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  • 立民党員が自民推薦で立候補【南会津郡】

    【福島県議会選挙】立民党員が自民推薦で立候補【南会津郡】

     南会津郡選挙区(定数1)では現職引退に伴い、新人同士の選挙戦になる見通し。前回選挙で現職に数十票差まで迫った野党系候補のほか、立憲民主党から鞍替えした自民党推薦候補が名乗りを上げている。 自治労出身候補者との新人対決 渡部英明氏 大桃英樹氏  南会津郡選挙区は定数1。対象となる町村は下郷町、南会津町、只見町、檜枝岐村。6月1日現在の選挙人名簿登録者数は2万0854人。  同選挙区の現職は星公正氏(70、3期)。南会津町の建設会社・星組(現在は大富士土建工業、福南建設と合併し、「南総建」となっている)の元社長で、自民党所属。今年2月に今期限りでの引退を表明した。  現時点で立候補を表明しているのは2人。  1人目は、前回2019年の県議選に立候補し、星氏に74票差(8263票)で敗れた新人の渡部英明氏(56)だ。  南会津町出身、会津高卒。田島町(南会津町)役場に勤めながら、自治労福島県本部書記次長、連合福島南会津地区連合会議長を歴任。早期退職し、立憲民主党、国民民主党、社民党の推薦を受け県議選に挑んだ。  落選後は次期県議選でのリベンジに向け準備しつつ、同町田島地区の自宅に行政書士事務所を立ち上げた。  4人の子どものうち、3人が同町内の企業に勤める。4月には、その1人で長男の渡部裕太氏(31)が南会津町議選に立候補し、得票数1538票でトップ当選を果たした(88頁からの記事参照)。自宅近くに設けた選挙事務所はそのまま父親の選挙事務所として使われる予定だ。  「親子で議員職を独占し、互いの選挙活動を応援し合う姿勢を見て、シラける人も増えそうだ」(町内の経営者)と懸念する向きもあるが、渡部英明氏は「支持者からネガティブな声は聞こえていない。息子と二馬力で地域を盛り上げたい」と意気込みを示す。  2人目は、新人で元南会津町議の大桃英樹氏(48)だ。  南会津町出身。喜多方高卒、米テンプル大学JAPAN(=日本校)中退。旧南郷村職員(南会津町職員)を経て、2011年に36歳で南会津町議選初当選、連続3期務めた。今年4月の町議選立候補を見送り、星氏引退に伴い自民党南会津総支部が実施した県議選公認候補の公募に応募。同党から推薦を受ける形で、7月に立候補を表明した。  同選挙区内で話題になっているのがこの大桃氏の経歴だ。  実は大桃氏、4年前の町議選に国民民主党から立候補し、その後は立憲民主党党員として活動してきた人物なのだ。特に旧福島4区選出の小熊慎司衆院議員(55、4期、立憲民主党)を応援し、行動を共にしてきた。それが一転して自民党推薦候補となったため、与野党双方から反発の声が上がっている。  「町内の立憲民主党関係者は〝裏切り行為〟に呆れているし、自民党南会津総支部の各地区の責任者からも『応援する気になれない』という声が漏れ聞こえる」(会津地方の選挙事情に詳しいジャーナリスト)  大桃氏に関しては、南会津町長選にも立候補の意思を示して翻すなど、周囲を翻弄するような言動が目立ち、公私ともにさまざまなウワサが流れていた。自民党南会津総支部内で反発の声が上がった背景にはそうした事情もあるのだろう。  「自民党南会津総支部で会合をやったとき、座長を務めていた菅家一郎衆院議員(68、4期、自民党)が『自民党員が誰も出ないっていうんだから大桃君でいいんじゃないか』と詳しい事情も知らないのに話した。さすがに各地区の責任者が激怒して、一斉に帰ってしまったらしい」(同)  そんな声を吹き飛ばすように、大桃氏は8月6日、SNSに菅家氏とのツーショット写真をアップ。お盆期間には菅家氏と共に新盆の支持者宅をあいさつ回りするなど、支持拡大に奔走している。  なぜ立憲民主党を離党して自民党から立候補しようと考えたのか。本誌取材に対し大桃氏はこう語った。  「前回、今回と県議選立候補を希望し、小熊さんに相談して調整してもらっていたが、渡辺英明氏が連合福島の推薦で立候補する関係上、立憲民主党から『(県議選での立候補は)あきらめてください』と言われていた。やむなく2月末ごろに離党し、無所属でも立候補する覚悟を決めていたところ、自民党関係者を通じて星氏からお声がけいただき、公募に申し込んだのです」  小熊氏に相談しても立候補の道が開けず、失意の離党をした直後に自民党からスカウトされた、と。 評価下げた菅家氏と小熊氏 菅家一郎氏 小熊慎司氏  大桃氏は渡部恒三氏が唱えていた二大政党制の実現を目指し、小熊氏と行動してきたが、ここ数年は立憲民主党が打ち出す野党共闘路線に違和感を抱いていたという。同党所属のまま人口減少・少子高齢化が急速に進む南会津地域を振興していけるのか不安を抱いているタイミングで県議選立候補の断念要請が重なり、離党を決意した。  大桃氏によると、地元自民党支持者の反応は「応援の声も多くいただいているが、『俺は認めないよ』という方もいる」。同町内では以前から「与党県議がいれば大規模公共事業を南会津地域に持ってくる可能性が高まる。星氏の後継者を探すべきだ」という声が聞かれていた。与党支持者の受け皿としてそれなりに支持が広まっていくかもしれない。  なお県内の国民民主党関係者によると、大桃氏をめぐっては、「小熊氏のアイデアで、まずは無所属で立候補し、後から国民民主党入りする動きがあった。国民民主党の役員らは本気で準備していたが、ふたを開けてみたら小熊氏は全く動いておらず、本人にも話が届いていなかった。自民党に公募を出していた話を知って愕然とした」という話があったとか。振り回された格好の国民民主党関係者は小熊氏に強い不信感を抱き、周囲に不満を漏らしている。前出・菅家氏といい、小熊氏といい、今回の県議選でそろって評価を落とした格好だ。  同選挙区の課題は人口減少と少子高齢化、産業振興に尽きる。コロナ禍と原油・物価高騰はあらゆる業界に打撃を与えており、民間企業は青息吐息の状態。こうした中、地域活性化の道筋を付けるべく、県執行部にさまざまな意見を出して改善を促す県議が求められる。  渡部氏、大桃氏ともにインフラ整備や観光振興、人口減対策などを訴えるが、どこまで実現できるのか。  渡部氏、大桃氏とも大票田である南会津町田島地区在住。  渡部氏は前回の県議選で只見町と檜枝岐村で苦戦した。星氏が社長を務めていた星組との結び付きが強いエリアだったためとみられ、ここをどう攻略できるかが渡部氏にとって鍵になる。一方の大桃氏は父親が南会津地方広域市町村圏組合消防本部で消防長を務め、出身は旧南郷村という点がプラスに働きそう。  元役場職員同士の対決となる見通しだが、今後さらなる新人が立候補する可能性もある。支持が入り乱れる激戦を制するのは誰か。

  • 【福島県議会選挙】立民党員が自民推薦で立候補【南会津郡】

     南会津郡選挙区(定数1)では現職引退に伴い、新人同士の選挙戦になる見通し。前回選挙で現職に数十票差まで迫った野党系候補のほか、立憲民主党から鞍替えした自民党推薦候補が名乗りを上げている。 自治労出身候補者との新人対決 渡部英明氏 大桃英樹氏  南会津郡選挙区は定数1。対象となる町村は下郷町、南会津町、只見町、檜枝岐村。6月1日現在の選挙人名簿登録者数は2万0854人。  同選挙区の現職は星公正氏(70、3期)。南会津町の建設会社・星組(現在は大富士土建工業、福南建設と合併し、「南総建」となっている)の元社長で、自民党所属。今年2月に今期限りでの引退を表明した。  現時点で立候補を表明しているのは2人。  1人目は、前回2019年の県議選に立候補し、星氏に74票差(8263票)で敗れた新人の渡部英明氏(56)だ。  南会津町出身、会津高卒。田島町(南会津町)役場に勤めながら、自治労福島県本部書記次長、連合福島南会津地区連合会議長を歴任。早期退職し、立憲民主党、国民民主党、社民党の推薦を受け県議選に挑んだ。  落選後は次期県議選でのリベンジに向け準備しつつ、同町田島地区の自宅に行政書士事務所を立ち上げた。  4人の子どものうち、3人が同町内の企業に勤める。4月には、その1人で長男の渡部裕太氏(31)が南会津町議選に立候補し、得票数1538票でトップ当選を果たした(88頁からの記事参照)。自宅近くに設けた選挙事務所はそのまま父親の選挙事務所として使われる予定だ。  「親子で議員職を独占し、互いの選挙活動を応援し合う姿勢を見て、シラける人も増えそうだ」(町内の経営者)と懸念する向きもあるが、渡部英明氏は「支持者からネガティブな声は聞こえていない。息子と二馬力で地域を盛り上げたい」と意気込みを示す。  2人目は、新人で元南会津町議の大桃英樹氏(48)だ。  南会津町出身。喜多方高卒、米テンプル大学JAPAN(=日本校)中退。旧南郷村職員(南会津町職員)を経て、2011年に36歳で南会津町議選初当選、連続3期務めた。今年4月の町議選立候補を見送り、星氏引退に伴い自民党南会津総支部が実施した県議選公認候補の公募に応募。同党から推薦を受ける形で、7月に立候補を表明した。  同選挙区内で話題になっているのがこの大桃氏の経歴だ。  実は大桃氏、4年前の町議選に国民民主党から立候補し、その後は立憲民主党党員として活動してきた人物なのだ。特に旧福島4区選出の小熊慎司衆院議員(55、4期、立憲民主党)を応援し、行動を共にしてきた。それが一転して自民党推薦候補となったため、与野党双方から反発の声が上がっている。  「町内の立憲民主党関係者は〝裏切り行為〟に呆れているし、自民党南会津総支部の各地区の責任者からも『応援する気になれない』という声が漏れ聞こえる」(会津地方の選挙事情に詳しいジャーナリスト)  大桃氏に関しては、南会津町長選にも立候補の意思を示して翻すなど、周囲を翻弄するような言動が目立ち、公私ともにさまざまなウワサが流れていた。自民党南会津総支部内で反発の声が上がった背景にはそうした事情もあるのだろう。  「自民党南会津総支部で会合をやったとき、座長を務めていた菅家一郎衆院議員(68、4期、自民党)が『自民党員が誰も出ないっていうんだから大桃君でいいんじゃないか』と詳しい事情も知らないのに話した。さすがに各地区の責任者が激怒して、一斉に帰ってしまったらしい」(同)  そんな声を吹き飛ばすように、大桃氏は8月6日、SNSに菅家氏とのツーショット写真をアップ。お盆期間には菅家氏と共に新盆の支持者宅をあいさつ回りするなど、支持拡大に奔走している。  なぜ立憲民主党を離党して自民党から立候補しようと考えたのか。本誌取材に対し大桃氏はこう語った。  「前回、今回と県議選立候補を希望し、小熊さんに相談して調整してもらっていたが、渡辺英明氏が連合福島の推薦で立候補する関係上、立憲民主党から『(県議選での立候補は)あきらめてください』と言われていた。やむなく2月末ごろに離党し、無所属でも立候補する覚悟を決めていたところ、自民党関係者を通じて星氏からお声がけいただき、公募に申し込んだのです」  小熊氏に相談しても立候補の道が開けず、失意の離党をした直後に自民党からスカウトされた、と。 評価下げた菅家氏と小熊氏 菅家一郎氏 小熊慎司氏  大桃氏は渡部恒三氏が唱えていた二大政党制の実現を目指し、小熊氏と行動してきたが、ここ数年は立憲民主党が打ち出す野党共闘路線に違和感を抱いていたという。同党所属のまま人口減少・少子高齢化が急速に進む南会津地域を振興していけるのか不安を抱いているタイミングで県議選立候補の断念要請が重なり、離党を決意した。  大桃氏によると、地元自民党支持者の反応は「応援の声も多くいただいているが、『俺は認めないよ』という方もいる」。同町内では以前から「与党県議がいれば大規模公共事業を南会津地域に持ってくる可能性が高まる。星氏の後継者を探すべきだ」という声が聞かれていた。与党支持者の受け皿としてそれなりに支持が広まっていくかもしれない。  なお県内の国民民主党関係者によると、大桃氏をめぐっては、「小熊氏のアイデアで、まずは無所属で立候補し、後から国民民主党入りする動きがあった。国民民主党の役員らは本気で準備していたが、ふたを開けてみたら小熊氏は全く動いておらず、本人にも話が届いていなかった。自民党に公募を出していた話を知って愕然とした」という話があったとか。振り回された格好の国民民主党関係者は小熊氏に強い不信感を抱き、周囲に不満を漏らしている。前出・菅家氏といい、小熊氏といい、今回の県議選でそろって評価を落とした格好だ。  同選挙区の課題は人口減少と少子高齢化、産業振興に尽きる。コロナ禍と原油・物価高騰はあらゆる業界に打撃を与えており、民間企業は青息吐息の状態。こうした中、地域活性化の道筋を付けるべく、県執行部にさまざまな意見を出して改善を促す県議が求められる。  渡部氏、大桃氏ともにインフラ整備や観光振興、人口減対策などを訴えるが、どこまで実現できるのか。  渡部氏、大桃氏とも大票田である南会津町田島地区在住。  渡部氏は前回の県議選で只見町と檜枝岐村で苦戦した。星氏が社長を務めていた星組との結び付きが強いエリアだったためとみられ、ここをどう攻略できるかが渡部氏にとって鍵になる。一方の大桃氏は父親が南会津地方広域市町村圏組合消防本部で消防長を務め、出身は旧南郷村という点がプラスに働きそう。  元役場職員同士の対決となる見通しだが、今後さらなる新人が立候補する可能性もある。支持が入り乱れる激戦を制するのは誰か。