2024年の衆院選直前に選挙区内の祭り参加団体に現金計25万円を配ったとして、元衆院議員の亀岡偉民氏(70)=自民党を離党=が公選法違反(寄付行為)に問われている。3月16日に福島地裁で開かれた第6回公判には、亀岡氏の代理で祭礼に赴くこともあった秘書の女性が出廷。寄付は「福島メセナ協議会からの出費」とし、亀岡氏の政治資金や私費からではないと証言した。「地元県議も現金を寄付していた」との証言が飛び出すと、深掘りしたい弁護人と質問の必要性を認めない検察官の主張が堂々巡りに陥った。
亀岡氏は、2024年10月15日に公示された衆院選直前の同3~13日の間に、福島1区内で行われた六つの祭りに参加した27団体に計25万円を寄付したことが公選法違反に問われている。亀岡氏は落選した。
公選法は、選挙が近いかどうかにかかわらず、選挙区内での寄付をいかなる名義でも禁じている。だが、違法な寄付をしたとしても政治家が実際に立件されるかどうかは警察・検察の胸三寸。捜査機関が亀岡氏の立件に動いたのは、落選し議員バッジを失ったからだと言われている。
この間、亀岡氏は発信を控える一方で、今年2月の衆院選には後を継いだ長男の偉一氏(37)が福島1区から無所属で立候補した。自民党公認候補には福島市選挙区選出の元県議、西山尚利氏(61)が立ち、偉一氏と中道公認の前職金子恵美氏(60)を退けて当選した。かつては自民党として表向きはまとまっていた保守系が、あからさまに分裂しているのが福島1区の現況だ。
亀岡氏の弁護団は東京から来る検察官上がりの弁護士2人が率い、丁々発止の応酬が繰り広げられている。3月16日の公判の中でも特筆すべきやり取りがあった。
弁護人「亀岡氏以外の政治家が祭りに寄付したと聞いたことは?」
秘書「福島稲荷神社の祭礼で同席したある政治家が、『実際は現金を渡したが、お茶にすり替えてもらった』と言っていた」
弁護人「国会議員や地方議員などどのような身分の政治家か」
検察官「異議あり。今回の事件とは関係ない」
弁護人「同選挙区での類似事案にもかかわらず、その政治家は立件されていないことを問題視している。身分は必要。実名は求めていない」
島田環裁判長は「質問の趣旨が分からない」といぶかしんだ。
弁護人「再度質問です。この政治家は誰か」
秘書「県会議員です」
弁護人は、別の政治家の寄付行為を明らかにしようと、異議が差し込まれるたびに質問の切り口を変えたが、最終的に島田裁判長が「意図が読めない」と呆れ、質問を止めた。弁護人は裁判所の訴訟指揮に異議を申し立てたが、これも却下された。
断片的な話をつなげると、要するに「祭礼を訪ねた国会議員や県議も亀岡氏と同じように自ら寄付していた」と言いたかったらしい。「この道路では、警察はある程度のスピード超過を許容し、違反には問わないのに、自分だけ狙い撃ちするのは不当だ」という恨み節に似ている。秘書は前出の県議から、「『亀岡さんが1年前にした寄付が警察に目を付けられ、今年は張られているよ』と教えられた」とも証言した。
傍聴人は亀岡氏の支持者の他、自民党員、党所属の地方議員たちが多い。この日は福島市議や二本松市議がいた。弁護人の質問は遮られ、意味深なやり取りに終わってしまったが、仲間内には、亀岡氏が言いたいことが暗に伝わったのだろう。

























