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相馬市

  • 「第8波」に入った新型コロナ

    相馬市の陽性者分析で見えた対策  相馬市は今夏の新型コロナ「第7波」の感染者(陽性者)の詳細な分析を行った。その内容を紹介・検証しつつ、すでに到来しつつある「第8波」に向けて、どのような対策が有効かを考えていきたい。  11月23日時点での国内のコロナ感染者累計数は2409万4925人、死者数は4万8797人。およそ5人に1人がこれまでに罹患している計算になる。1日の感染者数で見ると、今夏の「第7波」と言われる感染拡大の中で、7月下旬から8月下旬にかけて連日20万人を超える新規感染者が確認された。その前後でも、1日に10万人から15万人の感染者が出ている。  県内で見ると、11月23日時点でのコロナ感染者累計数は24万9359人、死者数は335人。およそ7人に1人が感染している計算で、国内平均よりは低い。1日の感染者数が最も多かったのは、2022年8月19日で3584人。その前後で、2000人越え、3000人越えの日が相次いだ。7月下旬から9月上旬までが「第7波」に位置付けられる。  その後は、少し落ち着き500人から1000人弱の日が続いたが、11月中旬ごろからまた増え始めている。11月22日は3341人、23日は3191人と、過去最高に迫っている。すでに「第8波」が到来していると言えそうだ。  政府(新型コロナウイルス感染症対策本部)は、11月18日までに「今秋以降の感染拡大で保健医療への負荷が高まった場合の対応について」をまとめた。いわゆる「第8波対策」である。  基本方針は「今秋以降の感染拡大が、今夏のオミクロン株と同程度の感染力・病原性の変異株によるものであれば、新たな行動制限は行わず、社会経済活動を維持しながら、高齢者等を守ることに重点を置いて感染拡大防止措置を講じるとともに、同時流行も想定した外来等の保健医療体制を準備する」というもの。  住民は、これまでと同様、3密回避、手指衛生、速やかなオミクロン株対応ワクチン接種、感染者と接触があった場合の早期検査、混雑した場所や感染リスクの高い場所への外出などを控える、飲食店での大声や長時間滞在の回避、会話する際のマスク着用、普段と異なる症状がある場合は外出、出勤、登校・登園等を控える――等々の基本的な対策が求められる。  「第8波対策」で、これまでと大きく変わったところは、「外来医療を含めた保健医療への負荷が相当程度増大し、社会経済活動にも支障が生じている段階(レベル3 医療負荷増大期)にあると認められる場合に、地域の実情に応じて、都道府県が『医療ひっ迫防止対策強化宣言』を行い、住民及び事業者等に対して、医療体制の機能維持・確保、感染拡大防止措置、業務継続体制の確保等に係る協力要請・呼びかけを実施する」「国は、当該都道府県を『医療ひっ迫防止対策強化地域』と位置付け、既存の支援に加え、必要に応じて支援を行う」とされていること。  つまり、都道府県の判断で「医療ひっ迫防止対策強化宣言」を行い、営業自粛、移動自粛などの要請ができるということだ。  こうして「第8波」に向けた対策や基本方針が定められる中、相馬市が「第7波」の感染者について詳細な分析を行ったものが今後の参考になりそうなので紹介・検証したい。  ちなみに、同市の立谷秀清市長は、医師免許を持っており、地元医師会との意思疎通が図りやすいほか、全国の医師系市長で組織する「全国医系市長会長」を務め、他市の医療体制・感染状況などの情報交換がしやすいこと、全国市長会長を務め、比較的頻繁に国と意見交換ができる環境にある、といった強みがある。 ワクチンの効果  別表は、同市で「第7波」で陽性判定を受けた人の「陽性者数と陽性率」、「年代別、ワクチン接種回数別の陽性者と陽性率」、「陽性者の症状」をまとめたもの。  まず、陽性者数と陽性率だが、ワクチン適正回数接種者は対象2万8355人のうち、陽性者1260人で、陽性率は4・4%、適正回数未接種者は対象5157人のうち、陽性者916人で、陽性率は17・8%となっている。なお、ワクチンの適正接種回数は60歳以上が4回、12歳から59歳が3回以上、5歳から11歳が2回。  こうして見ると、ワクチンを適正回数接種した人は、していない人に比べて、陽性率が4分の1程度になっていることが分かる。  立谷市長は「ブレイクスルー(ワクチンを適正回数接種しても感染するケース)はあるものの、ワクチンの効果はあることが証明された」と説明した。  年代別で見ると、若年層の適正回数未接種者の陽性率が高い傾向にあることが分かる。若年層は、注意をしていても、人が集まる場に行く機会が多い、移動機会が多い、といった理由から、感染リスクが高くなると言われているが、それが裏付けられたような結果だ。対象的に、高齢者は適正回数接種者の陽性率は1・86%、それ以外でも10%以下と低くなっている。高齢者や基礎疾患がある人は重症化のリスクが高まるとされていることなどから、十分注意していることがうかがえる。  一方、陽性者の症状を見ると、94・8%が軽症となっており、無症状を含めると、99%以上が無症状・軽症になる。残りの0・8%は中等症Ⅰ、Ⅱで重症はゼロ。なお、厚生労働省が作成した「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」によると、中等症Ⅰは「呼吸困難、肺炎所見」、中等症Ⅱは「酸素投与が必要」とされている。  立谷市長は以前の本誌取材に「ウイルス側も寄生するところがなくなったら生存できないわけだから、オミクロン株などに形を変えて『広く浅く』といった作戦に切り替えてきた。それをわれわれ人間がどう迎え撃つか。その戦いだ」と語っていたが、まさにそういった状況になっていることが分かる。 立谷市長  「今後、『第8波』が来る。年末年始で人の動きが活発になるということもあるが、基本的にこうしたウイルスは厳冬期は活性化しますからね」(立谷市長)  もっとも、対策としては「これまで継続してやってもらっている基本対策(消毒、マスク着用、密回避など)と、早期のワクチン接種しかない。『第8波』が来る前に、11月上旬からワクチン接種を実施している」(立谷市長)とのことで、そこに尽きるようだ。 ◎新型コロナ体験談 郡山市に住む50代男性。妻、子ども3人、義父母と暮らしています。 最初に感染したのは高1の娘。11月初めの夕方、高校に迎えに行くと喉がイガイガすると言う。まさかコロナじゃないだろうなと思いながら念のため車の窓を開けたが、娘も私もマスクを外していた。すると翌日、娘は咳をし出して発熱。病院でPCR検査を受け、陽性と判定された。 その2日後、私の体調に異変が表れた。喉がイガイガし、翌朝さらに酷くなった。次第に乾いた咳をするようになり、熱は38度台半ばに達した。抗原検査キットで陽性を確認。頭痛、寒気、関節の鈍い痛み等にも襲われ、寝るのもしんどい。解熱剤を服用してようやく眠れたが、その後、微熱と平熱を3、4日繰り返した。頭痛や寒気は翌日収まったが、喉のイガイガと咳は6日ほど続いた。寝過ぎた際に頭がボヤーっとする感じもしばらく残った。 私が発症した2日後には小学4年の次男も同じ症状に見舞われたが、幸い他の家族には広がらず、3人の感染で食い止めることができた。 私はワクチンを3回接種し、4回目の予約を検討しているところだった。インフルエンザに罹った時よりは辛くなかったが、できればもう感染したくないですね。

  • 【相馬市】立谷秀清市長インタビュー

     たちや・ひできよ 1951年生まれ。県立医大卒。95年から県議1期。2001年の市長選で初当選。現在6期目。18年6月から全国市長会会長を務める。  ――2022年3月に発生した福島県沖地震で相馬市は大きな被害を受けました。  「特徴的な被害として挙げられるのは、ほぼ100%の住宅が被災したことです。家財道具が倒れたり、食器類が割れるなどの被害はほとんどの住宅であったと思います。家屋損壊も相当数に上りました。生活の現場で市民はさまざまな苦労を余儀なくされ、それは発災から8カ月経った今も続いています。  屋根には未だにブルーシートが被せられ、屋根瓦の修繕も思うように進んでいません。大工さんもフル回転で対応していますが、ここ20年で大工さんの人数自体が減っており、修繕に当たる人員は不足しているのが実情です。それでも市民の多くは、何とか自宅を再建しようと努力を続けていますが、中には再建を諦め、市営住宅や民間アパートに転居された方も少なくありません。それぞれ事情が異なるので(再建を諦めるという選択は)仕方ないのでしょうが、生活の基盤となる住宅が元通りにならないと『相馬は復旧した』という気持ちにはなれませんね。  産業では、観光業の方々を中心に国のグループ補助金が適用され、復旧費の4分の3が補助されます。それはありがたいことなのですが、残り4分の1は自己負担になります。平時ならまかなう余力があっても、新型コロナウイルス感染症の影響で客足が落ち込む中、自己負担分が今後の経営に影響を与えないか心配されます。また、後継者問題に直面していた事業者の中には先行きが見通せないとして、今回の被災で事業を取りやめたところもあったようです。事業者は千差万別、いろいろと悩みながら今後の経営を考えている状況です。主要な工場については、相馬共同火力新地発電所は現在も一部運転再開に至っていませんが、その他の工場はほぼ稼働しています。  東日本大震災から11年8カ月経ちますが、復興を遂げつつあった中で2021年2月、2022年3月と立て続けに地震に襲われ、市民の間には『大地震がまた来るのではないか』という憂鬱感が広がっています。そこに追い打ちをかけているのが新型コロナの影響による閉塞感と国際情勢の不安定さです。災害から復旧を果たしても、新型コロナの影響があって商売が上手くいかない、そこに原油高、円安、物価高が重なり、相馬市は非常に厳しい状況にあるというのが実感です。  とはいえ、市民がみんな下を向いているかと言うと、そんなことはありません。市職員も同様です。東日本大震災の時も実感しましたが、相馬市民は根性があります。市長として、この難局を市民一丸となって乗り越えていきたいと考えています」  ――相馬市内の新型コロナ感染状況はいかがですか。  「相馬市はPDCAサイクル(※)に則り、市ワクチン接種メディカルセンター会議で議論しながらワクチン接種を進めてきました。例えば接種方法は、スポーツアリーナそうまを会場とした集団接種が85%、病院での個別接種が15%という割合です。集団接種会場では何が起きても安心・安全が保てるよう万全の態勢を整えていますが、接種により何らかのリスクが生じる恐れのある方は最初から病院(個別接種)で対応しています。また、強い副反応が出た方にはその後の接種を勧めていません。  ワクチン接種の効果ですが、相馬市独自のデータではこれまでに約2600人(9月25日まで)の市民が感染し、そのうち中等症以上になられた方は21人(0・8%)で、99%以上の方は軽症です。感染確率は、ワクチンを適正回数接種した方が4・4%、適正回数接種していない、あるいは全く接種していない方が17・8%で約13㌽の差がありました。  これらの結果から、ワクチン接種の効果は確実にあると言えます。ただし、接種しても感染するブレイクスルー感染も見られるので『効果は絶対ではない』という点は認識しなければなりませんし、中にはさまざまな理由から接種しない・できない方もいるので、そうした意向も尊重しなければならないと思っています。  さらに課題になるのが、新型コロナは感染症法上の2類相当になるため、感染者や濃厚接触者の長期離脱が社会・経済に悪影響を及ぼしてしまうことです。今後、同法上の扱いをどうしていくのか、具体的には5類に引き下げられるのか国の動向を注視する必要があります」  ――年末に向けては第8波が懸念されていますが。  「相馬市では11月1日からオミクロン株対応ワクチンの集団接種を開始しており、医師は10月22日に全員接種済みです。接種間隔をめぐっては3カ月あけるのか、5カ月あけるのかという議論がありましたが、私は全国市長会長として『3カ月で接種させてほしい。そうでなければ第8波に間に合わない』と政府に申し入れ、10月21日に了承が得られた経緯があります。計画通り進めば12月20日には希望者の接種を終える予定です。  第7波は、感染者は多かったが重症者は少ないものでした。第8波がどのような特徴を示すか分かりませんが、事前の準備をしっかり整えておきたいと思います」  ――福島第一原発の敷地内に溜まる汚染水の海洋放出について、国、東電に求めることは。  「しっかりとしたエビデンスに基づき最終的な処理方法を国の責任で決めること、それによって漁業者等に被害が出ることがあればきちんと補償すること、この二つは一貫して申し上げてきました。実際に海洋放出した場合、どういう被害が出て、どこまで補償が必要かは現時点で分かりませんが、国と東電には被害者の声に耳を傾け、誠実な対応を強く求めたい」  ――観光振興への取り組みは。  「3月の地震で通行止めが続いていた市道大洲松川線が10月20日に通行再開しました。同線は海岸堤防上などを走る観光道路で、2020年10月にオープンした浜の駅松川浦、2022年10月に物産館がリニューアルされた道の駅そうま、さらに磯部加工施設の直売所を有機的に結び付ける役割を担っています。各施設とも評判は上々ですが、今後の課題はこれらの施設を訪れた方々をどうやって街中に誘導するかです。例えば相馬市では現在、相馬で水揚げされる天然トラフグを『福とら』の名でブランド化してPRに努めており、街中でトラフグ料理を味わってもらうのも一つのアイデアだと思います。また、新型コロナや地震の影響で旅館などが厳しい状況にあるので、市内に整備したサッカー場、ソフトボール場、パークゴルフ場などを生かした合宿の誘致も検討したいですね」  ――最後に抱負を。  「ダメージからの回復、これに尽きます。1日でも早く、市民が普通の生活に戻れるよう市長として尽力していきます」 https://www.city.soma.fukushima.jp/

  • 「第8波」に入った新型コロナ

    相馬市の陽性者分析で見えた対策  相馬市は今夏の新型コロナ「第7波」の感染者(陽性者)の詳細な分析を行った。その内容を紹介・検証しつつ、すでに到来しつつある「第8波」に向けて、どのような対策が有効かを考えていきたい。  11月23日時点での国内のコロナ感染者累計数は2409万4925人、死者数は4万8797人。およそ5人に1人がこれまでに罹患している計算になる。1日の感染者数で見ると、今夏の「第7波」と言われる感染拡大の中で、7月下旬から8月下旬にかけて連日20万人を超える新規感染者が確認された。その前後でも、1日に10万人から15万人の感染者が出ている。  県内で見ると、11月23日時点でのコロナ感染者累計数は24万9359人、死者数は335人。およそ7人に1人が感染している計算で、国内平均よりは低い。1日の感染者数が最も多かったのは、2022年8月19日で3584人。その前後で、2000人越え、3000人越えの日が相次いだ。7月下旬から9月上旬までが「第7波」に位置付けられる。  その後は、少し落ち着き500人から1000人弱の日が続いたが、11月中旬ごろからまた増え始めている。11月22日は3341人、23日は3191人と、過去最高に迫っている。すでに「第8波」が到来していると言えそうだ。  政府(新型コロナウイルス感染症対策本部)は、11月18日までに「今秋以降の感染拡大で保健医療への負荷が高まった場合の対応について」をまとめた。いわゆる「第8波対策」である。  基本方針は「今秋以降の感染拡大が、今夏のオミクロン株と同程度の感染力・病原性の変異株によるものであれば、新たな行動制限は行わず、社会経済活動を維持しながら、高齢者等を守ることに重点を置いて感染拡大防止措置を講じるとともに、同時流行も想定した外来等の保健医療体制を準備する」というもの。  住民は、これまでと同様、3密回避、手指衛生、速やかなオミクロン株対応ワクチン接種、感染者と接触があった場合の早期検査、混雑した場所や感染リスクの高い場所への外出などを控える、飲食店での大声や長時間滞在の回避、会話する際のマスク着用、普段と異なる症状がある場合は外出、出勤、登校・登園等を控える――等々の基本的な対策が求められる。  「第8波対策」で、これまでと大きく変わったところは、「外来医療を含めた保健医療への負荷が相当程度増大し、社会経済活動にも支障が生じている段階(レベル3 医療負荷増大期)にあると認められる場合に、地域の実情に応じて、都道府県が『医療ひっ迫防止対策強化宣言』を行い、住民及び事業者等に対して、医療体制の機能維持・確保、感染拡大防止措置、業務継続体制の確保等に係る協力要請・呼びかけを実施する」「国は、当該都道府県を『医療ひっ迫防止対策強化地域』と位置付け、既存の支援に加え、必要に応じて支援を行う」とされていること。  つまり、都道府県の判断で「医療ひっ迫防止対策強化宣言」を行い、営業自粛、移動自粛などの要請ができるということだ。  こうして「第8波」に向けた対策や基本方針が定められる中、相馬市が「第7波」の感染者について詳細な分析を行ったものが今後の参考になりそうなので紹介・検証したい。  ちなみに、同市の立谷秀清市長は、医師免許を持っており、地元医師会との意思疎通が図りやすいほか、全国の医師系市長で組織する「全国医系市長会長」を務め、他市の医療体制・感染状況などの情報交換がしやすいこと、全国市長会長を務め、比較的頻繁に国と意見交換ができる環境にある、といった強みがある。 ワクチンの効果  別表は、同市で「第7波」で陽性判定を受けた人の「陽性者数と陽性率」、「年代別、ワクチン接種回数別の陽性者と陽性率」、「陽性者の症状」をまとめたもの。  まず、陽性者数と陽性率だが、ワクチン適正回数接種者は対象2万8355人のうち、陽性者1260人で、陽性率は4・4%、適正回数未接種者は対象5157人のうち、陽性者916人で、陽性率は17・8%となっている。なお、ワクチンの適正接種回数は60歳以上が4回、12歳から59歳が3回以上、5歳から11歳が2回。  こうして見ると、ワクチンを適正回数接種した人は、していない人に比べて、陽性率が4分の1程度になっていることが分かる。  立谷市長は「ブレイクスルー(ワクチンを適正回数接種しても感染するケース)はあるものの、ワクチンの効果はあることが証明された」と説明した。  年代別で見ると、若年層の適正回数未接種者の陽性率が高い傾向にあることが分かる。若年層は、注意をしていても、人が集まる場に行く機会が多い、移動機会が多い、といった理由から、感染リスクが高くなると言われているが、それが裏付けられたような結果だ。対象的に、高齢者は適正回数接種者の陽性率は1・86%、それ以外でも10%以下と低くなっている。高齢者や基礎疾患がある人は重症化のリスクが高まるとされていることなどから、十分注意していることがうかがえる。  一方、陽性者の症状を見ると、94・8%が軽症となっており、無症状を含めると、99%以上が無症状・軽症になる。残りの0・8%は中等症Ⅰ、Ⅱで重症はゼロ。なお、厚生労働省が作成した「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」によると、中等症Ⅰは「呼吸困難、肺炎所見」、中等症Ⅱは「酸素投与が必要」とされている。  立谷市長は以前の本誌取材に「ウイルス側も寄生するところがなくなったら生存できないわけだから、オミクロン株などに形を変えて『広く浅く』といった作戦に切り替えてきた。それをわれわれ人間がどう迎え撃つか。その戦いだ」と語っていたが、まさにそういった状況になっていることが分かる。 立谷市長  「今後、『第8波』が来る。年末年始で人の動きが活発になるということもあるが、基本的にこうしたウイルスは厳冬期は活性化しますからね」(立谷市長)  もっとも、対策としては「これまで継続してやってもらっている基本対策(消毒、マスク着用、密回避など)と、早期のワクチン接種しかない。『第8波』が来る前に、11月上旬からワクチン接種を実施している」(立谷市長)とのことで、そこに尽きるようだ。 ◎新型コロナ体験談 郡山市に住む50代男性。妻、子ども3人、義父母と暮らしています。 最初に感染したのは高1の娘。11月初めの夕方、高校に迎えに行くと喉がイガイガすると言う。まさかコロナじゃないだろうなと思いながら念のため車の窓を開けたが、娘も私もマスクを外していた。すると翌日、娘は咳をし出して発熱。病院でPCR検査を受け、陽性と判定された。 その2日後、私の体調に異変が表れた。喉がイガイガし、翌朝さらに酷くなった。次第に乾いた咳をするようになり、熱は38度台半ばに達した。抗原検査キットで陽性を確認。頭痛、寒気、関節の鈍い痛み等にも襲われ、寝るのもしんどい。解熱剤を服用してようやく眠れたが、その後、微熱と平熱を3、4日繰り返した。頭痛や寒気は翌日収まったが、喉のイガイガと咳は6日ほど続いた。寝過ぎた際に頭がボヤーっとする感じもしばらく残った。 私が発症した2日後には小学4年の次男も同じ症状に見舞われたが、幸い他の家族には広がらず、3人の感染で食い止めることができた。 私はワクチンを3回接種し、4回目の予約を検討しているところだった。インフルエンザに罹った時よりは辛くなかったが、できればもう感染したくないですね。

  • 【相馬市】立谷秀清市長インタビュー

     たちや・ひできよ 1951年生まれ。県立医大卒。95年から県議1期。2001年の市長選で初当選。現在6期目。18年6月から全国市長会会長を務める。  ――2022年3月に発生した福島県沖地震で相馬市は大きな被害を受けました。  「特徴的な被害として挙げられるのは、ほぼ100%の住宅が被災したことです。家財道具が倒れたり、食器類が割れるなどの被害はほとんどの住宅であったと思います。家屋損壊も相当数に上りました。生活の現場で市民はさまざまな苦労を余儀なくされ、それは発災から8カ月経った今も続いています。  屋根には未だにブルーシートが被せられ、屋根瓦の修繕も思うように進んでいません。大工さんもフル回転で対応していますが、ここ20年で大工さんの人数自体が減っており、修繕に当たる人員は不足しているのが実情です。それでも市民の多くは、何とか自宅を再建しようと努力を続けていますが、中には再建を諦め、市営住宅や民間アパートに転居された方も少なくありません。それぞれ事情が異なるので(再建を諦めるという選択は)仕方ないのでしょうが、生活の基盤となる住宅が元通りにならないと『相馬は復旧した』という気持ちにはなれませんね。  産業では、観光業の方々を中心に国のグループ補助金が適用され、復旧費の4分の3が補助されます。それはありがたいことなのですが、残り4分の1は自己負担になります。平時ならまかなう余力があっても、新型コロナウイルス感染症の影響で客足が落ち込む中、自己負担分が今後の経営に影響を与えないか心配されます。また、後継者問題に直面していた事業者の中には先行きが見通せないとして、今回の被災で事業を取りやめたところもあったようです。事業者は千差万別、いろいろと悩みながら今後の経営を考えている状況です。主要な工場については、相馬共同火力新地発電所は現在も一部運転再開に至っていませんが、その他の工場はほぼ稼働しています。  東日本大震災から11年8カ月経ちますが、復興を遂げつつあった中で2021年2月、2022年3月と立て続けに地震に襲われ、市民の間には『大地震がまた来るのではないか』という憂鬱感が広がっています。そこに追い打ちをかけているのが新型コロナの影響による閉塞感と国際情勢の不安定さです。災害から復旧を果たしても、新型コロナの影響があって商売が上手くいかない、そこに原油高、円安、物価高が重なり、相馬市は非常に厳しい状況にあるというのが実感です。  とはいえ、市民がみんな下を向いているかと言うと、そんなことはありません。市職員も同様です。東日本大震災の時も実感しましたが、相馬市民は根性があります。市長として、この難局を市民一丸となって乗り越えていきたいと考えています」  ――相馬市内の新型コロナ感染状況はいかがですか。  「相馬市はPDCAサイクル(※)に則り、市ワクチン接種メディカルセンター会議で議論しながらワクチン接種を進めてきました。例えば接種方法は、スポーツアリーナそうまを会場とした集団接種が85%、病院での個別接種が15%という割合です。集団接種会場では何が起きても安心・安全が保てるよう万全の態勢を整えていますが、接種により何らかのリスクが生じる恐れのある方は最初から病院(個別接種)で対応しています。また、強い副反応が出た方にはその後の接種を勧めていません。  ワクチン接種の効果ですが、相馬市独自のデータではこれまでに約2600人(9月25日まで)の市民が感染し、そのうち中等症以上になられた方は21人(0・8%)で、99%以上の方は軽症です。感染確率は、ワクチンを適正回数接種した方が4・4%、適正回数接種していない、あるいは全く接種していない方が17・8%で約13㌽の差がありました。  これらの結果から、ワクチン接種の効果は確実にあると言えます。ただし、接種しても感染するブレイクスルー感染も見られるので『効果は絶対ではない』という点は認識しなければなりませんし、中にはさまざまな理由から接種しない・できない方もいるので、そうした意向も尊重しなければならないと思っています。  さらに課題になるのが、新型コロナは感染症法上の2類相当になるため、感染者や濃厚接触者の長期離脱が社会・経済に悪影響を及ぼしてしまうことです。今後、同法上の扱いをどうしていくのか、具体的には5類に引き下げられるのか国の動向を注視する必要があります」  ――年末に向けては第8波が懸念されていますが。  「相馬市では11月1日からオミクロン株対応ワクチンの集団接種を開始しており、医師は10月22日に全員接種済みです。接種間隔をめぐっては3カ月あけるのか、5カ月あけるのかという議論がありましたが、私は全国市長会長として『3カ月で接種させてほしい。そうでなければ第8波に間に合わない』と政府に申し入れ、10月21日に了承が得られた経緯があります。計画通り進めば12月20日には希望者の接種を終える予定です。  第7波は、感染者は多かったが重症者は少ないものでした。第8波がどのような特徴を示すか分かりませんが、事前の準備をしっかり整えておきたいと思います」  ――福島第一原発の敷地内に溜まる汚染水の海洋放出について、国、東電に求めることは。  「しっかりとしたエビデンスに基づき最終的な処理方法を国の責任で決めること、それによって漁業者等に被害が出ることがあればきちんと補償すること、この二つは一貫して申し上げてきました。実際に海洋放出した場合、どういう被害が出て、どこまで補償が必要かは現時点で分かりませんが、国と東電には被害者の声に耳を傾け、誠実な対応を強く求めたい」  ――観光振興への取り組みは。  「3月の地震で通行止めが続いていた市道大洲松川線が10月20日に通行再開しました。同線は海岸堤防上などを走る観光道路で、2020年10月にオープンした浜の駅松川浦、2022年10月に物産館がリニューアルされた道の駅そうま、さらに磯部加工施設の直売所を有機的に結び付ける役割を担っています。各施設とも評判は上々ですが、今後の課題はこれらの施設を訪れた方々をどうやって街中に誘導するかです。例えば相馬市では現在、相馬で水揚げされる天然トラフグを『福とら』の名でブランド化してPRに努めており、街中でトラフグ料理を味わってもらうのも一つのアイデアだと思います。また、新型コロナや地震の影響で旅館などが厳しい状況にあるので、市内に整備したサッカー場、ソフトボール場、パークゴルフ場などを生かした合宿の誘致も検討したいですね」  ――最後に抱負を。  「ダメージからの回復、これに尽きます。1日でも早く、市民が普通の生活に戻れるよう市長として尽力していきます」 https://www.city.soma.fukushima.jp/