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人気ラーメン店の〝開店前行列〟に福島市職員と思しき集団が並んでいた――。こんな匿名メールが本誌編集部に寄せられた。市に確認したところ、メール内容は事実であり、職員らは所定の手続きを取らず休憩時間を取っていたことが分かった。 メールは昨年11月18日に送信されたもの。内容は以下の通り(一部読みづらい個所をリライトしている)。 《今日10時半過ぎに福島市岡部の醤油亭というラーメン屋さんに行ったら、福島市の職員が8〜10人くらい並んでました。この店は人気店で、開店11時前に並ばないとスープがなくなるので、私は有給を取って平日の今日10時半過ぎに行きました。私の前方に並んでいた夫婦の旦那さんは、「なんだって、公務員はそんなに暇なのか?」と呆れていました。駐車場を見たら白いライトバンが2台、ナンバーは福島〇〇〇〇(メールでは番号が書かれていたがここでは伏せる)とありました。添付は職員の写真と車のナンバーの写真です》 添付されていた 〝証拠写真〟には、腕に「福島市」と書かれた作業服を着た男性数人が並ぶ姿と、車のナンバーが収められていた。 地方公務員法第30条では「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と定めている。もし仕事をサボって集団で並んでいたとすれば違法行為ということになる。 一方で、公務員が昼の休憩時間に作業服姿で外食すること自体は問題ない。「早朝から仕事して昼休みを早めに取った」、「昼から仕事なので、その前に食事休憩を取った」というケースも考えられる。 ネットで検索したところ、ラーメン店の正式名称は「ラーメン工房醤油亭」。セブンイレブン岡部店などがある三叉路の近くに立地する。ちぢれ麺の米沢ラーメンが味わえる店として人気を集めていたが、11月末で閉店していた。閉店する前に「どうしても食べたい」と考えて並んだのかもしれない。 実際のところはどうだったのか、市人事課に連絡し、事実確認を依頼したところ、後日「メールの内容は事実であり、ごみ減量推進課の職員たちが並んでいた」と連絡が来た。 市の担当者の説明によると、ごみ減量推進課は市内のごみ集積所などを管理する部署で、外勤が多い。普段は2人1組で行動しているが、問題の日は担当者9人が朝9時から市内のあらかわクリーンセンタ...
「自宅の周辺を作業員が出入りして地質調査をしていると思ったら、目の前の農地に開閉所(家庭でのブレーカーの役割を担う施設)ができると分かった。一切話を聞いていなかったので驚きました」(福島西工業団地の近くに住む男性) 同市西部の福島西工業団地(同市桜本)の近くの土地を、太陽光発電事業者がこぞって取得している。東北電力の鉄塔に近く、変電所・開閉所などを設置するのに好都合な場所だからだ。 2022年2月、鉄塔がある地区の町内会長の家をAC7合同会社(東京都)という会社の担当者が訪ねた。外資系のAmp㈱(同)という会社が特別目的会社として設立した法人で、福島市西部の先達山(635・9㍍)で大規模太陽光発電施設を計画している。そのための変電所を、市から取得した土地に整備すべく、町内会長の了解を得ようと訪れたのだ。 町内会長は冒頭の男性と情報を共有するとともに、同社担当者に対し「寝耳に水の話で、とても了承できない」と答えた。 同計画の候補地は高湯温泉に向かう県道の北側で、すぐ西側に別荘地の高湯平がある。地元住民らは「ハザードマップの『土砂災害特別警戒地域』に隣接しており、大規模な森林伐採は危険を伴う。自然環境への影響も大きい」として、県や市に要望書を提出するなど、反対運動を展開している。 そうした事情もあってか、変電所計画にはその後動きがないようだが、2022年3月には、別の太陽光発電事業者が近くの民有地を取得し、開閉所の設置を予定していることが明らかになった。 発電事業者は合同会社開発72号(東京都)で、福島市桜本地区であづま小富士第2太陽光発電事業を進めている。開閉所を含む発電設備の建設、運転期間中の保守・維持管理はシャープエネルギーソリューション(=シャープの関連会社、大阪府八尾市)が請け負う。 発電所の敷地面積は約70㌶で、営農型太陽光発電を行う。営農事業者は営農法人マルナカファーム(=丸中建設の関連会社、二本松市)。2022年7月に着工し、2024年3月に完工予定となっている。 開閉所は20㍍×15㍍の敷地に設置される。変圧器や昇圧期は併設しないため、恒常的に音が出続けるようなことはないという。発電所から開閉所までは特別高圧送電線のケーブルを地下埋設してつなぐ。 5月7日には地元住民への説明会が開かれた。大きな反対の声は出なかったようだが、冒頭・予...
福島市内の男子中学生が市立小学校に通っていたときにいじめを受け、不登校になった問題について、本誌2022年4月号「【福島市いじめ問題】6つの深刻な失態」という記事で、詳細にリポートした。 記事掲載後、男子中学生と保護者は市や市教育委員会の対応を巡り、担任の教員や教育委員会などに謝罪を要求。県弁護士会示談あっせんセンターに示談のあっせんを申し立て、2022年10月末、市長と教育長が謝罪することで和解に至った。 福島市は2022年11月22日の記者会見で、木幡浩市長と佐藤秀美教育長が非公式の場で直接謝罪しことを明らかにした。和解の条件として、市が児童らに180万円の解決金を支払い、いじめ問題の関係者を今後処分する。 同日、被害者側も記者会見を開き、男子中学生は「心の傷は治らない」と語った。保護者は「こちらが求める謝罪ではなかった」としつつ、「今後は組織一体となっていじめ問題に対応してほしい」と訴えた。
業者を悩ます「費用対効果」 2021年末から断続的に降った大雪で、福島市中心部は除雪が十分に行われない「デコボコ除雪」が問題となった。降雪、気温の低下が続いたことも相まって起きた災害だ。これを教訓に、市は除雪体制強化のため1億2727万円の予算を計上。道路の除雪を担う建設業界は「今季も同じくらい雪が降ると考えなければ」と神経をとがらせている。 気象庁によると、今冬の予報は、気温は東日本で平年並みか低い見込み、福島県を含む北日本でほぼ平年並みの見込み。降雪量は東日本の日本海側で平年並みか多い見込み、北日本の日本海側でほぼ平年並みの見込みとなっている。太平洋側は毎年予報をしていない。あくまで予報である点は念頭に置かなければならないが、少なくとも暖冬ではないということだ。 さらには、世界的な異常気象の原因となり、日本の冬に低温傾向をもたらす「ラニーニャ現象」が12月以降も続く可能性があるという。西高東低の冬型の気圧配置が強まり、寒気が流れ込みやすくなる。 2021年末から2022年初めにかけての大雪は、断続的に降り、低温が続いたため根雪ができた。雪を路肩によけても解けないため、壁のように固まり道路幅を狭め、交通が麻痺した。 2014年以来の大雪に、ツイッターでは《福島市の除雪はやっぱりヘタクソ。国道4号と13号以外はヒドイもんだ。飯坂街道などの主要道路もしっかり除雪すべき。木幡市長、除雪にもっと力を入れてくれ》など、除雪の遅さに苛立つ声が相次いで投稿された。市には2022年2月時点で2340件の苦情が寄せられたという。 「デコボコ除雪」を教訓に、市は1億2727万円の「除雪力強化パッケージ」予算を打ち出した(表)。木幡浩市長は議会で「今回の大雪対応を検証した結果、準備態勢や除雪体制、情報発信などに課題があることを確認しました。それに基づき、2022年度当初予算で除雪力強化パッケージを盛り込み、この冬に向けて除雪力強化に取り組んでいます」と答弁している。 何を揃えたのか見てみよう。中央部に雪掻きが付いた「グレーダー」はこれまで1台のみだったが、新たに1台増やした。グレーダーは雪を寄せるほか、削る機能がある。前面に付いた板で雪を押し分ける「ドーザー」6台と併せ市の維持補修センターが保有する専用車両は現在8台となっている。 雪が積もる前の準備については、凍結防止剤...
JR福島駅前で進む市街地再開発事業。事業主体は地権者らでつくる再開発組合だが、福島市は同所に建設される複合棟に入る「福島駅前交流・集客拠点施設」を公共施設として買い取ることになっている。しかし、事業費が昨年5月時点で当初計画より増え、今後さらに増えそうな見通しのため、市の財政に深刻な影響を与える懸念が浮上している。 福島駅東口地区第一種市街地再開発事業は駅前通りの南側1・4㌶に複合棟(12階建て)、駐車場棟(7階建て)、住宅棟(13階建て)を建設する計画で、一帯では現在、既存建物の解体工事が行われている。 事業主体は地権者らでつくる福島駅東口地区市街地再開発組合(加藤眞司理事長)だが、福島市も同事業に二つの面から関わっている。一つは巨額の補助金支出、もう一つは複合棟に入る「福島駅前交流・集客拠点施設」(以下、拠点施設と略)を公共施設として同組合から買い取ることだ。 拠点施設は複合棟の3・4階に整備される。メーンは4階に設けられる1500の客席と広い舞台を備えた大ホールだが、客席を収納することで展示ホールとして使えたり、800席のホールと中規模の展示ホールを併用することもできる。3階には多目的スタジオや練習スタジオ、会議室が設けられる。 同事業に市がどの程度関わっているか、まずは補助金から見ていく。 同組合設立時の2021年7月に発表された事業計画では、事業費473億円、補助金218億円(国2分の1、県と市2分の1)となっていた。単純計算で市の負担は54億5000万円となる。 ところが、昨年5月に市議会全員協議会で配られた資料には、事業費が19億円増の492億円、補助金が26億円増の244億円(同)と明記されていた。これにより、市の負担も6億5000万円増の61億円になる見通しとなった。 理由は、延べ床面積が当初計画より90平方㍍増えて7万2540平方㍍になったことと、建設資材の高騰によるものだった。 これだけでも市にとっては重い負担だが、さらに大きな負担が待ち構えている。それが、二つ目の関わりである保留床の取得だ。 市は拠点施設を「公共施設=保留床」として同組合から買い取るが、当初計画では「150億円+α」となっていた。しかし前述・市議会全員協議会で配られた資料には190億円かかると明記されていた。このほか備品購入費も負担する必要があるが、その金額は「開館前に決...
専門家・マタギが語る「命の守り方」 2022年は市街地でのクマ出没やクマによる人的被害が目立った1年だった。会津若松市では大型連休初日、観光地の鶴ヶ城に出没し、関係部署が対応に追われた。クマは冬眠の時期に入りつつあるが、いまのうちに対策を講じておかないと、来春、再び深刻な被害を招きかねない。 会津若松市郊外部の門田町御山地区。中心市街地から南に4㌔ほど離れた山すそに位置し、周辺には果樹園や民家が並ぶ。そんな同地区に住む89歳の女性が7月27日正午ごろ、自宅近くの竹やぶで、頭に傷を負い倒れているところを家族に発見された。心肺停止状態で救急搬送されたが、その後死亡が確認された。クマに襲われたとみられる。 「畑に出かけて昼になっても帰ってこなかったので、家族が探しに行ったら、家の裏の竹やぶの真ん中で仰向けに倒れていた。額の皮がむけ、左目もやられ、帽子に爪の跡が残っていた。首のところに穴が空いており、警察からは出血性ショックで亡くなったのではないかと言われました」(女性の遺族) 現場近くでは、親子とみられるクマ2頭の目撃情報があったほか、果物の食害が確認されていた。そのため、「食べ物を求めて人里に降りて来たものの戻れなくなり、竹やぶに潜んでいたタイミングで鉢合わせしたのではないか」というのが周辺住民の見立てだ。 8月27日早朝には、同市慶山の愛宕神社の参道で、散歩していた55歳の男性が2頭のクマと鉢合わせ。男性は親と思われるクマに襲われ、あごを骨折したほか、左腕をかまれるなどの大けがをした。以前からクマが出るエリアで、神社の社務所ではクマ除けのラジオが鳴り続けていた。 大型連休初日の4月29日早朝には、会津若松市の観光地・鶴ヶ城公園にクマが出没し、5時間にわたり立ち入り禁止となった。市や県、会津若松署、猟友会などが対応して緊急捕獲した。5月14日早朝には、同市城西町と、同市本町の諏訪神社でもクマが目撃され、同日正午過ぎに麻酔銃を使って緊急捕獲された。 市農林課によると、例年に比べ市街地でのクマ目撃情報が増えている。人的被害が発生したり、猟友会が緊急出動するケースは過去5~10年に1度ある程度だったが、2022年は少なくとも5件発生しているという。 鶴ヶ城に出没したクマの足取りを市農林課が検証したところ、千石バイパス(県道64号会津若松裏磐梯線)沿いの小田橋付...
人気ラーメン店の〝開店前行列〟に福島市職員と思しき集団が並んでいた――。こんな匿名メールが本誌編集部に寄せられた。市に確認したところ、メール内容は事実であり、職員らは所定の手続きを取らず休憩時間を取っていたことが分かった。 メールは昨年11月18日に送信されたもの。内容は以下の通り(一部読みづらい個所をリライトしている)。 《今日10時半過ぎに福島市岡部の醤油亭というラーメン屋さんに行ったら、福島市の職員が8〜10人くらい並んでました。この店は人気店で、開店11時前に並ばないとスープがなくなるので、私は有給を取って平日の今日10時半過ぎに行きました。私の前方に並んでいた夫婦の旦那さんは、「なんだって、公務員はそんなに暇なのか?」と呆れていました。駐車場を見たら白いライトバンが2台、ナンバーは福島〇〇〇〇(メールでは番号が書かれていたがここでは伏せる)とありました。添付は職員の写真と車のナンバーの写真です》 添付されていた 〝証拠写真〟には、腕に「福島市」と書かれた作業服を着た男性数人が並ぶ姿と、車のナンバーが収められていた。 地方公務員法第30条では「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と定めている。もし仕事をサボって集団で並んでいたとすれば違法行為ということになる。 一方で、公務員が昼の休憩時間に作業服姿で外食すること自体は問題ない。「早朝から仕事して昼休みを早めに取った」、「昼から仕事なので、その前に食事休憩を取った」というケースも考えられる。 ネットで検索したところ、ラーメン店の正式名称は「ラーメン工房醤油亭」。セブンイレブン岡部店などがある三叉路の近くに立地する。ちぢれ麺の米沢ラーメンが味わえる店として人気を集めていたが、11月末で閉店していた。閉店する前に「どうしても食べたい」と考えて並んだのかもしれない。 実際のところはどうだったのか、市人事課に連絡し、事実確認を依頼したところ、後日「メールの内容は事実であり、ごみ減量推進課の職員たちが並んでいた」と連絡が来た。 市の担当者の説明によると、ごみ減量推進課は市内のごみ集積所などを管理する部署で、外勤が多い。普段は2人1組で行動しているが、問題の日は担当者9人が朝9時から市内のあらかわクリーンセンタ...
「自宅の周辺を作業員が出入りして地質調査をしていると思ったら、目の前の農地に開閉所(家庭でのブレーカーの役割を担う施設)ができると分かった。一切話を聞いていなかったので驚きました」(福島西工業団地の近くに住む男性) 同市西部の福島西工業団地(同市桜本)の近くの土地を、太陽光発電事業者がこぞって取得している。東北電力の鉄塔に近く、変電所・開閉所などを設置するのに好都合な場所だからだ。 2022年2月、鉄塔がある地区の町内会長の家をAC7合同会社(東京都)という会社の担当者が訪ねた。外資系のAmp㈱(同)という会社が特別目的会社として設立した法人で、福島市西部の先達山(635・9㍍)で大規模太陽光発電施設を計画している。そのための変電所を、市から取得した土地に整備すべく、町内会長の了解を得ようと訪れたのだ。 町内会長は冒頭の男性と情報を共有するとともに、同社担当者に対し「寝耳に水の話で、とても了承できない」と答えた。 同計画の候補地は高湯温泉に向かう県道の北側で、すぐ西側に別荘地の高湯平がある。地元住民らは「ハザードマップの『土砂災害特別警戒地域』に隣接しており、大規模な森林伐採は危険を伴う。自然環境への影響も大きい」として、県や市に要望書を提出するなど、反対運動を展開している。 そうした事情もあってか、変電所計画にはその後動きがないようだが、2022年3月には、別の太陽光発電事業者が近くの民有地を取得し、開閉所の設置を予定していることが明らかになった。 発電事業者は合同会社開発72号(東京都)で、福島市桜本地区であづま小富士第2太陽光発電事業を進めている。開閉所を含む発電設備の建設、運転期間中の保守・維持管理はシャープエネルギーソリューション(=シャープの関連会社、大阪府八尾市)が請け負う。 発電所の敷地面積は約70㌶で、営農型太陽光発電を行う。営農事業者は営農法人マルナカファーム(=丸中建設の関連会社、二本松市)。2022年7月に着工し、2024年3月に完工予定となっている。 開閉所は20㍍×15㍍の敷地に設置される。変圧器や昇圧期は併設しないため、恒常的に音が出続けるようなことはないという。発電所から開閉所までは特別高圧送電線のケーブルを地下埋設してつなぐ。 5月7日には地元住民への説明会が開かれた。大きな反対の声は出なかったようだが、冒頭・予...
福島市内の男子中学生が市立小学校に通っていたときにいじめを受け、不登校になった問題について、本誌2022年4月号「【福島市いじめ問題】6つの深刻な失態」という記事で、詳細にリポートした。 記事掲載後、男子中学生と保護者は市や市教育委員会の対応を巡り、担任の教員や教育委員会などに謝罪を要求。県弁護士会示談あっせんセンターに示談のあっせんを申し立て、2022年10月末、市長と教育長が謝罪することで和解に至った。 福島市は2022年11月22日の記者会見で、木幡浩市長と佐藤秀美教育長が非公式の場で直接謝罪しことを明らかにした。和解の条件として、市が児童らに180万円の解決金を支払い、いじめ問題の関係者を今後処分する。 同日、被害者側も記者会見を開き、男子中学生は「心の傷は治らない」と語った。保護者は「こちらが求める謝罪ではなかった」としつつ、「今後は組織一体となっていじめ問題に対応してほしい」と訴えた。
業者を悩ます「費用対効果」 2021年末から断続的に降った大雪で、福島市中心部は除雪が十分に行われない「デコボコ除雪」が問題となった。降雪、気温の低下が続いたことも相まって起きた災害だ。これを教訓に、市は除雪体制強化のため1億2727万円の予算を計上。道路の除雪を担う建設業界は「今季も同じくらい雪が降ると考えなければ」と神経をとがらせている。 気象庁によると、今冬の予報は、気温は東日本で平年並みか低い見込み、福島県を含む北日本でほぼ平年並みの見込み。降雪量は東日本の日本海側で平年並みか多い見込み、北日本の日本海側でほぼ平年並みの見込みとなっている。太平洋側は毎年予報をしていない。あくまで予報である点は念頭に置かなければならないが、少なくとも暖冬ではないということだ。 さらには、世界的な異常気象の原因となり、日本の冬に低温傾向をもたらす「ラニーニャ現象」が12月以降も続く可能性があるという。西高東低の冬型の気圧配置が強まり、寒気が流れ込みやすくなる。 2021年末から2022年初めにかけての大雪は、断続的に降り、低温が続いたため根雪ができた。雪を路肩によけても解けないため、壁のように固まり道路幅を狭め、交通が麻痺した。 2014年以来の大雪に、ツイッターでは《福島市の除雪はやっぱりヘタクソ。国道4号と13号以外はヒドイもんだ。飯坂街道などの主要道路もしっかり除雪すべき。木幡市長、除雪にもっと力を入れてくれ》など、除雪の遅さに苛立つ声が相次いで投稿された。市には2022年2月時点で2340件の苦情が寄せられたという。 「デコボコ除雪」を教訓に、市は1億2727万円の「除雪力強化パッケージ」予算を打ち出した(表)。木幡浩市長は議会で「今回の大雪対応を検証した結果、準備態勢や除雪体制、情報発信などに課題があることを確認しました。それに基づき、2022年度当初予算で除雪力強化パッケージを盛り込み、この冬に向けて除雪力強化に取り組んでいます」と答弁している。 何を揃えたのか見てみよう。中央部に雪掻きが付いた「グレーダー」はこれまで1台のみだったが、新たに1台増やした。グレーダーは雪を寄せるほか、削る機能がある。前面に付いた板で雪を押し分ける「ドーザー」6台と併せ市の維持補修センターが保有する専用車両は現在8台となっている。 雪が積もる前の準備については、凍結防止剤...
JR福島駅前で進む市街地再開発事業。事業主体は地権者らでつくる再開発組合だが、福島市は同所に建設される複合棟に入る「福島駅前交流・集客拠点施設」を公共施設として買い取ることになっている。しかし、事業費が昨年5月時点で当初計画より増え、今後さらに増えそうな見通しのため、市の財政に深刻な影響を与える懸念が浮上している。 福島駅東口地区第一種市街地再開発事業は駅前通りの南側1・4㌶に複合棟(12階建て)、駐車場棟(7階建て)、住宅棟(13階建て)を建設する計画で、一帯では現在、既存建物の解体工事が行われている。 事業主体は地権者らでつくる福島駅東口地区市街地再開発組合(加藤眞司理事長)だが、福島市も同事業に二つの面から関わっている。一つは巨額の補助金支出、もう一つは複合棟に入る「福島駅前交流・集客拠点施設」(以下、拠点施設と略)を公共施設として同組合から買い取ることだ。 拠点施設は複合棟の3・4階に整備される。メーンは4階に設けられる1500の客席と広い舞台を備えた大ホールだが、客席を収納することで展示ホールとして使えたり、800席のホールと中規模の展示ホールを併用することもできる。3階には多目的スタジオや練習スタジオ、会議室が設けられる。 同事業に市がどの程度関わっているか、まずは補助金から見ていく。 同組合設立時の2021年7月に発表された事業計画では、事業費473億円、補助金218億円(国2分の1、県と市2分の1)となっていた。単純計算で市の負担は54億5000万円となる。 ところが、昨年5月に市議会全員協議会で配られた資料には、事業費が19億円増の492億円、補助金が26億円増の244億円(同)と明記されていた。これにより、市の負担も6億5000万円増の61億円になる見通しとなった。 理由は、延べ床面積が当初計画より90平方㍍増えて7万2540平方㍍になったことと、建設資材の高騰によるものだった。 これだけでも市にとっては重い負担だが、さらに大きな負担が待ち構えている。それが、二つ目の関わりである保留床の取得だ。 市は拠点施設を「公共施設=保留床」として同組合から買い取るが、当初計画では「150億円+α」となっていた。しかし前述・市議会全員協議会で配られた資料には190億円かかると明記されていた。このほか備品購入費も負担する必要があるが、その金額は「開館前に決...
専門家・マタギが語る「命の守り方」 2022年は市街地でのクマ出没やクマによる人的被害が目立った1年だった。会津若松市では大型連休初日、観光地の鶴ヶ城に出没し、関係部署が対応に追われた。クマは冬眠の時期に入りつつあるが、いまのうちに対策を講じておかないと、来春、再び深刻な被害を招きかねない。 会津若松市郊外部の門田町御山地区。中心市街地から南に4㌔ほど離れた山すそに位置し、周辺には果樹園や民家が並ぶ。そんな同地区に住む89歳の女性が7月27日正午ごろ、自宅近くの竹やぶで、頭に傷を負い倒れているところを家族に発見された。心肺停止状態で救急搬送されたが、その後死亡が確認された。クマに襲われたとみられる。 「畑に出かけて昼になっても帰ってこなかったので、家族が探しに行ったら、家の裏の竹やぶの真ん中で仰向けに倒れていた。額の皮がむけ、左目もやられ、帽子に爪の跡が残っていた。首のところに穴が空いており、警察からは出血性ショックで亡くなったのではないかと言われました」(女性の遺族) 現場近くでは、親子とみられるクマ2頭の目撃情報があったほか、果物の食害が確認されていた。そのため、「食べ物を求めて人里に降りて来たものの戻れなくなり、竹やぶに潜んでいたタイミングで鉢合わせしたのではないか」というのが周辺住民の見立てだ。 8月27日早朝には、同市慶山の愛宕神社の参道で、散歩していた55歳の男性が2頭のクマと鉢合わせ。男性は親と思われるクマに襲われ、あごを骨折したほか、左腕をかまれるなどの大けがをした。以前からクマが出るエリアで、神社の社務所ではクマ除けのラジオが鳴り続けていた。 大型連休初日の4月29日早朝には、会津若松市の観光地・鶴ヶ城公園にクマが出没し、5時間にわたり立ち入り禁止となった。市や県、会津若松署、猟友会などが対応して緊急捕獲した。5月14日早朝には、同市城西町と、同市本町の諏訪神社でもクマが目撃され、同日正午過ぎに麻酔銃を使って緊急捕獲された。 市農林課によると、例年に比べ市街地でのクマ目撃情報が増えている。人的被害が発生したり、猟友会が緊急出動するケースは過去5~10年に1度ある程度だったが、2022年は少なくとも5件発生しているという。 鶴ヶ城に出没したクマの足取りを市農林課が検証したところ、千石バイパス(県道64号会津若松裏磐梯線)沿いの小田橋付...