利益供与した形になっている」と疑問視する声が出ている。真相はどうだったのか。

吉田町長の親戚の浪江町民が就任

 固定資産評価審査委員会は固定資産課税台帳に登録された価格(評価額)に関する不服を審査決定するため、市町村に設置される行政委員会。審査申し出があった固定資産について評価額が適正であるか、中立・公平な立場で審査決定を行う。

 大熊町では委員定数3人と定められており、そのうちの1人として、元相双五城信用組合職員の北正勝氏が昨年12月、議会の同意を得て任命された。任期は3年間。

 2月に発行された議会だよりにもこの人事が掲載されたが、それを受けて町民から疑問の声が上がっている。というのも、北氏の住所が「浪江町大字棚塩」となっていたからだ。

 地方税法423条3項では委員について《当該市町村の住民、市町村税の納税義務がある者又は固定資産の評価について学識経験を有する者のうちから、当該市町村の議会の同意を得て、市町村長が選任する》と定められている。

 町外に住む年配町民はこのように指摘する。

 「町内にも金融経験者は多くいるのに、なぜわざわざ町外の人に頼むのか。しかも、北氏は吉田淳町長と親戚関係にある。町ホームページによると、大熊町の固定資産評価審査委員の報酬は日額7000円だが、そうした役職に〝身内〟を就かせることは利益供与と見られてもおかしくないし、政治的中立性の確保という意味でも疑問です」

 こうした疑問の声が出ていることを町はどう受け止めるのか。町総務課に確認したところ、「北氏は金融機関を42年間勤め上げ、大熊町の支店にも勤務経験があり、その経験から固定資産評価についての知識が豊富であり、また、現在は福島相双復興推進機構に在籍し、被災地域の現状についても大変理解のある方であり、『学識経験を有する者』として議会の同意を得て任命しております。地方税法上及び当町関係条例上、問題ないと認識しております」と述べた。

 北氏にもコメントを求めたところ、「前任の方が高齢で、急遽空きができたとのことで、親戚である吉田町長から直接依頼されました。地方税法で定められている委員に関する要件は承知しており、委員就任に当たって大熊町内に土地を購入し、念のため町に固定資産税を納めるようにしました。浪江町という住所が出たので疑問に思う人がいたのかもしれませんが、金融機関での経験を生かして委員として活動できればと考えています」と回答した。

 吉田町長が〝身内〟をゴリ押ししたというより、適任者がおらず、北氏に頼み込んだという経緯だったようだ。特に違法性もなく、利益供与というほど報酬も高額ではなさそうだ。ただ、議会だよりに掲載された小さい記事がきっかけでウワサになり、本誌にまで情報が入ってくるのだから、町内居住推計人口は1296人(7月31日現在)といえども、町民は町の動向に注目しているということなのだろう。吉田町長には、こうしたウワサが立つことも想定した「李下に冠を正さず」の姿勢が求められる。

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