JR郡山駅前で商業・オフィスビルなどの不動産賃貸・管理を手がけるエリート(金田義広社長)は、同駅前の開発計画に50億円超を投資する方針を明らかにしている。

目玉は、ビッグアイの西側に位置する「日の出通り」入口に建てる、地上12階建て複合ビル「エリートライズ」だ。今年末着工、2028年春の完成を目指す。1階に商業テナント、2、3階にレンタルオフィスが入り、4階以上はオフィスとする。駅連結のペデストリアンデッキと2階が接続され、駅利用者の回遊性向上、にぎわい創出が期待される。
今年12月には駅前1丁目に4階建て賃貸マンション「エリートヒルズ」を建設。駅から徒歩2分のオフィスビル「エリート57」は改装済みで、現在無人レンタルオフィス「オープンオフィス郡山フロンティア通り」として稼働している。
なぜ巨費を投じて郡山駅前での開発を進めるのか。金田社長は「交流人口を増やすのが最大の狙い」と語る。
「新幹線停車駅という強みを生かし、駅前ならではの価値を創出し、交流人口を増やしたい。『駅前だからハコモノを造れば自然と人が集まる』と一大プロジェクトを立ち上げて失敗した事例は日本全国にあります。エリートライズは『入ってくれれば何でもいい』と安売りするのではなく、まず一等地に建つオフィスビルとしての価値観やビジョンを打ち出し、共感してもらう。そのうえで大企業や有名店に選ばれる『福島県ナンバーワン』のビルを目指します」

一方で、同社では街にとって本当に必要だと感じたテナントを採算度外視で貸し出す柔軟性も備える。例えば、駅前大通り沿いに建つエリート24ビルの一部を改修してオープンした「新郡山横丁HAMON」は、「郡山駅前に美食の場をつくる」という意図のもと、人気チェーン店「串カツ田中」やフランス料理店などを、採算性を考慮せずに誘致している。
「駅前は地価が高く、賃貸マンションは単価が低いので銀行融資も通りにくい。そのためか、この間、駅前に新しいオフィスビルや賃貸マンションは供給されていない。職・住が一体となった環境がなければ交流人口は増えません。補助金の対象などにはなりませんが、『誰もやらないならうちがやるしかない』と事業を決断しました」
どこまで勝算があるのか尋ねると、金田社長は率直にこう答えた。
「物価高騰など逆風が吹いており、不安がないと言えばうそになるが、いまやらなければ絶対に後悔すると考えました。総事業費は最終的に約60億円になる見込みです」
無人レンタルオフィスに関しては、世界最大級レンタルオフィスブランド「リージャス」とのサブフランチャイズ契約により取り組んでいるが、現在は90社が入居している。オフィス需要は確実にある。そこを突破口に中心市街地活性化に挑む。
昨年3月、同市西ノ内にヨークパーク郡山がオープンし、来春には同市日和田でイオンモール郡山が開業する予定だ。郊外への求心力が増す中、中心市街地に根付く企業としての危機感が金田社長を突き動かしている。企業単独で臨む再開発計画の成否に今後も注目していきたい。


























