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  • 宅配で顧客取り込むヨークベニマル

    宅配で顧客取り込む【ヨークベニマル】

     コロナ禍以降の宅配需要の増大や高齢化に対応するため、県内最大手の食品スーパー・ヨークベニマルは宅配サービスの充実化を図り、移動スーパー事業もスタートさせた。各事業の現状と今後の展望について、担当者に話を聞いた。 店に来られない高齢者・単身者に好評 移動スーパー「ミニマル」(福島西店、ヨークベニマル提供)  昨年3月1日、ヨークベニマルは社内に「ラストワンマイル推進部」を設けた。 ラストワンマイルとは店舗・物流拠点から消費者宅までの距離を指すビジネス用語。コロナ禍を経て、EC(ネット通販)の需要が増大し、配送業者のドライバー不足も問題となる中、「ラストワンマイル」でいかに差別化を図れるかが小売・流通各社にとって課題となっている。 加えて本県など高齢化が進む地域では、免許返納などで交通手段がなくなり、近くのスーパーに買い物に行けない〝買い物難民〟問題が深刻化している。それらの課題に対応するために設置されたのが同推進部だ。 同推進部の開山秀晃総括マネジャーは次のように話す。 「例えば高齢者の中には、足が痛くて思うように歩けなかったり、自動車の運転に不安を感じて来店できない方がいます。そうした方でも安心して買い物できて、豊かな生活を送れるように、われわれがライフラインを整備しようと考えました」 昨年5月に始まったのが、クリスマスケーキなどの人気商品をネット予約して店舗で受け取れる「ウェブ予約」。共働きで忙しいが、家族でのイベントは大切にしたい――という子育て世帯の需要に応えた。報道によると、通常商品を扱うネットスーパーも2024年2月期に1店舗で開始する予定だ。 電話で注文を受け付けて自宅に配送する「電話注文宅配サービス」は5年前に開始した。現在は田島店(南会津町)、台新店(郡山市)、門田店(会津若松市)、会津坂下店(会津坂下町)など8店舗で実施している。 宅配サービスの電話注文を受ける担当スタッフ(門田店、ヨークベニマル提供)  会員登録後、チラシなどを見ながら、店舗スタッフに電話で注文する。別途配送料金がかかる(会津坂下店440円税込み。それ以外は330円税込みで、今後値上げされる見込み)が、販売価格は店頭と同じで、入会費や月会費などは一切かからない。配送エリアは店舗ごとに定められており、田島店では最大約50㌔先まで対応するという。2月現在の登録者数は6店舗計約1700人。開山マネジャーによると、一人当たりの買い物金額は約5000円。まとめ買いして、宅配してもらうスタイルが定着しているのだろう。 利用者多い高齢者施設 移動スーパー「ミニマル」の車両(西若松店、ヨークベニマル提供)  昨年7月にスタートしたのが、移動スーパー「ミニマル」だ。福島西店(福島市)、西若松店(会津若松市)を拠点に週6日運行する。取扱商品は生鮮食品、日配品、弁当、総菜など約300品目。既存の移動スーパーが個人宅まで行くのに対し、「ミニマル」は住宅団地や集会所、高齢者向け施設などを巡回する。 「ご近所同士のコミュニティー形成のきっかけにつなげてほしい思いがあるからです。高齢者向け施設は需要が多く、巡回場所の4分の1を占めています。施設利用者本人はもちろん、買い物を依頼されたヘルパーさんも訪れる。部屋に台所がある施設も多いため、意外と漬物にする野菜などが売れたりします」(同) 「Uber Eats(ウーバーイーツ)」や「Wolt(ウォルト)」など、フードデリバリーを使った食品配送も宮城県仙台市や栃木県宇都宮市の4店舗で導入し、5月には浜田店(福島市)で福島県初となる「ウーバーイーツ」での配送を開始した。 顧客から注文があった商品を売り場から取り出すウーバーイーツの配達員(ヨークベニマル提供)  鮮度・温度管理が難しい刺身やアイスを除き、全商品を取り扱う。受け付け時間は10時から19時。配送エリアは店舗から約3㌔圏内。配送手数料は50~550円で、加えて合計注文金額の10%(最大350円)のサービス料金が別途適用される。 単身者などの利用に加え、酒やおつまみだけの注文も目立つことから、開山マネジャーは「買い物に行く時間がない飲食店の店主などにも利用されているのではないか」と分析している。店舗で買うより割高だが、30分以内に自宅まで届けてくれる手軽さが支持され、導入店舗の売り上げは着実に伸びているようだ。 報道によると、同社では2026年2月期までに電話注文サービスを30店舗、「ミニマル」を10店舗、フードデリバリーを15店舗まで拡大することを目指している。 ただし、「電話注文サービスを行うには、顧客の要望を正確に聞き取りできるスタッフの存在が必須で、それなりの教育が必要となる。そういう意味では一気に拡大するのは難しい。地道に増やしていくことになると思います」(開山マネジャー)。 その一方で「うちのエリアでも宅配サービスをやってくれないの?」という問い合わせも多く寄せられているので、少しでも早く導入できないか模索しているようだ。 担当店舗の現場スタッフが負担に感じないように、宅配・移動スーパー分の売り上げを店舗の実績として反映させる仕組みを設けたほか、「先入れ先出し」の徹底、売れ残り品の持ち出し禁止など、社内ルールの構築も同時に進めている。 宅配・移動スーパーの充実により顧客が抱える課題のソリューション(解決)につながれば、同社への信頼度は高まり、〝潜在的な買い物客〟を取り込むこともできる。競合他社にとって大きな打撃になり得る。 行商から同社を立ち上げた創業者・大高善雄氏が唱えた「野越え山越えの精神」は、顧客への感謝と奉仕の心を表す創業理念として、社内で伝え続けられている。同社にとって〝原点回帰〟となるラストワンマイル戦略の成否に注目が集まる。

  • 宅配で顧客取り込む【ヨークベニマル】

     コロナ禍以降の宅配需要の増大や高齢化に対応するため、県内最大手の食品スーパー・ヨークベニマルは宅配サービスの充実化を図り、移動スーパー事業もスタートさせた。各事業の現状と今後の展望について、担当者に話を聞いた。 店に来られない高齢者・単身者に好評 移動スーパー「ミニマル」(福島西店、ヨークベニマル提供)  昨年3月1日、ヨークベニマルは社内に「ラストワンマイル推進部」を設けた。 ラストワンマイルとは店舗・物流拠点から消費者宅までの距離を指すビジネス用語。コロナ禍を経て、EC(ネット通販)の需要が増大し、配送業者のドライバー不足も問題となる中、「ラストワンマイル」でいかに差別化を図れるかが小売・流通各社にとって課題となっている。 加えて本県など高齢化が進む地域では、免許返納などで交通手段がなくなり、近くのスーパーに買い物に行けない〝買い物難民〟問題が深刻化している。それらの課題に対応するために設置されたのが同推進部だ。 同推進部の開山秀晃総括マネジャーは次のように話す。 「例えば高齢者の中には、足が痛くて思うように歩けなかったり、自動車の運転に不安を感じて来店できない方がいます。そうした方でも安心して買い物できて、豊かな生活を送れるように、われわれがライフラインを整備しようと考えました」 昨年5月に始まったのが、クリスマスケーキなどの人気商品をネット予約して店舗で受け取れる「ウェブ予約」。共働きで忙しいが、家族でのイベントは大切にしたい――という子育て世帯の需要に応えた。報道によると、通常商品を扱うネットスーパーも2024年2月期に1店舗で開始する予定だ。 電話で注文を受け付けて自宅に配送する「電話注文宅配サービス」は5年前に開始した。現在は田島店(南会津町)、台新店(郡山市)、門田店(会津若松市)、会津坂下店(会津坂下町)など8店舗で実施している。 宅配サービスの電話注文を受ける担当スタッフ(門田店、ヨークベニマル提供)  会員登録後、チラシなどを見ながら、店舗スタッフに電話で注文する。別途配送料金がかかる(会津坂下店440円税込み。それ以外は330円税込みで、今後値上げされる見込み)が、販売価格は店頭と同じで、入会費や月会費などは一切かからない。配送エリアは店舗ごとに定められており、田島店では最大約50㌔先まで対応するという。2月現在の登録者数は6店舗計約1700人。開山マネジャーによると、一人当たりの買い物金額は約5000円。まとめ買いして、宅配してもらうスタイルが定着しているのだろう。 利用者多い高齢者施設 移動スーパー「ミニマル」の車両(西若松店、ヨークベニマル提供)  昨年7月にスタートしたのが、移動スーパー「ミニマル」だ。福島西店(福島市)、西若松店(会津若松市)を拠点に週6日運行する。取扱商品は生鮮食品、日配品、弁当、総菜など約300品目。既存の移動スーパーが個人宅まで行くのに対し、「ミニマル」は住宅団地や集会所、高齢者向け施設などを巡回する。 「ご近所同士のコミュニティー形成のきっかけにつなげてほしい思いがあるからです。高齢者向け施設は需要が多く、巡回場所の4分の1を占めています。施設利用者本人はもちろん、買い物を依頼されたヘルパーさんも訪れる。部屋に台所がある施設も多いため、意外と漬物にする野菜などが売れたりします」(同) 「Uber Eats(ウーバーイーツ)」や「Wolt(ウォルト)」など、フードデリバリーを使った食品配送も宮城県仙台市や栃木県宇都宮市の4店舗で導入し、5月には浜田店(福島市)で福島県初となる「ウーバーイーツ」での配送を開始した。 顧客から注文があった商品を売り場から取り出すウーバーイーツの配達員(ヨークベニマル提供)  鮮度・温度管理が難しい刺身やアイスを除き、全商品を取り扱う。受け付け時間は10時から19時。配送エリアは店舗から約3㌔圏内。配送手数料は50~550円で、加えて合計注文金額の10%(最大350円)のサービス料金が別途適用される。 単身者などの利用に加え、酒やおつまみだけの注文も目立つことから、開山マネジャーは「買い物に行く時間がない飲食店の店主などにも利用されているのではないか」と分析している。店舗で買うより割高だが、30分以内に自宅まで届けてくれる手軽さが支持され、導入店舗の売り上げは着実に伸びているようだ。 報道によると、同社では2026年2月期までに電話注文サービスを30店舗、「ミニマル」を10店舗、フードデリバリーを15店舗まで拡大することを目指している。 ただし、「電話注文サービスを行うには、顧客の要望を正確に聞き取りできるスタッフの存在が必須で、それなりの教育が必要となる。そういう意味では一気に拡大するのは難しい。地道に増やしていくことになると思います」(開山マネジャー)。 その一方で「うちのエリアでも宅配サービスをやってくれないの?」という問い合わせも多く寄せられているので、少しでも早く導入できないか模索しているようだ。 担当店舗の現場スタッフが負担に感じないように、宅配・移動スーパー分の売り上げを店舗の実績として反映させる仕組みを設けたほか、「先入れ先出し」の徹底、売れ残り品の持ち出し禁止など、社内ルールの構築も同時に進めている。 宅配・移動スーパーの充実により顧客が抱える課題のソリューション(解決)につながれば、同社への信頼度は高まり、〝潜在的な買い物客〟を取り込むこともできる。競合他社にとって大きな打撃になり得る。 行商から同社を立ち上げた創業者・大高善雄氏が唱えた「野越え山越えの精神」は、顧客への感謝と奉仕の心を表す創業理念として、社内で伝え続けられている。同社にとって〝原点回帰〟となるラストワンマイル戦略の成否に注目が集まる。