【北塩原村】議会で二度否決された【ラビスパ裏磐梯】廃止

【北塩原村】議会で二度否決された【ラビスパ裏磐梯】廃止

 本誌1月号に「北塩原村 ラビスパ裏磐梯廃止の裏事情 不採算施設を切り捨て『村の駅』を整備!?」という記事を掲載した。同記事は、同村昨年12月議会初日(昨年12月8日)の本会議終了後に開かれた全員協議会で、遠藤和夫村長が「ラビスパ裏磐梯を今年1月末で事業停止、3月末で廃止にする」旨を明かしたことから、その背景などをリポートしたもの。ところが、その後の議会で、ラビスパ裏磐梯廃止に関する議案が二度にわたって否決された。これによって、施設は閉鎖されているが、条例上は存続しているという状況に陥っている。

非現実的な民間利活用業者公募

ラビスパ裏磐梯 地図

 ラビスパ裏磐梯は、ウオータースライダーを備えたプール、天然温泉、食事・休憩スペース、フィットネスジム、山塩などの同村の名産品を扱うショップがある健康増進複合施設で、1996年にオープンした。村所有の施設で、運営は第三セクターの㈱ラビスパが行っている。

 施設修繕費は村の予算から支出されているが、オープンから27年超が経ち、建物や内部設備の老朽化が課題となっていた。そのため、村では以前から「今後、ラビスパ裏磐梯を改修すべきかどうか」を議論してきた。ただ、施設改修費用は10億円規模になると予想され、なかなか結論が出せずにいた。そんな中で、昨年12月議会(全員協議会)で「廃止する」旨が伝えられたのだ。

 その際、遠藤村長は次のように説明した。

 「ラビスパ裏磐梯の経費増、営業収支のマイナス拡大から、判断を先延ばしにすることはできないと考え、12月6日、㈱ラビスパ取締役会での協議を踏まえ、ラビスパ裏磐梯の今後のあり方について総合的に検討した結果、来年(2024年)1月末日に営業を停止し、3月末日をもって廃止をするとの判断に至った」

 「今後は、㈱ラビスパ臨時株主総会を開催し、営業停止に向けた準備を12月から1月までしていきたい。(2024年)1月には㈱ラビスパの通常株主総会を開催し、1月31日をもってラビスパ裏磐梯の営業を停止する。3月には温泉健康増進施設条例の廃止などを行う」

 この説明にあるように、ラビスパ裏磐梯は1月31日で営業を停止した。それと前後して、1月24日には㈱ラビスパの株主総会を開き、ラビスパ裏磐梯廃止についてあらためて説明をして理解を得たという。

 一方、1月31日には臨時議会を開き、村有施設としてラビスパ裏磐梯が存在する根拠になっている「温泉健康増進施設条例」の廃止案と、ラビスパ裏磐梯の指定管理契約の変更に関する議案が提出された。ある村民は「赤字続きだったから、おそらく議会も廃止に反対しないだろう」との見方を示していたが、採決の結果、賛成ゼロ(全員反対)で否決された。

 同日の臨時議会を傍聴した村民はこう話した。

 「議員から、『ラビスパ裏磐梯は村の施設であり、㈱ラビスパの施設ではない。なのになぜ、議会に諮る前に㈱ラビスパ(の取締役会や株主総会)で廃止を決めたのか。議会軽視ではないのか』といった質問が出ました。これに対し、遠藤村長があいまいな答弁をしたため、議会が猛反発して賛成ゼロで否決されたのです」

 これを受け、3月定例議会で再度、「温泉健康増進施設条例」の廃止案と、ラビスパ裏磐梯の指定管理契約の変更に関する議案が提出された。それだけでなく、3月14日の最終日本会議前に、村長と副村長の給与を1カ月減額する議案が追加で提出された。ラビスパ裏磐梯の廃止をめぐり、混乱を招いた責任を取るというのが給与減額案の趣旨だった。

 ただ、この3つの議案はいずれも賛成4、反対5の賛成少数で否決された。
反対の理由

 ある関係者はこう説明する。

 「まず、温泉健康増進施設条例の廃止と、ラビスパ裏磐梯の指定管理契約の変更については、1月の臨時議会で否決されており、そこから大きな変化はない中で再度同じ議案が出されたため、議会の承認を得られなかった。その間、遠藤村長は新人議員を中心に、何とか賛成してほしいと働きかけたが、賛成多数には至らなかった。村長と副村長の給与減額については、要するに1月の臨時議会で、ラビスパ裏磐梯関連の議案が否決されたことへの責任を取るということだが、『だったら、その時(1月の臨時議会)に追加議案として出すべきで、なぜいまになってそういうことを言ってきたのか。そういう訳の分からないものは賛成できない』ということで否決されました」

 当日の議会を傍聴した村民によると、「関連議案の採決の際、議員から『異議あり』との声がかかり、起立採決が行われたが、討論は行われなかった」という。賛成、反対の議員は別掲の通り。前出の関係者の証言を裏付けるように、1期議員の多くは賛成に回ったものの、反対が上回った。

賛成
遠藤春雄議員(副議長、3期)
渡部哲夫議員(1期)
遠藤康幸議員(1期)
北原安奈議員(1期)
反対
小椋眞議員(7期)
遠藤祐一議員(5期)
五十嵐正典議員(5期)
伊藤敏英議員(2期)
柏谷孝雄議員(1期)


 ある村民はこう話す。

 「昨年4月に行われた村議選に、遠藤村長はだいぶ介入して自派の議員を増やした。そうして自身がやりやすい環境をつくったわけだが、それで反対が上回るんですから、よっぽどのことですよ」

 一方で、本誌1月号記事では以下のような点も指摘した。

 ○遠藤村長は村長選の公約に掲げていた「村の駅」を整備したい意向がある。

 ○その整備費用は数億円規模に上ると見られるが、どれだけ採算性があるのか分からない。そのため、「採算性がないラビスパ裏磐梯を廃止しておいて、新たに採算性が不透明な『村の駅』を整備するのはいかがなものか」との指摘もある。

 ○実際、昨年12月議会では、「村の駅」関連の補正予算を追加で計上しようとしたが、議員の反発があり、取り下げた経緯がある。

 ○そもそも、「村の駅」は今夏村長選に向けた「公約実現に動いていますアピール」の側面が強い。

 こうした捉え方をされているため、より議会の反発を招いているのだ。

 このほか、村は昨年度までにラビスパ裏磐梯の調査委託を行っており、その結果が3月までには示される予定だった。それを待たずに昨年12月時点で廃止の意向を示したことも反発を招いた。結局、調査は修繕が必要な個所だけが洗い出され、実際に修繕する場合、どのくらいの費用がかかるかは示されなかったという。調査の途中で廃止の意向が示されたため、そうした結果の提示になったようだ。

 ともかく、こうしてラビスパ裏磐梯は営業は停止しているが、条例上は存続しているという状況に陥った。指定管理契約については、契約期間が2026年度までとなっているため、期間を変更するための議案だったが否決された。ただ、指定管理料は年度ごとに支払うため、新年度(4月以降)の指定管理料は発生していない(支出されていない)という。

 二度の関連議案否決を受け、村に今後の対応を尋ねると、「廃止の方針に変わりはない」とのこと。そのうえで次のように説明した。
 「今後、ラビスパ裏磐梯を利活用する民間事業者の公募を行い、状況が整った段階であらためて議会に説明したい」(村総務企画課)

 ひとまずはその様子を見守るしかない。とはいえ、村内では「ただでさえ老朽化しているラビスパ裏磐梯を買うところがでてくるとは思えない」との声が大勢を占めており、このまま議会の了承が得られなければ問題の長期化が予想される。

遠藤昭二氏頼み!?

 一方で、ある村民はこんな見解を述べた。

 「ひょっとしたら、村は遠藤昭二さんに助けてもらおうと考えているのではないか。ただ、遠藤さんはビジネスに関してはシビアだから、簡単には行かないだろうけど」

 この村民が言う遠藤昭二さんとは、東京都内を拠点とする「ISグループ」の社長のこと。猪苗代町出身で、北塩原村にもこの数年で数千万円の寄付をしている。

 ちなみに、本誌は遠藤氏について2022年8月号「地元に投資しまくる猪苗代町出身の経営者」という記事で取り上げた。一言で言うと、東京でビジネスに成功し、それで得た財で地元貢献している人物。地元での事業は、「DMCaⅰzu」という子会社を設立し、そこが担っている。同社は猪苗代スキー場、裏磐梯スキー場、北日光・高畑スキー場、道の駅猪苗代いちご園、道の駅山口温泉きらら289、ヴィライナワシロ、猪苗代観光ホテル、会津磐梯カントリークラブ、小豆温泉窓明の湯、花木の宿など、会津地方のさまざまな施設を運営している。

 遠藤氏については、本誌4月号でも「猪苗代スキー場『観光施設計画』の光と影」という関連記事を掲載した。猪苗代スキー場がある赤埴山の山頂直下に猪苗代湖を見渡す眺望施設「会津スカイテラス(仮称)」と、山麓から同テラスへ通じるゴンドラリフト「会津スカイケーブル(同)」を新設する計画があり、その動向を追ったもの。

 その中で、あらためて遠藤氏の人物像にも迫っており、遠藤氏を幼少期から知る猪苗代町民のこんなコメントを紹介した。

 「ワンマン経営者に思われがちだが、会社が半分成功したら、残り半分は若手社員に『あとはアイデアを駆使して自分たちでやれ』と任せています。一方、会津地域のさまざまな観光施設を買収・再建しているため、何でも買い漁るイメージを持たれています。実際、遠藤氏のもとには多くの買収案件が持ち込まれるようだが、遠藤氏の中にはスキー場はこう、ホテルはこうと一定の買収条件があり、その条件を満たしていない場合は見向きもしません」

 前出の村民も語っていたが、この証言にあるように、遠藤氏は一定の条件を満たさないと買収には応じないようだ。その点で言うと、ラビスパ裏磐梯はそもそも赤字施設で、しかも改修が必要だから、ビジネスとして考えたときに、「欲しい施設」ではなかろう。もっとも、「遠藤さんに助けてもらおうと考えているのではないか」というのは、前出の村民の推測で、実際のところは村がどう考えているのかは分からないが、いずれにしても、民間利活用業者を探すというのは現実的とは思えない。

 となると、やはりこの問題はもう一波乱あると見るべきだろう。

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