悪徳医療介護ブローカー吉田豊氏のいま【南相馬市】

悪徳医療介護ブローカー吉田豊氏のいま【南相馬市】

南相馬市の吉田豊(よしだ・ゆたか)氏といえば、本誌でたびたび報じてきた医療・介護分野の悪徳ブローカーだ。本誌では過去に10人以上の被害者に接触。その手口を詳細に報じることで被害拡大防止に努めてきたが、いまも相変わらず市内で暗躍を続けているようだ。

地元有力者を次々と罠にかける巧妙な手口

吉田豊氏は南相馬市内で医療・福祉関連施設の計画を持ち掛けて、支援を募っては計画を頓挫させ、複数の企業に損失を与えてきた人物として知られる。

最初は2020年に開院した南相馬ホームクリニックだった。吉田氏は地元老舗企業の経営者の信頼を得て、土地・建物を提供してもらうなど、全面支援のもとでクリニックを開設(ただし、吉田氏は医師免許を持っていない)。県外から医師を招聘し、最新機器をそろえ、地元老舗企業と毎月賃料を支払う契約を結んだ。

ところが、いきなり賃料の支払いが滞り、その後も支払われることがなかった。未払い分が総額7000万円まで膨らんだため、地元老舗企業は同クリニックとの契約を解除。開院から2年も経たないうちに同クリニックは土地・建物を明け渡した。

続いて吉田氏はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を核とした「医療・福祉タウン」構想、さらには廃プラスチックと廃木材によるバイオマス発電構想に着手し、企業関係者などから出資を受けた。だが、いずれも構想は頓挫。出資者は泣き寝入りすることになり、全面協力した企業の中には倒産に追い込まれたところもあった。

吉田氏が問題なのは、パワハラ気質かつ金に関する約束を一切守らず、反故にする点にある。南相馬ホームクリニックでは医療スタッフを他施設から好待遇で引き抜いてそろえたが、給料遅配・未払いが常態化した。吉田氏はスタッフに大声で注文を付けたり怒鳴りつけるようになり、退職者が相次いだ。

南相馬ホームクリニック閉院から3カ月後の2022年7月には、同市原町区二見町の賃貸物件に「桜並木クリニック」を開院。すぐ近くに、吉田氏の親戚筋で〝参謀的存在〟の榎本雄一氏が管理薬剤師を務める薬局「オレンジファーマシー」をオープン。さらに同年4月には、高齢者向け賃貸住宅が併設された訪問介護事業所「憩いの森」を立ち上げた。

だが、これらの施設でも、吉田オーナーのもと、給料の遅配・未払い、パワハラ対応が横行し、退職者が相次いだ。吉田氏から借金を申し込まれ、やむなく貸したら、返済の意思すら示されないまま踏み倒されたケースもあった。

幹部スタッフらはペーパーカンパニーの経営者になるよう命じられ、新たに設立した「南相馬介護サービス施設共同管理協同組合」に理事として出資するよう求められた。さらには、借入金の返済手続きミスで発生した遅延損害金2600万円の支払いも押し付けられ、銀行口座や自宅を差し押さえられて南相馬市を去った人もいた。

吉田氏は青森県東北町(旧上北町)出身。公表している最終学歴は同県八戸市の光星学院高校(現・八戸学院光星高校)卒。東北町で医療法人の実質的オーナーを務めていた。若いころに政治家の事務所に出入りしていたつながりから、藤丸敏衆議院議員(福岡7区)と交流。政治にも関心を持っているようで、上北町議2期を経て、青森県議選に二度立候補したが落選。どちらも選挙後に公選法違反で逮捕された。

地元・東北町でも問題人物として知られているようで、2023年の本誌取材時には「『自宅脇にがん患者専用クリニックをつくる』と言って出資者を募ったが、結局何もできなかった」などの声が聞かれた。浜通りに来たのは復興需要を狙ったためとみられている。

本誌が吉田氏を知ったのは、南相馬市内の経済人から「吉田豊氏について『政経東北』を含めどのマスコミも触れないけど、何か理由があるのかい?」と聞かれたことがきっかけだった。前述した経歴や悪評を知り、こうした人物が南相馬市にいることに驚いた。取材を申し込むと、吉田氏は不誠実な対応に終始した。

2023年5月号から4号連続で記事を掲載し、その後も折を見てリポートしている。それらの記事を本誌ホームページに掲載して、広く共有されるよう努めてきたところ、吉田氏のもとで働く人から「こんな記事が出ていたとは知らなかった」と相談を受けることが増えた。そのときは、過去の事例を客観的に伝え、「何らかの形で損害を被る可能性が高いので、できるだけ距離を置いた方がいい」と伝えている。

「進次郎と会ってきた」

吉田氏が立ち上げた桜並木クリニック、オレンジファーマシー、憩いの森の3施設は相変わらずブラックな労働環境のため、極度の人手不足に陥っているという。求人が常に出ており、たまに新戦力として入ってくる人もいるようだが、複数の元職員によると、「当初の約束と違う給与形態や金額を指定された」、「社会保険料が支払われていなかった」などすぐにトラブルが起きて対立し、辞めていくことが多いとか。

本誌が直撃取材した際、吉田氏は「自分はオーナーではない。あくまで各施設に助言する立場」と逃げていたが、内部ではいまも「オーナー」と呼ばせ、「東京の議員会館で小泉進次郎衆議院議員と会ってきた」、「俺のバックには暴力団がいる」などと吹聴しているようだ。関係者に話を聞いたところ、若いころに政治家の事務所に出入りし、いまも国会議員と交流があるのは確かな様子。ただ、前出・藤丸衆議院議員の事務所に問い合わせたときの「誰でしたっけ?」的な反応を見ると、大した影響力があるとは思えない。政治家や暴力団の名前をうまく使っているに過ぎないのだろう。真に受けて尊敬したり怖がるべきではない。

桜並木クリニックは開院以来、短いスパンで管理者(院長)が変わっており、昨年5月からは河村敏章氏が務めている。診察日にクリニックの前を通ったところ、待合室に10人近くが座っていたから人気は上々のようだ。だが、勤めていた複数のスタッフからは「診察していない患者の処方箋を作成するよう求められていた」など保険医療機関として重大なルール違反を疑わせる証言もあった。事実だとすれば医療倫理にもとる行為であり大きな問題だ。

また、過去には、憩いの森利用者について、「症状に見合わない過剰な薬・医療食品が処方されている」と匿名で連絡を受けたことがあった。いずれも真相は判然としないが、この件については、あらためてリポートしたい。

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