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渡邊博美

  • 【福島商工会議所】渡邊博美会頭インタビュー

     わたなべ・ひろみ 1946年生まれ。福島大学経済学部卒業後、福島ヤクルト販売入社。2012年に福島商工会議所副会頭。13年11月に会頭就任。現在4期目。  福島商工会議所は2022年11月、会頭に渡邊博美氏=福島ヤクルト販売会長=を再任し、新体制がスタートした。渡邊会頭は、企業や商店の足腰を強くするため力を注いでいくことを4期目の抱負に掲げる。人口減少とコロナ禍が重くのしかかる県内だが、県庁所在地の商工会議所として、駅前再開発をエンジンに街に賑わいを取り戻そうと模索している。  ――会頭4期目の任期が始まりました。抱負をお聞かせください。  「震災後の2013年に就任してから9年、無我夢中で取り組んできました。新型コロナの拡大は、ワクチンで一時は改善が進むも、変異株でまた感染が広がるといったように、影響がなくなったわけではありません。いかに拡大防止と経済を両立させていくかにかかっています。  新型コロナ禍で経済活性化には課題が残り、あらゆる取り組みを講じても効果は実感できるには至りませんでした。経済活性化のために引き続き自分が頑張らなければならないと会頭再任をお引き受けしました。  今期は一つ一つの企業や商店の足腰を強くしていくことに力を注ぎたいです。市、県、国は支援策を用意していますがそれは一過性に過ぎません。いずれは民間が自力で事業を継続し、地元に雇用を生むようにならないといけません。職員や会議所の議員らとこの意識を共有し、最大限の力を発揮していきます。  副会頭には、新たに東邦銀行専務の須藤英穂氏が加わりました。事業承継を控える企業もあり、足腰を強くするには金融が今まで以上に重要となります。東邦銀行さんにはコンサルタント役を期待しています。経済と金融機関が一体となり地元経済を支えることを意識した布陣です」  ――円安や物価高、燃料費高騰が深刻な問題となっています。  「企業は、材料費、光熱費、社用車の燃料代がかさみます。企業努力にも限界があります。何よりも人口減少が消費を冷え込ませています。  福島県はピーク時は約210万人の人口(1997年)でしたが、現在は約180万人で30万人ほど減っています。『人口が1人減ると食費だけで年間100万円減る』と言われます。30万人減ったということは3000億円減ったということです。あらゆる商売に影響しているでしょう。人口減少は地域の努力だけでは解決できません。お子さんが欲しい方々が子どもを産んで育てやすい社会にするために、行政は抜本的な対策を打ち出す必要があります」  ――福島県商工会議所連合会の会長も務めています。国、県に要望したいことは何ですか。併せて3選した内堀雅雄知事に求めることは。  「経済団体の重要な仕事は行政への要望活動です。市や議会と同じ価値観で結集し、省庁や与党に要望に赴きます。東北中央道開通や国道13号福島西道路延長でも要望を重ねてきました。まちづくりに要望は不可欠で、今後はより力を入れなくてはならないと思います。  福島県は女性の転出者数が全国で最も多く最下位ということに問題意識を持っています。2012~2021年の10年間にわたり、4万1283人に上ります。女性が働きたくなるような仕事や条件を用意できない企業にも責任があると思っています。このままではますます人口減が進んでしまう。  多くの信任を得て再選した内堀知事には、あらゆる課題に切り口を変えてチャレンジする姿勢を見せてほしいと思います。知事は国とのパイプがあり、堅実なのが評価されています。これだけ信任されているのだから、優先順位を付けて一歩進んでメリハリをつけてもいい。  原発からの処理水対応に関しては『簡単ではない』『白か黒かではない』と誰もが理解しています。ただし、県民の立場で国、東電に言うべきことは言ってもいいと思います。  我々民間業者が危惧するのは風評被害です。福島県産農産物はまだ一部の国で海外への輸出が規制されています。これは福島県だけの問題ではありません。東電だけでなく、国が責任を持って『漁業者、加工業者に対し一切責任を持つ』と言ってもらわないといけません」  ――3年ぶりにわらじまつりが街中で開催されるなどイベントが復活しつつあります。  「コロナ後は、わらじまつりはウェブで開きました。ただ祭りはリアルでないといけないとの声が根強かったです。2022年は参加団体と時間を制限してリアル開催ができました。  街中で短距離走をする『ももりんダッシュ』も3年ぶりに行いました。古関裕而記念音楽祭も開かれました。毎週末のように何かしらイベントが開かれていますが、一方で周知不足を課題に感じています。主催の市、商店街、民間団体が連携して情報発信をするのが重要と考えます。『週末に行けば何かやっている』『フラッといったら楽しかった』。小規模なイベントを重ねて街中をそのように認識してもらえればいいのかなと思っています」  ――福島駅前再開発事業が本格始動しました。「福島駅東西エリア一体化推進協議会」の会長を務めていますが、駅前再開発、中心市街地活性化はどうあるべきと考えますか。  「事業は2026年までかかります。国道13号福島西道路を南へ延ばし、福島市南部で国道4号とつながる時期と重なります。西道路を北へ延ばす計画も国交省に要望しています。実現すれば、市街地を通る国道の完全なバイパスになるでしょう。  現在、大型トラックも市街地を通ります。事故の危険性も高まり、歩行者にも優しくありません。何よりもパセオ通りと駅前が国道で分断されています。  西道路に交通を逃がせれば、街中が一体化しイベントも行いやすくなります。福島駅東口の再開発と併せて福島市のポテンシャルが上がります。駅前には福島学院大学、医大の保健科学部キャンパスがあるので、若者の活気を得て街づくりができるのではないかと期待しています。  2022年秋田市で行われた東北絆まつり(東北六魂祭)はヒントでした。感染対策のため会場はスタジアムで酒類の提供もありませんでした。ですが、売り上げは良かったそうです。祭りと一緒に集結した東北のグルメに皆さんが舌鼓を打ったそうで、『酒が出せないなら儲けがない』と出店しなかった事業者が悔やむほどの盛況ぶりだったようです。コロナ禍でも経済は両立できると実証してくれました。  東北と新潟を合わせた7県で、あるいは福島市と東北中央道でつながる相馬、米沢と連携した街づくりも効果的なのではないでしょうか。福島県が震災・原発事故で打撃を受けたのは確かですが、助けを求めるだけではもう通用しません。力強く立ち上がって魅力ある地域にしていかなければなりません」

  • 【福島商工会議所】渡邊博美会頭インタビュー

     わたなべ・ひろみ 1946年生まれ。福島大学経済学部卒業後、福島ヤクルト販売入社。2012年に福島商工会議所副会頭。13年11月に会頭就任。現在4期目。  福島商工会議所は2022年11月、会頭に渡邊博美氏=福島ヤクルト販売会長=を再任し、新体制がスタートした。渡邊会頭は、企業や商店の足腰を強くするため力を注いでいくことを4期目の抱負に掲げる。人口減少とコロナ禍が重くのしかかる県内だが、県庁所在地の商工会議所として、駅前再開発をエンジンに街に賑わいを取り戻そうと模索している。  ――会頭4期目の任期が始まりました。抱負をお聞かせください。  「震災後の2013年に就任してから9年、無我夢中で取り組んできました。新型コロナの拡大は、ワクチンで一時は改善が進むも、変異株でまた感染が広がるといったように、影響がなくなったわけではありません。いかに拡大防止と経済を両立させていくかにかかっています。  新型コロナ禍で経済活性化には課題が残り、あらゆる取り組みを講じても効果は実感できるには至りませんでした。経済活性化のために引き続き自分が頑張らなければならないと会頭再任をお引き受けしました。  今期は一つ一つの企業や商店の足腰を強くしていくことに力を注ぎたいです。市、県、国は支援策を用意していますがそれは一過性に過ぎません。いずれは民間が自力で事業を継続し、地元に雇用を生むようにならないといけません。職員や会議所の議員らとこの意識を共有し、最大限の力を発揮していきます。  副会頭には、新たに東邦銀行専務の須藤英穂氏が加わりました。事業承継を控える企業もあり、足腰を強くするには金融が今まで以上に重要となります。東邦銀行さんにはコンサルタント役を期待しています。経済と金融機関が一体となり地元経済を支えることを意識した布陣です」  ――円安や物価高、燃料費高騰が深刻な問題となっています。  「企業は、材料費、光熱費、社用車の燃料代がかさみます。企業努力にも限界があります。何よりも人口減少が消費を冷え込ませています。  福島県はピーク時は約210万人の人口(1997年)でしたが、現在は約180万人で30万人ほど減っています。『人口が1人減ると食費だけで年間100万円減る』と言われます。30万人減ったということは3000億円減ったということです。あらゆる商売に影響しているでしょう。人口減少は地域の努力だけでは解決できません。お子さんが欲しい方々が子どもを産んで育てやすい社会にするために、行政は抜本的な対策を打ち出す必要があります」  ――福島県商工会議所連合会の会長も務めています。国、県に要望したいことは何ですか。併せて3選した内堀雅雄知事に求めることは。  「経済団体の重要な仕事は行政への要望活動です。市や議会と同じ価値観で結集し、省庁や与党に要望に赴きます。東北中央道開通や国道13号福島西道路延長でも要望を重ねてきました。まちづくりに要望は不可欠で、今後はより力を入れなくてはならないと思います。  福島県は女性の転出者数が全国で最も多く最下位ということに問題意識を持っています。2012~2021年の10年間にわたり、4万1283人に上ります。女性が働きたくなるような仕事や条件を用意できない企業にも責任があると思っています。このままではますます人口減が進んでしまう。  多くの信任を得て再選した内堀知事には、あらゆる課題に切り口を変えてチャレンジする姿勢を見せてほしいと思います。知事は国とのパイプがあり、堅実なのが評価されています。これだけ信任されているのだから、優先順位を付けて一歩進んでメリハリをつけてもいい。  原発からの処理水対応に関しては『簡単ではない』『白か黒かではない』と誰もが理解しています。ただし、県民の立場で国、東電に言うべきことは言ってもいいと思います。  我々民間業者が危惧するのは風評被害です。福島県産農産物はまだ一部の国で海外への輸出が規制されています。これは福島県だけの問題ではありません。東電だけでなく、国が責任を持って『漁業者、加工業者に対し一切責任を持つ』と言ってもらわないといけません」  ――3年ぶりにわらじまつりが街中で開催されるなどイベントが復活しつつあります。  「コロナ後は、わらじまつりはウェブで開きました。ただ祭りはリアルでないといけないとの声が根強かったです。2022年は参加団体と時間を制限してリアル開催ができました。  街中で短距離走をする『ももりんダッシュ』も3年ぶりに行いました。古関裕而記念音楽祭も開かれました。毎週末のように何かしらイベントが開かれていますが、一方で周知不足を課題に感じています。主催の市、商店街、民間団体が連携して情報発信をするのが重要と考えます。『週末に行けば何かやっている』『フラッといったら楽しかった』。小規模なイベントを重ねて街中をそのように認識してもらえればいいのかなと思っています」  ――福島駅前再開発事業が本格始動しました。「福島駅東西エリア一体化推進協議会」の会長を務めていますが、駅前再開発、中心市街地活性化はどうあるべきと考えますか。  「事業は2026年までかかります。国道13号福島西道路を南へ延ばし、福島市南部で国道4号とつながる時期と重なります。西道路を北へ延ばす計画も国交省に要望しています。実現すれば、市街地を通る国道の完全なバイパスになるでしょう。  現在、大型トラックも市街地を通ります。事故の危険性も高まり、歩行者にも優しくありません。何よりもパセオ通りと駅前が国道で分断されています。  西道路に交通を逃がせれば、街中が一体化しイベントも行いやすくなります。福島駅東口の再開発と併せて福島市のポテンシャルが上がります。駅前には福島学院大学、医大の保健科学部キャンパスがあるので、若者の活気を得て街づくりができるのではないかと期待しています。  2022年秋田市で行われた東北絆まつり(東北六魂祭)はヒントでした。感染対策のため会場はスタジアムで酒類の提供もありませんでした。ですが、売り上げは良かったそうです。祭りと一緒に集結した東北のグルメに皆さんが舌鼓を打ったそうで、『酒が出せないなら儲けがない』と出店しなかった事業者が悔やむほどの盛況ぶりだったようです。コロナ禍でも経済は両立できると実証してくれました。  東北と新潟を合わせた7県で、あるいは福島市と東北中央道でつながる相馬、米沢と連携した街づくりも効果的なのではないでしょうか。福島県が震災・原発事故で打撃を受けたのは確かですが、助けを求めるだけではもう通用しません。力強く立ち上がって魅力ある地域にしていかなければなりません」