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福島市

  • 福島市いじめ問題で市側が被害者に謝罪

    福島市内の男子中学生が市立小学校に通っていたときにいじめを受け、不登校になった問題について、本誌2022年4月号「【福島市いじめ問題】6つの深刻な失態」という記事で、詳細にリポートした。  記事掲載後、男子中学生と保護者は市や市教育委員会の対応を巡り、担任の教員や教育委員会などに謝罪を要求。県弁護士会示談あっせんセンターに示談のあっせんを申し立て、2022年10月末、市長と教育長が謝罪することで和解に至った。  福島市は2022年11月22日の記者会見で、木幡浩市長と佐藤秀美教育長が非公式の場で直接謝罪しことを明らかにした。和解の条件として、市が児童らに180万円の解決金を支払い、いじめ問題の関係者を今後処分する。  同日、被害者側も記者会見を開き、男子中学生は「心の傷は治らない」と語った。保護者は「こちらが求める謝罪ではなかった」としつつ、「今後は組織一体となっていじめ問題に対応してほしい」と訴えた。

  • 福島市西部で進むメガソーラー計画の余波

     「自宅の周辺を作業員が出入りして地質調査をしていると思ったら、目の前の農地に開閉所(家庭でのブレーカーの役割を担う施設)ができると分かった。一切話を聞いていなかったので驚きました」(福島西工業団地の近くに住む男性)  同市西部の福島西工業団地(同市桜本)の近くの土地を、太陽光発電事業者がこぞって取得している。東北電力の鉄塔に近く、変電所・開閉所などを設置するのに好都合な場所だからだ。  2022年2月、鉄塔がある地区の町内会長の家をAC7合同会社(東京都)という会社の担当者が訪ねた。外資系のAmp㈱(同)という会社が特別目的会社として設立した法人で、福島市西部の先達山(635・9㍍)で大規模太陽光発電施設を計画している。そのための変電所を、市から取得した土地に整備すべく、町内会長の了解を得ようと訪れたのだ。  町内会長は冒頭の男性と情報を共有するとともに、同社担当者に対し「寝耳に水の話で、とても了承できない」と答えた。  同計画の候補地は高湯温泉に向かう県道の北側で、すぐ西側に別荘地の高湯平がある。地元住民らは「ハザードマップの『土砂災害特別警戒地域』に隣接しており、大規模な森林伐採は危険を伴う。自然環境への影響も大きい」として、県や市に要望書を提出するなど、反対運動を展開している。  そうした事情もあってか、変電所計画にはその後動きがないようだが、2022年3月には、別の太陽光発電事業者が近くの民有地を取得し、開閉所の設置を予定していることが明らかになった。  発電事業者は合同会社開発72号(東京都)で、福島市桜本地区であづま小富士第2太陽光発電事業を進めている。開閉所を含む発電設備の建設、運転期間中の保守・維持管理はシャープエネルギーソリューション(=シャープの関連会社、大阪府八尾市)が請け負う。  発電所の敷地面積は約70㌶で、営農型太陽光発電を行う。営農事業者は営農法人マルナカファーム(=丸中建設の関連会社、二本松市)。2022年7月に着工し、2024年3月に完工予定となっている。  開閉所は20㍍×15㍍の敷地に設置される。変圧器や昇圧期は併設しないため、恒常的に音が出続けるようなことはないという。発電所から開閉所までは特別高圧送電線のケーブルを地下埋設してつなぐ。 開閉所の整備予定地  5月7日には地元住民への説明会が開かれた。大きな反対の声は出なかったようだが、冒頭・予定地の目の前に住む男性は「電磁波は出ないというが、子どもへの影響など心配になる。工事期間中、外部の人が出入りすることを考えると防犯面も気になります」と語った。  前出・町内会長は、一方的な進め方に違和感を抱き、市の複数の部署を訪ねたが、親身になって相談に乗ってくれるところはなかった。  特別高圧送電線のケーブルが歩道の地下に埋設される予定であることを知り、市に「小学生の通学路にもなっているので見直してほしい」と訴えたところ、車道側に移す方針を示した。だが、根本的に中止を求めるのは難しそうな気配だ。  「鉄塔周辺の地権者が応じれば、ほかにも関連施設ができるのではないかと危惧しています」(町内会長)  福島市西部地区で進むメガソーラー計画で、離れた地区の住民が思わぬ形で余波を受けた格好だ。2つのメガソーラー計画についてはあらためて詳細をリポートしたい。

  • 福島市「デコボコ除雪」今シーズンは大丈夫?

    業者を悩ます「費用対効果」 2021年末から断続的に降った大雪で、福島市中心部は除雪が十分に行われない「デコボコ除雪」が問題となった。降雪、気温の低下が続いたことも相まって起きた災害だ。これを教訓に、市は除雪体制強化のため1億2727万円の予算を計上。道路の除雪を担う建設業界は「今季も同じくらい雪が降ると考えなければ」と神経をとがらせている。  気象庁によると、今冬の予報は、気温は東日本で平年並みか低い見込み、福島県を含む北日本でほぼ平年並みの見込み。降雪量は東日本の日本海側で平年並みか多い見込み、北日本の日本海側でほぼ平年並みの見込みとなっている。太平洋側は毎年予報をしていない。あくまで予報である点は念頭に置かなければならないが、少なくとも暖冬ではないということだ。  さらには、世界的な異常気象の原因となり、日本の冬に低温傾向をもたらす「ラニーニャ現象」が12月以降も続く可能性があるという。西高東低の冬型の気圧配置が強まり、寒気が流れ込みやすくなる。  2021年末から2022年初めにかけての大雪は、断続的に降り、低温が続いたため根雪ができた。雪を路肩によけても解けないため、壁のように固まり道路幅を狭め、交通が麻痺した。  2014年以来の大雪に、ツイッターでは《福島市の除雪はやっぱりヘタクソ。国道4号と13号以外はヒドイもんだ。飯坂街道などの主要道路もしっかり除雪すべき。木幡市長、除雪にもっと力を入れてくれ》など、除雪の遅さに苛立つ声が相次いで投稿された。市には2022年2月時点で2340件の苦情が寄せられたという。 なかなか雪が解けない本誌編集部前の道路  「デコボコ除雪」を教訓に、市は1億2727万円の「除雪力強化パッケージ」予算を打ち出した(表)。木幡浩市長は議会で「今回の大雪対応を検証した結果、準備態勢や除雪体制、情報発信などに課題があることを確認しました。それに基づき、2022年度当初予算で除雪力強化パッケージを盛り込み、この冬に向けて除雪力強化に取り組んでいます」と答弁している。  何を揃えたのか見てみよう。中央部に雪掻きが付いた「グレーダー」はこれまで1台のみだったが、新たに1台増やした。グレーダーは雪を寄せるほか、削る機能がある。前面に付いた板で雪を押し分ける「ドーザー」6台と併せ市の維持補修センターが保有する専用車両は現在8台となっている。  雪が積もる前の準備については、凍結防止剤散布車を3台から5台に増やした。また凍結防止剤を自動散布する装置を、スリップ事故が多い伏拝周辺の旧国道4号沿いに6か所設置している。  「生活道路や通学路は地域で」の方針も見える。町内会やボランティア団体を対象に、小型除雪機械購入補助として2021年度と同様に120万円を計上した。11月末現在で5件の申請があり、予算の上限を超えたことから、同じ除雪関連費用を流用しているという。その他には除雪技術向上に関する研修会の参加費として1人当たり1万円を助成する。  市で増やした機器は凍結防止剤散布車やグレーダーに限られ、歩道は地域住民が小型除雪車などを使って除雪することになる。ただ、2021年のような異例の大雪への対応は依然不安が残る。交通麻痺が起きた要因は、車道脇の固まった雪が解けずにいつまでも残っていたからだ。「ロータリー」(写真)で道路そのものから雪をどかさなければならなかった。 道路脇に溜まった雪を除去する除雪車両「ロータリー」  道路の除雪を担う委託業者はどのように備えているのか。市内でも積雪が多い飯坂町を拠点とする信陵建設の斎藤孝裕社長(66)は  「それなりに人員と予算を確保すれば対応できます。問題は、福島市は会津地方ほどの豪雪地帯ではないということ。せっかく用意しても出動する機会がなければ無駄になってしまう」  同社は除雪車を2台持つが、これまではそれで回ってきた。県道では5~10㌢、市道では10㌢の積雪が見込まれると出動するルールになっているが、斎藤社長によると、基準に達しなくても地元業者が自己判断で前もって出動するのが実情という。同社は本社周辺の国道399号の一部、県道福島飯坂線、フルーツラインの一部など5路線計約20㌔を担当している。  「前回は真夜中から出動しても降り続け、掻いても掻いてもきりがありませんでした。除雪車をリースしたり、臨時で人を雇うにしてもだいぶ前から手配しないと間に合いません。交通量や人通りの多い道路から除雪する優先順位もあり、家の前の除雪が後回しになった住民からは『何で来ないんだ』と言われました。ただ、すべての業者ができる限りの対応をしていることは理解してほしい」(斎藤社長)  同社では新たに8㌧除雪車の購入を考えたが、相場は1000万円ほど。前回ほどの大雪が毎年降るのかどうか判断が付かず、出動しなくても維持費や車検代がかかることを考えると、なかなか手が出せないという。半導体不足で中古車の相場も新車とほとんど変わらない。どこまで行っても、「豪雪地帯でない福島市でどこまで用意する必要があるか」が問題のようだ。 建設業の人手不足、人口減が重しに  除雪にかかわらず建設業界は人手不足が付きまとう。同社では、除雪車のオペレーターを2人募集しているが集まらない。給与を上げて再募集をかけているが、それでも厳しいという。  地元の道路の雪掻きは近くの住民が協力するのが原則だが、地方経済の沈下で自営業は衰退。居住地近くで働き、除雪作業に参加できる人も少ないだろう。地域の力でやるといっても、町内会を構成するのは高齢者ばかりで、体力の衰えた高齢者が主体となればなるほど除雪作業も事故が増えていく可能性がある。どこを削り、その分、どこを費やすか。雪害対策も人口減少でままならない状況が垣間見える。

  • 【会津若松・喜多方・福島】市街地でクマ被害多発のワケ

    専門家・マタギが語る「命の守り方」  2022年は市街地でのクマ出没やクマによる人的被害が目立った1年だった。会津若松市では大型連休初日、観光地の鶴ヶ城に出没し、関係部署が対応に追われた。クマは冬眠の時期に入りつつあるが、いまのうちに対策を講じておかないと、来春、再び深刻な被害を招きかねない。  会津若松市郊外部の門田町御山地区。中心市街地から南に4㌔ほど離れた山すそに位置し、周辺には果樹園や民家が並ぶ。そんな同地区に住む89歳の女性が7月27日正午ごろ、自宅近くの竹やぶで、頭に傷を負い倒れているところを家族に発見された。心肺停止状態で救急搬送されたが、その後死亡が確認された。クマに襲われたとみられる。  「畑に出かけて昼になっても帰ってこなかったので、家族が探しに行ったら、家の裏の竹やぶの真ん中で仰向けに倒れていた。額の皮がむけ、左目もやられ、帽子に爪の跡が残っていた。首のところに穴が空いており、警察からは出血性ショックで亡くなったのではないかと言われました」(女性の遺族) 女性が亡くなっていた竹やぶ  現場近くでは、親子とみられるクマ2頭の目撃情報があったほか、果物の食害が確認されていた。そのため、「食べ物を求めて人里に降りて来たものの戻れなくなり、竹やぶに潜んでいたタイミングで鉢合わせしたのではないか」というのが周辺住民の見立てだ。  8月27日早朝には、同市慶山の愛宕神社の参道で、散歩していた55歳の男性が2頭のクマと鉢合わせ。男性は親と思われるクマに襲われ、あごを骨折したほか、左腕をかまれるなどの大けがをした。以前からクマが出るエリアで、神社の社務所ではクマ除けのラジオが鳴り続けていた。 愛宕神社の参道  大型連休初日の4月29日早朝には、会津若松市の観光地・鶴ヶ城公園にクマが出没し、5時間にわたり立ち入り禁止となった。市や県、会津若松署、猟友会などが対応して緊急捕獲した。5月14日早朝には、同市城西町と、同市本町の諏訪神社でもクマが目撃され、同日正午過ぎに麻酔銃を使って緊急捕獲された。  市農林課によると、例年に比べ市街地でのクマ目撃情報が増えている。人的被害が発生したり、猟友会が緊急出動するケースは過去5~10年に1度ある程度だったが、2022年は少なくとも5件発生しているという。  鶴ヶ城に出没したクマの足取りを市農林課が検証したところ、千石バイパス(県道64号会津若松裏磐梯線)沿いの小田橋付近で目撃されていた。橋の下を流れる湯川の川底を調べたところ、足跡が残っていた。クマは姿を隠しながら移動する習性があり、草が多い川沿いを好む。  このことから、市中心部の東側に位置する東山温泉方面の山から、川伝いに街なかに降りてきた線が濃厚だ。複数の住民によると、東山温泉の奥の山にはクマの好物であるジダケの群落があり、クマが生息するエリアとして知られている。  市農林課は河川管理者である県と相談し、動きを感知して撮影する「センサーカメラ」を設置した。さらに光が点滅する「青色発光ダイオード」装置を取り付け、クマを威嚇。県に依頼して湯川の草刈りや緩衝帯作りなども進めてもらった。その結果、市街地でのクマ目撃情報はなくなったという。  それでも市は引き続き警戒しており、10月21日には県との共催により「市街地出没訓練」を初めて実施。関係機関が連携し、対応の手順を確認した。  市では2023年以降もクマによる農作物被害を減らし、人的被害をゼロにするために対策を継続する。具体的には、①深刻な農作物被害が発生したり、市街地近くで多くの目撃情報があった際、「箱わな」を設置して捕獲、②人が住むエリアをきれいにすることでゾーニング(区分け)を図り、山から出づらくする「環境整備」、③個人・団体が農地や集落に「電気柵」を設置する際の補助――という3つの対策だ。  さらに2023年からは、郊外部ばかりでなく市街地に住む人にも危機意識を持ってもらうべく、クマへの対応法に関するリーフレットなどを配布して周知に努めていく。これらの対策は実を結ぶのか、2023年以降の出没状況を注視していきたい。 一度入った農地は忘れない  本州に生息しているクマはツキノワグマだ。平均的な大きさは体長110~150㌢、体重50~150㌔。県が2016年に公表した生態調査によると、県内には2970頭いると推定される。  クマは狩猟により捕獲する場合を除き、原則として捕獲が禁じられている。鳥獣保護管理法に基づき、農林水産業などに被害を与える野生鳥獣の個体数が「適正な水準」になるように保護管理が行われている。  県自然保護課によると、9月までの事故件数は7件、目撃件数は364件。2021年は事故件数3件、目撃件数303件。2020年が事故件数9件、目撃件数558件。「件数的には例年並みだが、市街地に出没したり、事故に至るケースが短期間に集中した」(同課担当者)。  福島市西部地区の在庭坂・桜本地区では8月中旬から下旬にかけて、6日間で3回クマによる人的被害が続発した。9月7日早朝には、在庭坂地区で民家の勝手口から台所にクマが入り込み、キャットフードを食べる姿も目撃されている。  会津若松市に隣接する喜多方市でも10月18日昼ごろ、喜多方警察署やヨークベニマル喜多方店近くの市道でクマが目撃された。  河北新報オンライン9月23日配信記事によると、東北地方の8月までの人身被害数40件は過去最多だ。  クマの生態に詳しい福島大学食農学類の望月翔太准教授は「2021年はクマにとってエサ資源となるブナやミズナラが豊富で子どもが多く生まれたため、出歩くことが多かったのではないか」としたうえで、「2022年は2021年以上にエサ資源が豊富。2023年の春先は気を付けなければなりません」と警鐘を鳴らす。  「クマは基本的に憶病な動物ですが、人が近づくと驚いて咄嗟に攻撃します。また、一度農作物の味を覚えるとそれに執着するので、1回でも農地に入られたら、その農地を覚えていると思った方がいい」  今後取るべき対策としては「まず林や河川の周りの草木を伐採し、ゾーニングが図られるように見通しのいい環境をつくるべきです。また、収穫されずに放置しているモモやカキ、クリの木を伐採し、クマのエサをなくすことも重要。電気柵も有効ですが、イノシシ用の平面的な配置では乗り越えられてしまうので、クマ用に立体的に配置する必要があります」と指摘する。 近距離で遭遇したら頭を守れ  金山町で「マタギ」として活動し、小さいころからクマと対峙してきた猪俣昭夫さんは「そもそもクマの生態が変わってきている」と語る。 クマと遭遇した時の対応を説明する猪俣さん  「里山に入り薪を取って生活していた時代はゾーニングが図られていたし、人間に危害を与えるクマは鉄砲で駆除されていました。だが、里山に入る人や猟師が少なくなると、山の奥にいたクマが、農作物や果物など手軽にエサが手に入る人家の近くに降りてくるようになった。代を重ねるうちに人や車に慣れているので、人間と会っても逃げないし、様子を見ずに襲う可能性が高いです」  山あいの地域では日常的にクマを見かけることが多いためか、「親子のクマにさえ会わなければ、危険な目に遭うことはない」と語る人もいたが、そういうクマばかりではなくなっていくかもしれない。  では、実際にクマに遭遇したときはどう対応すればいいのか。猪俣さんはこう説明した。  「5㍍ぐらい距離があるといきなり襲ってくることはないが、それより近いとクマもびっくりして立ち上がる。そのとき、大きな声を出すと追いかけられて襲われるので、思わず叫びたくなるのをグッと抑えなければなりません。クマが相手の強さを測るのは『目の高さ』。後ずさりしながら、クマより高いところに移動したり、近くの木を挟んで対峙し行動の選択肢を増やせるといい。少なくとも、私の場合そうやって襲われたことはありません」  一方、前出・望月准教授は次のように話す。  「頭に傷を負うと致命傷になる可能性が高い。近距離でばったり出会った場合はうずくまったり、うつ伏せになり、頭を守るべきです。そうすれば、仮に背中を爪で引っかかれてもリュックを引き裂かれるだけで済む可能性がある。研修会や小学校などで周知しており、広まってほしいと思っています」  県では、会津若松市のように対策を講じる市町村を補助する「野生鳥獣被害防止地域づくり事業」(予算5300万円)を展開している。ただ、高齢化や耕作放棄地などの問題もあり、環境整備や効果的な電気柵設置は容易にはいかないようだ。  来春以降の被害を最小限に防ぐためにも、問題点を共有し、地域住民を巻き込んで抜本的な対策を講じていくことが求められている。

  • 福島市いじめ問題で市側が被害者に謝罪

    福島市内の男子中学生が市立小学校に通っていたときにいじめを受け、不登校になった問題について、本誌2022年4月号「【福島市いじめ問題】6つの深刻な失態」という記事で、詳細にリポートした。  記事掲載後、男子中学生と保護者は市や市教育委員会の対応を巡り、担任の教員や教育委員会などに謝罪を要求。県弁護士会示談あっせんセンターに示談のあっせんを申し立て、2022年10月末、市長と教育長が謝罪することで和解に至った。  福島市は2022年11月22日の記者会見で、木幡浩市長と佐藤秀美教育長が非公式の場で直接謝罪しことを明らかにした。和解の条件として、市が児童らに180万円の解決金を支払い、いじめ問題の関係者を今後処分する。  同日、被害者側も記者会見を開き、男子中学生は「心の傷は治らない」と語った。保護者は「こちらが求める謝罪ではなかった」としつつ、「今後は組織一体となっていじめ問題に対応してほしい」と訴えた。

  • 福島市西部で進むメガソーラー計画の余波

     「自宅の周辺を作業員が出入りして地質調査をしていると思ったら、目の前の農地に開閉所(家庭でのブレーカーの役割を担う施設)ができると分かった。一切話を聞いていなかったので驚きました」(福島西工業団地の近くに住む男性)  同市西部の福島西工業団地(同市桜本)の近くの土地を、太陽光発電事業者がこぞって取得している。東北電力の鉄塔に近く、変電所・開閉所などを設置するのに好都合な場所だからだ。  2022年2月、鉄塔がある地区の町内会長の家をAC7合同会社(東京都)という会社の担当者が訪ねた。外資系のAmp㈱(同)という会社が特別目的会社として設立した法人で、福島市西部の先達山(635・9㍍)で大規模太陽光発電施設を計画している。そのための変電所を、市から取得した土地に整備すべく、町内会長の了解を得ようと訪れたのだ。  町内会長は冒頭の男性と情報を共有するとともに、同社担当者に対し「寝耳に水の話で、とても了承できない」と答えた。  同計画の候補地は高湯温泉に向かう県道の北側で、すぐ西側に別荘地の高湯平がある。地元住民らは「ハザードマップの『土砂災害特別警戒地域』に隣接しており、大規模な森林伐採は危険を伴う。自然環境への影響も大きい」として、県や市に要望書を提出するなど、反対運動を展開している。  そうした事情もあってか、変電所計画にはその後動きがないようだが、2022年3月には、別の太陽光発電事業者が近くの民有地を取得し、開閉所の設置を予定していることが明らかになった。  発電事業者は合同会社開発72号(東京都)で、福島市桜本地区であづま小富士第2太陽光発電事業を進めている。開閉所を含む発電設備の建設、運転期間中の保守・維持管理はシャープエネルギーソリューション(=シャープの関連会社、大阪府八尾市)が請け負う。  発電所の敷地面積は約70㌶で、営農型太陽光発電を行う。営農事業者は営農法人マルナカファーム(=丸中建設の関連会社、二本松市)。2022年7月に着工し、2024年3月に完工予定となっている。  開閉所は20㍍×15㍍の敷地に設置される。変圧器や昇圧期は併設しないため、恒常的に音が出続けるようなことはないという。発電所から開閉所までは特別高圧送電線のケーブルを地下埋設してつなぐ。 開閉所の整備予定地  5月7日には地元住民への説明会が開かれた。大きな反対の声は出なかったようだが、冒頭・予定地の目の前に住む男性は「電磁波は出ないというが、子どもへの影響など心配になる。工事期間中、外部の人が出入りすることを考えると防犯面も気になります」と語った。  前出・町内会長は、一方的な進め方に違和感を抱き、市の複数の部署を訪ねたが、親身になって相談に乗ってくれるところはなかった。  特別高圧送電線のケーブルが歩道の地下に埋設される予定であることを知り、市に「小学生の通学路にもなっているので見直してほしい」と訴えたところ、車道側に移す方針を示した。だが、根本的に中止を求めるのは難しそうな気配だ。  「鉄塔周辺の地権者が応じれば、ほかにも関連施設ができるのではないかと危惧しています」(町内会長)  福島市西部地区で進むメガソーラー計画で、離れた地区の住民が思わぬ形で余波を受けた格好だ。2つのメガソーラー計画についてはあらためて詳細をリポートしたい。

  • 福島市「デコボコ除雪」今シーズンは大丈夫?

    業者を悩ます「費用対効果」 2021年末から断続的に降った大雪で、福島市中心部は除雪が十分に行われない「デコボコ除雪」が問題となった。降雪、気温の低下が続いたことも相まって起きた災害だ。これを教訓に、市は除雪体制強化のため1億2727万円の予算を計上。道路の除雪を担う建設業界は「今季も同じくらい雪が降ると考えなければ」と神経をとがらせている。  気象庁によると、今冬の予報は、気温は東日本で平年並みか低い見込み、福島県を含む北日本でほぼ平年並みの見込み。降雪量は東日本の日本海側で平年並みか多い見込み、北日本の日本海側でほぼ平年並みの見込みとなっている。太平洋側は毎年予報をしていない。あくまで予報である点は念頭に置かなければならないが、少なくとも暖冬ではないということだ。  さらには、世界的な異常気象の原因となり、日本の冬に低温傾向をもたらす「ラニーニャ現象」が12月以降も続く可能性があるという。西高東低の冬型の気圧配置が強まり、寒気が流れ込みやすくなる。  2021年末から2022年初めにかけての大雪は、断続的に降り、低温が続いたため根雪ができた。雪を路肩によけても解けないため、壁のように固まり道路幅を狭め、交通が麻痺した。  2014年以来の大雪に、ツイッターでは《福島市の除雪はやっぱりヘタクソ。国道4号と13号以外はヒドイもんだ。飯坂街道などの主要道路もしっかり除雪すべき。木幡市長、除雪にもっと力を入れてくれ》など、除雪の遅さに苛立つ声が相次いで投稿された。市には2022年2月時点で2340件の苦情が寄せられたという。 なかなか雪が解けない本誌編集部前の道路  「デコボコ除雪」を教訓に、市は1億2727万円の「除雪力強化パッケージ」予算を打ち出した(表)。木幡浩市長は議会で「今回の大雪対応を検証した結果、準備態勢や除雪体制、情報発信などに課題があることを確認しました。それに基づき、2022年度当初予算で除雪力強化パッケージを盛り込み、この冬に向けて除雪力強化に取り組んでいます」と答弁している。  何を揃えたのか見てみよう。中央部に雪掻きが付いた「グレーダー」はこれまで1台のみだったが、新たに1台増やした。グレーダーは雪を寄せるほか、削る機能がある。前面に付いた板で雪を押し分ける「ドーザー」6台と併せ市の維持補修センターが保有する専用車両は現在8台となっている。  雪が積もる前の準備については、凍結防止剤散布車を3台から5台に増やした。また凍結防止剤を自動散布する装置を、スリップ事故が多い伏拝周辺の旧国道4号沿いに6か所設置している。  「生活道路や通学路は地域で」の方針も見える。町内会やボランティア団体を対象に、小型除雪機械購入補助として2021年度と同様に120万円を計上した。11月末現在で5件の申請があり、予算の上限を超えたことから、同じ除雪関連費用を流用しているという。その他には除雪技術向上に関する研修会の参加費として1人当たり1万円を助成する。  市で増やした機器は凍結防止剤散布車やグレーダーに限られ、歩道は地域住民が小型除雪車などを使って除雪することになる。ただ、2021年のような異例の大雪への対応は依然不安が残る。交通麻痺が起きた要因は、車道脇の固まった雪が解けずにいつまでも残っていたからだ。「ロータリー」(写真)で道路そのものから雪をどかさなければならなかった。 道路脇に溜まった雪を除去する除雪車両「ロータリー」  道路の除雪を担う委託業者はどのように備えているのか。市内でも積雪が多い飯坂町を拠点とする信陵建設の斎藤孝裕社長(66)は  「それなりに人員と予算を確保すれば対応できます。問題は、福島市は会津地方ほどの豪雪地帯ではないということ。せっかく用意しても出動する機会がなければ無駄になってしまう」  同社は除雪車を2台持つが、これまではそれで回ってきた。県道では5~10㌢、市道では10㌢の積雪が見込まれると出動するルールになっているが、斎藤社長によると、基準に達しなくても地元業者が自己判断で前もって出動するのが実情という。同社は本社周辺の国道399号の一部、県道福島飯坂線、フルーツラインの一部など5路線計約20㌔を担当している。  「前回は真夜中から出動しても降り続け、掻いても掻いてもきりがありませんでした。除雪車をリースしたり、臨時で人を雇うにしてもだいぶ前から手配しないと間に合いません。交通量や人通りの多い道路から除雪する優先順位もあり、家の前の除雪が後回しになった住民からは『何で来ないんだ』と言われました。ただ、すべての業者ができる限りの対応をしていることは理解してほしい」(斎藤社長)  同社では新たに8㌧除雪車の購入を考えたが、相場は1000万円ほど。前回ほどの大雪が毎年降るのかどうか判断が付かず、出動しなくても維持費や車検代がかかることを考えると、なかなか手が出せないという。半導体不足で中古車の相場も新車とほとんど変わらない。どこまで行っても、「豪雪地帯でない福島市でどこまで用意する必要があるか」が問題のようだ。 建設業の人手不足、人口減が重しに  除雪にかかわらず建設業界は人手不足が付きまとう。同社では、除雪車のオペレーターを2人募集しているが集まらない。給与を上げて再募集をかけているが、それでも厳しいという。  地元の道路の雪掻きは近くの住民が協力するのが原則だが、地方経済の沈下で自営業は衰退。居住地近くで働き、除雪作業に参加できる人も少ないだろう。地域の力でやるといっても、町内会を構成するのは高齢者ばかりで、体力の衰えた高齢者が主体となればなるほど除雪作業も事故が増えていく可能性がある。どこを削り、その分、どこを費やすか。雪害対策も人口減少でままならない状況が垣間見える。

  • 【会津若松・喜多方・福島】市街地でクマ被害多発のワケ

    専門家・マタギが語る「命の守り方」  2022年は市街地でのクマ出没やクマによる人的被害が目立った1年だった。会津若松市では大型連休初日、観光地の鶴ヶ城に出没し、関係部署が対応に追われた。クマは冬眠の時期に入りつつあるが、いまのうちに対策を講じておかないと、来春、再び深刻な被害を招きかねない。  会津若松市郊外部の門田町御山地区。中心市街地から南に4㌔ほど離れた山すそに位置し、周辺には果樹園や民家が並ぶ。そんな同地区に住む89歳の女性が7月27日正午ごろ、自宅近くの竹やぶで、頭に傷を負い倒れているところを家族に発見された。心肺停止状態で救急搬送されたが、その後死亡が確認された。クマに襲われたとみられる。  「畑に出かけて昼になっても帰ってこなかったので、家族が探しに行ったら、家の裏の竹やぶの真ん中で仰向けに倒れていた。額の皮がむけ、左目もやられ、帽子に爪の跡が残っていた。首のところに穴が空いており、警察からは出血性ショックで亡くなったのではないかと言われました」(女性の遺族) 女性が亡くなっていた竹やぶ  現場近くでは、親子とみられるクマ2頭の目撃情報があったほか、果物の食害が確認されていた。そのため、「食べ物を求めて人里に降りて来たものの戻れなくなり、竹やぶに潜んでいたタイミングで鉢合わせしたのではないか」というのが周辺住民の見立てだ。  8月27日早朝には、同市慶山の愛宕神社の参道で、散歩していた55歳の男性が2頭のクマと鉢合わせ。男性は親と思われるクマに襲われ、あごを骨折したほか、左腕をかまれるなどの大けがをした。以前からクマが出るエリアで、神社の社務所ではクマ除けのラジオが鳴り続けていた。 愛宕神社の参道  大型連休初日の4月29日早朝には、会津若松市の観光地・鶴ヶ城公園にクマが出没し、5時間にわたり立ち入り禁止となった。市や県、会津若松署、猟友会などが対応して緊急捕獲した。5月14日早朝には、同市城西町と、同市本町の諏訪神社でもクマが目撃され、同日正午過ぎに麻酔銃を使って緊急捕獲された。  市農林課によると、例年に比べ市街地でのクマ目撃情報が増えている。人的被害が発生したり、猟友会が緊急出動するケースは過去5~10年に1度ある程度だったが、2022年は少なくとも5件発生しているという。  鶴ヶ城に出没したクマの足取りを市農林課が検証したところ、千石バイパス(県道64号会津若松裏磐梯線)沿いの小田橋付近で目撃されていた。橋の下を流れる湯川の川底を調べたところ、足跡が残っていた。クマは姿を隠しながら移動する習性があり、草が多い川沿いを好む。  このことから、市中心部の東側に位置する東山温泉方面の山から、川伝いに街なかに降りてきた線が濃厚だ。複数の住民によると、東山温泉の奥の山にはクマの好物であるジダケの群落があり、クマが生息するエリアとして知られている。  市農林課は河川管理者である県と相談し、動きを感知して撮影する「センサーカメラ」を設置した。さらに光が点滅する「青色発光ダイオード」装置を取り付け、クマを威嚇。県に依頼して湯川の草刈りや緩衝帯作りなども進めてもらった。その結果、市街地でのクマ目撃情報はなくなったという。  それでも市は引き続き警戒しており、10月21日には県との共催により「市街地出没訓練」を初めて実施。関係機関が連携し、対応の手順を確認した。  市では2023年以降もクマによる農作物被害を減らし、人的被害をゼロにするために対策を継続する。具体的には、①深刻な農作物被害が発生したり、市街地近くで多くの目撃情報があった際、「箱わな」を設置して捕獲、②人が住むエリアをきれいにすることでゾーニング(区分け)を図り、山から出づらくする「環境整備」、③個人・団体が農地や集落に「電気柵」を設置する際の補助――という3つの対策だ。  さらに2023年からは、郊外部ばかりでなく市街地に住む人にも危機意識を持ってもらうべく、クマへの対応法に関するリーフレットなどを配布して周知に努めていく。これらの対策は実を結ぶのか、2023年以降の出没状況を注視していきたい。 一度入った農地は忘れない  本州に生息しているクマはツキノワグマだ。平均的な大きさは体長110~150㌢、体重50~150㌔。県が2016年に公表した生態調査によると、県内には2970頭いると推定される。  クマは狩猟により捕獲する場合を除き、原則として捕獲が禁じられている。鳥獣保護管理法に基づき、農林水産業などに被害を与える野生鳥獣の個体数が「適正な水準」になるように保護管理が行われている。  県自然保護課によると、9月までの事故件数は7件、目撃件数は364件。2021年は事故件数3件、目撃件数303件。2020年が事故件数9件、目撃件数558件。「件数的には例年並みだが、市街地に出没したり、事故に至るケースが短期間に集中した」(同課担当者)。  福島市西部地区の在庭坂・桜本地区では8月中旬から下旬にかけて、6日間で3回クマによる人的被害が続発した。9月7日早朝には、在庭坂地区で民家の勝手口から台所にクマが入り込み、キャットフードを食べる姿も目撃されている。  会津若松市に隣接する喜多方市でも10月18日昼ごろ、喜多方警察署やヨークベニマル喜多方店近くの市道でクマが目撃された。  河北新報オンライン9月23日配信記事によると、東北地方の8月までの人身被害数40件は過去最多だ。  クマの生態に詳しい福島大学食農学類の望月翔太准教授は「2021年はクマにとってエサ資源となるブナやミズナラが豊富で子どもが多く生まれたため、出歩くことが多かったのではないか」としたうえで、「2022年は2021年以上にエサ資源が豊富。2023年の春先は気を付けなければなりません」と警鐘を鳴らす。  「クマは基本的に憶病な動物ですが、人が近づくと驚いて咄嗟に攻撃します。また、一度農作物の味を覚えるとそれに執着するので、1回でも農地に入られたら、その農地を覚えていると思った方がいい」  今後取るべき対策としては「まず林や河川の周りの草木を伐採し、ゾーニングが図られるように見通しのいい環境をつくるべきです。また、収穫されずに放置しているモモやカキ、クリの木を伐採し、クマのエサをなくすことも重要。電気柵も有効ですが、イノシシ用の平面的な配置では乗り越えられてしまうので、クマ用に立体的に配置する必要があります」と指摘する。 近距離で遭遇したら頭を守れ  金山町で「マタギ」として活動し、小さいころからクマと対峙してきた猪俣昭夫さんは「そもそもクマの生態が変わってきている」と語る。 クマと遭遇した時の対応を説明する猪俣さん  「里山に入り薪を取って生活していた時代はゾーニングが図られていたし、人間に危害を与えるクマは鉄砲で駆除されていました。だが、里山に入る人や猟師が少なくなると、山の奥にいたクマが、農作物や果物など手軽にエサが手に入る人家の近くに降りてくるようになった。代を重ねるうちに人や車に慣れているので、人間と会っても逃げないし、様子を見ずに襲う可能性が高いです」  山あいの地域では日常的にクマを見かけることが多いためか、「親子のクマにさえ会わなければ、危険な目に遭うことはない」と語る人もいたが、そういうクマばかりではなくなっていくかもしれない。  では、実際にクマに遭遇したときはどう対応すればいいのか。猪俣さんはこう説明した。  「5㍍ぐらい距離があるといきなり襲ってくることはないが、それより近いとクマもびっくりして立ち上がる。そのとき、大きな声を出すと追いかけられて襲われるので、思わず叫びたくなるのをグッと抑えなければなりません。クマが相手の強さを測るのは『目の高さ』。後ずさりしながら、クマより高いところに移動したり、近くの木を挟んで対峙し行動の選択肢を増やせるといい。少なくとも、私の場合そうやって襲われたことはありません」  一方、前出・望月准教授は次のように話す。  「頭に傷を負うと致命傷になる可能性が高い。近距離でばったり出会った場合はうずくまったり、うつ伏せになり、頭を守るべきです。そうすれば、仮に背中を爪で引っかかれてもリュックを引き裂かれるだけで済む可能性がある。研修会や小学校などで周知しており、広まってほしいと思っています」  県では、会津若松市のように対策を講じる市町村を補助する「野生鳥獣被害防止地域づくり事業」(予算5300万円)を展開している。ただ、高齢化や耕作放棄地などの問題もあり、環境整備や効果的な電気柵設置は容易にはいかないようだ。  来春以降の被害を最小限に防ぐためにも、問題点を共有し、地域住民を巻き込んで抜本的な対策を講じていくことが求められている。