5月号のトップ記事でゼビオの本社移転を取り上げている。グループの中核子会社であるゼビオは栃木県宇都宮市に本社を移してしまうが、実は、持ち株会社のゼビオホールディングス(HD、諸橋友良社長)も郡山市から距離を置くような素振りを見せている。
同社は長年、郡山商工会議所の常議員だったが、今年1月に突然辞めている。昨年11月に改選されたばかりだったので、同会議所は慰留に努めたものの翻意せず議員に〝降格〟した。すると同社は、3月には「議員も辞めたい」と申し入れ、同27日に辞任届を提出した。
議員を辞めると単なる会員になるが、経済人の間からは「ゼビオ元社長の諸橋廷蔵氏(故人)は副会頭まで務めたのに、短期間のうちに常議員から会員に〝降格〟というのは非常に残念だしショック」という声が漏れていた。
そうした中で、辞任届を出した翌日にゼビオが宇都宮への本社移転を発表したことも、経済人たちのショックに輪をかけた。「ゼビオグループが郡山から離れて行く予兆ではないか」と見る向きさえあった。
「ゼビオの本社移転発表時、諸橋社長は『引き続きゼビオHD等の本社を郡山に残すことで地元との関係強化を図りたい』と言っていたが、会議所の常議員、議員を辞めたら発言との整合性が取れなくなる」(ある経済人)
なぜ、ゼビオHDは同会議所から距離を置こうとしているのか。ゼビオコーポレートの田村健志氏(コーポレート室長)に尋ねると、次のように説明した。
「会議所の常議員、議員として微力を尽くしてきたが、常議員、議員であることの有無が地元との関係強化につながるものとは考えていませんし、会員は継続します。郡山・宇都宮・東京の3拠点体制のバランスを取りつつ、地元との関係強化を図って参ります」
説明になっているような、いないような気もするが、特に故・諸橋廷蔵氏と付き合いのあったベテラン経済人たちは、同グループが郡山と縁遠くなりつつある状況に、寂しさと隔世の感を覚えている。